沢田綱吉の決断



プリマベーラとイヴェールによって死んだ綱吉は半年後プリマベーラの力で生まれ変わり静寂の宮殿で過ごす事になった。


更に半年後ーーー

1年の間に綱吉はあまり接点がなかったプリマベーラと打ち解けていて、『沢田綱吉』と呼んでいたプリマベーラも今ではツナと呼んでいた。

綱吉が静寂の宮殿の庭で散歩しているとプリマベーラが綱吉を呼んだ。

「ツナ。」

「プリマベーラ。どうしたの？」

プリマベーラの傍に行く。プリマベーラはニコリと笑う。

「ツナが死んでから1年経ってるし、ボンゴレはジッリョネロが潰したからトゥリニセッテの世界に戻ろう。」

「うん。・・・でもこの姿で迎え入れてくれるかな？」

死を一度迎えた綱吉は生まれ変わった為にボンゴレの血筋ではなくなったが姿形が少しばかり違った。157cmだった身長は160cm。髪と瞳は黒色になっている。肌は小麦色だ。

「きっと次の生ではその姿だったんだよ。」


生まれ変わってボンゴレから解放された事は綱吉にとって嬉しいが見た目が違う事で獄寺達が受け入れてくれるかどうか分からず、不安になっていた。そんな様子の綱吉にプリマベーラは大丈夫だからと安心させた。

「隼人達には事前に話してあるよ。隼人達は姿形が変わってもツナはツナだからと言ってたし。だから大丈夫。」

「そっか。それじゃ俺は獄寺君達が待ってる世界に戻るよ。」

安心した綱吉はイヴェールに挨拶をしたいと言った。

「イヴェールに挨拶したいんだけど今会えるかな？」

「会えると思うよ。ほら。」

綱吉とプリマベーラが居る庭にイヴェールが歩いてきた。

「ツナ。トゥリニセッテの世界に戻るようだな。」

イヴェールが穏やかな表情で話し掛けると綱吉は嬉しそうにした。

「獄寺君達が待ってるからね。沢田紘吉によろしく伝えて欲しい。」

「ああ。必ず伝える。」


プリマベーラがそろそろ行こうと促す。

「ツナ。トゥリニセッテの世界に行くよ。」

綱吉はプリマベーラに分かったと言うとイヴェールに別れの言葉を述べる。

「今まで本当にありがとう。イヴェールのお陰で俺も紘吉も救われたよ。さようなら。」

「さようなら。元気でな。」

イヴェールに見送られて綱吉とプリマベーラはトゥリニセッテの世界に向かった。

降り立った場所は並盛中の正門の前だった。午前中だというのにグランドで体育の授業を行っている様子はなく、遠目から教室を見てみても生徒も教師もいないようだ。

「あれ？今日もしかして休日なの？」

綱吉の疑問は最もだ。首を傾げる綱吉にプリマベーラは爆弾発言をした。

「今日は平日だよ。まあ並中は廃校しちゃったけどね。」

「は、廃校ーーーーっ！？」

まさか自分が通っていた学校が廃校になっていた事実に驚いていると更にプリマベーラが話を続ける。

「だってさ並中の生徒は半数以上が少年院行きだし、校長や教師も逮捕されちゃってるし。」

「・・・学校として成り立たないって事だよね。」

綱吉が廃校になった母校を唖然として見つめていると校門の方から1年ぶりに聞く声が聞こえてきた。綱吉は振り向くと獄寺の姿があった。

「10代目ーーーっ！」

走ってくる獄寺に綱吉は手を振る。

「獄寺君！」

綱吉の傍に来た獄寺はマジマジと綱吉を見る。

「プリマベーラに聞いてましたが姿形が少し変わりましたね。でも顔はやっぱり10代目ですね！」

綱吉の小麦色の両手を握って笑顔で話す獄寺に綱吉は安心した。


綱吉はハルとフゥ太とランボ、イーピンの事を獄寺に骸の事をプリマベーラに聞いた。

「そういえばハル達はどうしてるのかな？それから骸は水牢から出れたの？」

プリマベーラと獄寺はニコリと笑った。

「骸はツナが死んだ後に釈放させたよ。今はクローム達と黒曜ヘルシーランドで過ごしてるから安心して。」

「ハル達にもすぐに会えますよ10代目。」

「骸が釈放された事は良かったけどハル達とはもうすぐって？」

綱吉が小首を傾けると久しぶりに聞く声がした。

「ツナさーん！！」

「ツナ兄ーーー！」

「ツナーーーっ！！」

「ツナさん！」

ハルとフゥ太とランボとイーピンが走ってきた。

「ハル！フゥ太！ランボ！イーピン！」

綱吉は再会したハル達の名前を笑顔で呼んだ。