静寂の住人2
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マテリアルの世界ーーー
屋敷に戻ったイヴェールはリビングのソファーに座り対策を練ろうとしたが。
「ツナは多分この世界で生きていくのもトゥリニセッテの世界で沢田綱吉として生きていくのも苦痛でしかない。」
どちらの世界で生きても紘吉は自分の大切な人間達を苦しめるだろうと分かっていた。
紘吉は自分がマテリアルの世界にいる限り雲雀とランボとクローム、骸がボンゴレに関わることになることを嫌がっていた。そしてフゥ太とイーピンもまた利用されることも嫌がっていた。
だからと言ってトゥリニセッテの世界で生きていくのも拒否した。沢田綱吉として生きていけば獄寺とハルと子供達が結局ボンゴレに関わってしまい苦しめると思っている。
「さて、どうしたものか。」
世界のことを考えればどちらかの世界で生きていってもらいたいが紘吉の気持ちを考えれば世界を選べとは言えない。
「仕方ないがリボーン達をどうにかするよりも他の手を使うしかない。」
それは最悪の策でまた最高の策とも言えた。
「あまり人を傷つけたくはないのだが。」
無闇に人を傷つけることを厭うイヴェールはどこか辛そうな顔をしていた。
綱吉は自室に戻っていたが階下から物音がしたのに気付きリビングに降りていった。
「イヴェールどうしたの?何かあった?」
辛そうな表情のイヴェールを心配そうに見ている綱吉にイヴェールはキョトンとした。
「何もない。」
「でも辛そうな顔してるよ。もしかしてずっと力を使ってるから疲れてるんじゃ?」
「いや、そんなことはないが。」
綱吉はイヴェールを見つめるが本当に力を使っていて疲れているようには見えなかった。そうなると辛そうな顔をしていたイヴェールには別のことで辛そうな表情をしていたということになる。綱吉は考えて行き着いたことを言った。
「あ!もしかしてプリマベーラに久しぶりに会ったのにまた暫く会えなくなったから寂しくなっちゃった?俺がどっちの世界も無理って言ったから・・・ごめんね。」
しょんぼりする綱吉にイヴェールは整った顔を台無しにするくらい目を剥いた。
「ツナが嫌がるのは無理もないから謝る必要はない。だがプリマベーラに会えなくて寂しいとは全く思っていない。暫くは他の世界に悪戯は出来ないだろうから寧ろ平和で良い。」
「そ、そうなんだ。」
プリマベーラのことは真顔で答えた美形の神に綱吉はプリマベーラは普段どれだけ悪戯をしているんだろうと顔を引きつらせた。
トゥリニセッテの世界ーーー
獄寺の部屋に戻ったプリマベーラは冷蔵庫からジュースを出すとリビングのソファーに座りこれからのことを考えた。
「ツナにどちらかの世界を選ばすのは酷だよね。せめてトゥリニセッテの世界に留まってもらうのがベスト何だけど。」
綱吉にどちらかの世界に留まって欲しいのが本音だが獄寺達のことを考えるとトゥリニセッテに留まって欲しいと思う。だが綱吉はトゥリニセッテの世界でこのまま生きていくのもマテリアルの世界で沢田紘吉として生きていくのも拒絶した。
トゥリニセッテの世界で生きていけば獄寺は何がなんでも綱吉の傍にいようとするだろう。それが綱吉が瑠花の奴隷になったとしても。そしてハルと子供達がボンゴレに利用されることも嫌がっていた。
「困ったな。」
元を正せばプリマベーラが招いたことでもある。ある意味自業自得だ。
「イヴェールみたいに指摘したり南川瑠花の嘘を見せてもリボーン達が反省するかどうかなんだよね。でも反省なんかするかな?」
反省はしないだろうなと思うプリマベーラはこのままだと綱吉を死なせることになると頭を抱えそうになると紘吉がリビングに入って来た。
「プリマベーラお帰りなさい。」
「お帰り。」
「ただいま。もしかして二人を起こしちゃった?」
「いや俺と沢田さんは起きてた。」
プリマベーラの向かい側に座った紘吉と獄寺はプリマベーラの様子が少しおかしいことに気付いた。
「プリマベーラ何かあった?」
「何か変だぜ?」
「え?そんなことないよ。」
まさか最悪の場合、綱吉を死なせることになると考えていたとは言えないプリマベーラは誤魔化した。
そんなプリマベーラに紘吉と獄寺は不審に思ったがもしかしてとあることを思った。
「やっぱり同胞のイヴェールが居ねえと寂しいか?」
「ずっと一緒にいたって言ってから寂しくて当たり前だよね。」
紘吉と獄寺の気遣いにプリマベーラは綺麗な顔を台無しにして絶叫した。
「寂しくないよーーーっ!寧ろ怖いーーー!」
本当に頭を抱えた神に人間二人は茫然とした。
「プリマベーラはずっとイヴェールと一緒に過ごしてきたんだから寂しい気持ちを否定しなくても良いんだよ?」
「夜中に叫ぶなよ。つか、同胞が怖いって何なんだよ?」
寂しがっていると思っている紘吉と獄寺にプリマベーラは首をブンブンと横に振った。
「寂しくないよ!」
「それじゃ本当に同胞が怖いのかよ?」
「怖いかな?確かにイヴェールはあまり表情が変わらないとは思ったけど、無表情と怖いは違うんじゃ?」
「二人はイヴェールの本当の怖さを知らないからそんなこと言えるんだよ!」
半ば泣きそうな顔をしているプリマベーラに紘吉は恐る恐る尋ねた。
「イヴェールを怒らせるようなことしちゃったの?」
「うん。と言うか隼人とハルにしたことがバレたみたい・・・・・・。絶対怒られるよ!怖すぎるー!」
プリマベーラが初めてトゥリニセッテの世界の獄寺とハルに会った時、地面を割ったり家を投げようとしたことを思い出した紘吉と獄寺は青ざめた。
「プリマベーラが怖がるなんて・・・。」
「・・・・・・同胞はどれだけ怖いんだ?」
破壊の限りを尽くしたプリマベーラでさえ怖いのにそのプリマベーラが心底怖がるイヴェールに紘吉と獄寺は恐怖した。