静寂の住人2
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雲雀は紘吉を見て驚いた。姿形が変わっても構わないと言ったがまさか女になっているとは思っていなかった。
「紘吉だよね?」
「はい・・・。」
恥ずかしそうに俯く紘吉に雲雀はお帰りと声をかけた。
「遅すぎだけどお帰り。」
「その、こんな姿ですけどただいま戻りました。」
雲雀はまじまじと紘吉を見る。四方八方跳ねていた癖毛も柔らかくなっていてふわふわしている。元々大きかった瞳は更に大きくなっていた。そして女になったせいか身長が低くなっている。
雲雀は首を傾げて紘吉に訊ねる。
「ねえ、年齢は?どう見ても小学生の高学年にしか見えないんだけど?」
首を掴まれているプリマベーラを尻目に訊ねる雲雀にプリマベーラは唖然とした。
「雲雀恭弥!この状況で無視とかないよね?」
「そんな事どうでもいいんだよ。で、紘吉はいくつなの?」
「そ、そのぉ、14才です。」
「ワオ!その姿で14才ってかなり童顔なんだね。」
からかっているような言い方だが内心では可愛いと絶賛している。すっかり二人の世界(というか雲雀の世界)になってしまっているがイヴェールは雲雀に話し掛けた。
「その姿の紘吉でも護ってくれるのか?」
「前も言ったと思うけど勿論だよ。」
意思の強い目で言う雲雀にイヴェールは安心するとプリマベーラを雲雀の目の前に出した。
「私の同胞であるプリマベーラだ。今回の件はプリマベーラにも責任がある。動かないようにするから好きなだけ咬み殺して構わん。」
とんでもない言葉に紘吉はまた目を見開いて、プリマベーラは首をブンブンと横に振る。
「まさか僕が悪戯したからお仕置きなの!?」
「そうだ。雲雀思いきりやっていい。私達は死なないからな。」
更にズイっと前に出すイヴェール。プリマベーラはこの状態で咬み殺されたらただではすまないと喚いた。
「いくら死なないからって僕だってトンファーで殴られたら痛いんだってば!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐプリマベーラに雲雀は軽くため息をした。
「煩すぎ。君を咬み殺すつもりはない。まあ迷惑でしかなかったけど君のおかげで小動物に会えたからね。だから。」
雲雀はトンファーを構え、振り上げた。そして。
ゴォンッ!!
「いった~~っ。」
「これで勘弁してあげる。」
ニヤリと笑ってトンファーをしまう雲雀と頭を殴られて痛みに半べそになるプリマベーラ。
イヴェールは「雲雀は意外と優しいんだな。」と呟くと漸く手を離し、紘吉はアワアワした。
頭さするプリマベーラを横目にイヴェールは雲雀に礼を言った。
「雲雀。協力してくれた事、感謝している。紘吉の事は一般人の括りだとマフィア界に伝えてあるから安心してくれ。」
「分かったよ。」
頭を押さえているプリマベーラにイヴェールは帰る事を促す。
「プリマベーラそろそろ静寂の世界に戻るか。」
「そうだね。それじゃさようなら。ツナ!幸せになってね。」
「雲雀さようなら。」
紘吉は手を振り雲雀は素っ気なく一言だけ言った。
「プリマベーラ、イヴェールありがとう!さようなら!」
「じゃあね。」
プリマベーラとイヴェールは紘吉と雲雀に見送られてマテリアルの世界から去っていったのだった。
見送った紘吉は雲雀に気になっている事を聞いた。
「あの何で草壁さんと風紀委員の人達は転がってるんですか?後、フゥ太達は?」
雲雀は質問に答える。
「実は昨日の夕方にイヴェールが来て君が戻って来るって知らせてきたんだけど待てど暮らせど君は帰ってこないからイライラして片っぱしから咬み殺してただけ。まあスッキリしたよ。」
「・・・・・。」
自分のせいで咬み殺されてしまった草壁達を手当てしようと考えると雲雀に腕を掴まれた。
「その内起きるからほっときな。そいつらは僕の手足だから構う必要はないからね。フゥ太達は寝てるから会うなら明日にしな。」
「はい。」
以前も同じ事を言われて耳を思いっきり引っ張られた事を思い出した紘吉はぶるりと震えるとこくこくと頷いたのだった。