静寂の住人2
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朝になり家に入ると奈々が仁王立ちしていた。
「ツッ君!玲奈ちゃんに謝りなさい!」
奈々の何度目かの言葉に紘吉は俯いたまま部屋に戻った。
部屋に入るとリボーンはまだ眠っていて起こさないように痛みを堪えて汚れたブラウスを脱いで着替えた。
下の階に降りても紘吉の食事はない。それを悲しいと感じながらも玄関で靴を履いているとフゥ太が「行ってらっしゃい。」と寂しい声で言った。
「フゥ太行ってきます。」
紘吉は口に笑みを乗せて家を出た。
紘吉を見送った後、玲奈の表情を思い出し身震いするフゥ太。
品定めする目、回りの人間を見下すように歪む口。人によってコロコロ変える声。
「鳥居玲奈さんは絶対悪どいことをしているんだ!」
『ランキングしよう!何か出てくる筈だ。』
朝食もそこそこにフゥ太はランキングをする為にまずリボーンとビアンキの様子を伺った。
ーーーー
紘吉が玲奈を襲った。この事はたった数日で全教師、全校生徒に知れ渡った。
「アイツだろ?」
「あの人らしいよ?気を付けなきゃね。」
「見た目は地味な癖に。人は見掛けによらないよな。」
「フラれたからって襲うのは間違ってる!」
「気持ち悪っ!」
通学路で紘吉は全身で悪意を受けていた。
『何でこんなことになっちゃったの?』
下を向いて歩いていると校門の近くで突き飛ばされた。
「っ!?」
起き上がると上級生であろう男子生徒がニタニタと笑いながら紘吉に言った。
「暢気に登校かよ?犯罪者の癖によ。」
「ーーーっ!」
悲しい顔をする紘吉に男子生徒は笑いながら校門を通り、一部始終を見ていた生徒達は身から出た錆と嘲り笑った。
俯いたまま校門を通ると声をかけられた。
「おはよう小動物。」
「雲雀さんおはようございます。」
雲雀は草壁に後を頼んで紘吉を応接室に引っ張っていったが紘吉の手の甲に火傷の跡に気が付いて一瞬眉を寄せた。
応接室で上履きを渡された紘吉は今日も下駄箱にゴミや虫の死骸が入れられていたんだと分かった。
「あの、今日も・・・その、山本が?」
「うん。ああ、大丈夫だよ。風紀委員には箝口令を出したからね。それより手当てをしようか。」
ヒバードを使って撮影した映像を見て知ってはいたが一体どういう修行だとリボーンを罵りたくなるほどの身体中怪我だらけだった。
かろうじて顔に貼られている絆創膏と湿布は沢田家の子供達がしたんだろうと分かった。だが絆創膏は血で染まり真っ赤になり、湿布も既に温くなっているが。
大人しく手当てを受けている紘吉に雲雀は「まだ堪えるつもりなの?」と言った。
「はい。誤解が解ければ元通りですから。」
「それなら僕ももう少しだけ静観するよ。」
今すぐ紘吉を裏切ったリボーン達をまとめて咬み殺したいがまだ証拠は足りないし、紘吉の心を自分に向けなければならない。我慢するしかない。
『この子は優し過ぎる子供だけど気持ちをこっちに向けさせれば赤ん坊達を追い込める。』
「終わったよ。新しい制服を用意してあるからそれを着て。」
「新しい制服?」
首をコテンと傾ける紘吉に雲雀は可愛いと内心悶えるが顔には出さずに言った。
「ブラウスは血が付いてるし、ズボンとかも所々破けてるしね。」
「でもこれ以上迷惑はかけれませーーー」
雲雀は紘吉の言葉を遮った。
「手当てしてもそんな汚れたのを着たら意味がないでしょ。それに風紀が乱れる。だから気にしないで着れば良い。分かったね?」
「・・・分かりました。」
風紀を大切にしている雲雀に言われたら紘吉は断れなかった。
「今日も教室に行くんだろ?今の2-Aの状況を見ておきたいから付いて行くからね。」
雲雀は群れている教室に行って大丈夫なのかと不安になる紘吉と2-Aに向かった。