静寂の住人2
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「ん・・・・・・ここは・・・?」
漸く意識を戻した紘吉は回りを見渡すと視界にデスクで書類に目を通している雲雀が写った。
「気が付いたんだね。」
雲雀は応接室の備え付けの冷蔵庫からペットボトルを出して紘吉に渡した。
「水で良いかい?」
「ありがとうございます。」
受け取りこの日最初に口にした飲料にほっとした。
雲雀はリボーンのことを単刀直入に聞いた。
「小動物。赤ん坊も鳥居玲奈の側に付いたの?」
顔を歪め無言で頷く紘吉に雲雀はリボーンの『女に優しく』を間違えてるんじゃないかと溜め息をした。だが下駄箱の犯人は割れている。そこを突けば事態は変わるだろう。
「でもそれも何とかなるかも知れないよ。防犯カメラに君の下駄箱を荒らした犯人が写っていたんだ。」
「誰ですか・・・?」
「山本武。」
「!?」
目を大きく開き驚くがそれも一瞬で紘吉は俯き涙ぐむ。
「何で・・・。」
ポツリと呟いた声に雲雀は何とも言えない顔をした。
「理由は聞けば良い。これから野球男を連れてくるよ。」
雲雀が教室に行こうとするのを紘吉は止めた。
「雲雀さん!駄目です!」
「君、まさか野球男を庇う気?」
「ここで山本がやったことが学校中に知れたら山本はレギュラーを外されたり最悪退部になっちゃうかもしれません!」
並中いや、並盛で絶対的な影響力を持つ雲雀だ。雲雀直々に連行され、下駄箱を荒らした犯人だと公言されたら山本は野球部でやりにくくなる。
紘吉はやめて欲しいと頼むが雲雀は苦々しく唇を歪めた。
只でさえ紘吉を馬鹿にし軽んじているリボーン、獄寺、山本、了平には業腹なのだ。
「でもここで山本武を咬み殺ろして注意しないと彼は続けるかもしれない。君は被害をずっと被っていくつもりなの?」
そうまでして耐える必要はない筈だと言う雲雀に紘吉は笑顔で答えた。
「今は無理なのかも知れないですけどいつかリボーンも獄寺君も山本もお兄さん、京子ちゃん皆分かってくれます。」
雲雀は眉間を寄せ、口をヘの字にしたが紘吉の意思を尊重した。
「分かった。でも我慢出来なくなったら動くからね。」
風紀を乱されるの嫌がる雲雀が出した妥協案だと紘吉は思い頷いた。
「ありがとうございます。あと手当ても。」
雲雀はひき止めたが紘吉はここで逃げたら信じて貰えないと教室に行った。
紘吉の後ろ姿を見ながらこうなったら多少強引でも引き離すしかないと思った。
リボーン、獄寺、山本、了平は紘吉には何をしても良いと思っている。
リボーンは自分が楽しめれば良いと紘吉に無茶苦茶な修行を課す。それを更に面白くしようと獄寺達を捲き込み大惨事。その全ての被害は紘吉に。
獄寺達も紘吉の言葉を無視して暴れまわり、後始末は全て紘吉にやらせている。
普通ならボス候補にそんなマネはしないだろう。
リボーンはボンゴレに雇われた家庭教師。厳密に言えばボンゴレの人間ではない部外者。
守護者に選ばれた獄寺、山本、了平はボスの部下。決して紘吉に尻拭いを押し付けてはならない。
特に獄寺と山本は紘吉に命を救われたのにそれを忘れているから質が悪い。
それに京子は紘吉の想いを知っているのに紘吉を弄び楽しんでいる。それも無意識に。京子が一番守られていたのにあっさり忘れて玲奈の嘘に騙された。
玲奈の性根の悪さに気付いたのはクロームとランボ、イーピン、フゥ太だけ。
雲雀は玲奈は勿論、真っ先に裏切ったリボーン達を嫌悪した。
「紘吉から切り捨ててくれたら良いんだけど。」
それは難しいだろう。あのお人好しの紘吉だ。
ならばそうなるように仕向けるしかない。
雲雀は布石を打ち出した。