静寂の住人2
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その日の夜。幻覚の綱吉を制裁したリボーンはボンゴレ諜報部から連絡が来ると気絶した綱吉を放置してボンゴレ諜報部並盛支部に向かった。
諜報部の調査の内容にリボーンはイヴェールは一般人かと呟いた。
『フランス人でパリには資産家の両親と父方の祖母がいて裏の世界との繋がりは無し。イヴェール・ディオスは一般人ってことか。』
諜報部から渡された資料を懐にしまう。
「一度イヴェール・ディオスに会ってみるか。資産家ならボンゴレかディアボロスに融資させるように仕向けても良いかも知れねえ。それに獄寺と山本と同格の強さみてーだしな。」
ツナや獄寺達にしたようになし崩しでイヴェールをボンゴレに引きずり込もうと考えるリボーン。
だがイヴェールの情報は嘘だ。
イヴェールが念のため力を使って一時的に国籍と戸籍、家族構成等の情報を作り世界に定着させただけだ。全てが終わればその情報は跡形もなく消える代物だ。
それを知らないリボーンはニヤリと笑った。
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気絶したふりをした幻覚の綱吉にフゥ太達は何かが違うと感じた。
「ツナ兄だけど何かが違うような気がするよ。」
「ツナだけどツナじゃないもんね。」
「とてもツナさんに似てる!」
「でもまずは手当てしないと!」
子供達は感じた違和感を後回しにして手当てを始めた。
応接室に居るイヴェールはおや?と思ったが直ぐに笑みを見せた。
『雲雀恭弥はツナを沢田紘吉ではないと見破り、子供達は幻覚のツナに違和感を感じたか。』
雲雀と子供達は見破った。だがリボーン達は幻覚の綱吉を沢田紘吉だと思っている。
イヴェールはいつになったら気付くのかと思ったが多分気付かないだろうと思った。
ーーーー
翌日の放課後、応接室ではイヴェールは当然のような表情をして雲雀は目を若干大きくした。
「こ、これ・・・俺が出してるの!?」
綱吉はイヴェールに渡された大空のマテリアルリングを指にはめて炎を灯した。
その炎は大きく色は鮮やかなオレンジ色。濁りなどどこにもない美しい炎だった。
「ボンゴレリングに炎を灯してもこんな大きくなかったし濁ってたよ?なのに何でこんな大きな炎が出てるの!?」
「まさしく大空のマテリアルリングの保持者だな。」
戸惑う綱吉にイヴェールは綱吉が正統な保持者だと言った。雲雀はなら紘吉はと口を開く。
「小動物はボンゴレリングとかいうヤツならこんなに大きな炎を出すってこと?」
「その通りだ。ツナはこの世界に適している。雲雀恭弥の知るツナもまたトゥリニセッテの世界に適しているだろうからな。」
本来生まれる筈だった世界で綱吉はマテリアルリングに炎を灯した。簡単に。そして雲雀は何故イヴェールが綱吉にマテリアルリングに炎を灯させた理由を勘づいていた。
お互いの世界を審査した結果、沢田紘吉と沢田綱吉が入れ替わることを選んだ場合支障がないか確認する為だと。
『僕の小動物もトゥリニセッテの世界でボンゴレリングとかいうヤツに炎を灯したりしてるのかな。でも君はここの人間だよ。少なくとも僕とフゥ太達は君が大切なんだから。』
雲雀は暗くなった空を見て思った。
ーーーー
屋敷に帰り、綱吉が眠ったのを確認したイヴェールは自分が使用している部屋に入りベッドに腰をかけた。
「リボーン、沢田奈々、ビアンキ、獄寺隼人、山本武、笹川了平、笹川京子はもう改善不可。無駄だろうな。」
イヴェールはそれとなく玲奈が嘘を付いているのを指摘した。また獄寺達や生徒、教師にも紘吉にしていることは犯罪だと指摘した。だが醜悪な顔で罵り、暴力に走る獄寺達。
紘吉の話を全く聞かないで紘吉が悪いと決め付け育児放棄をする奈々と躾だと言って暴力を振るうリボーン、ビアンキ。
「並盛中では雲雀恭弥、沢田家ではランボとイーピン、フゥ太。後は黒曜中に転校したクローム髑髏が味方か。・・・時間軸を考えるとそろそろ紘吉は玲奈と婚約させられ玲奈の部下になることを強いられ、その後雲雀に匿われることになるな。それならば雲雀に匿われるまでの間はそのまま流れに沿うか。」
実際紘吉はトゥリニセッテの世界に居るし綱吉はこの屋敷に居るから問題はないと判断した。
「さて、次は・・・。」
徐に立ち上がると手を前に出し円を描くように動かすとゆっくりと空間が丸い形に開く。開いた空間からは荒れた空き家と空き家を隠すように雑草がはえているのが見えた。
イヴェールは空間を広げその場所に足を踏み入れある生き物を探す。
空き家の縁の下の方からか細い鳴き声が聞こえてきてイヴェールは縁の下を覗くと小さな段ボール箱に入れられた子猫が2匹鳴いていた。
「この子猫は助けないとな。」
この子猫は放っておけば獄寺と山本に殺されてしまう。
イヴェールは子猫達を作り出した。
「流れを代える訳にはいかないからな。」
幻覚の子猫達を空き家の縁の下に置くとイヴェールは子猫達を抱いた。
「よしよし。もう大丈夫だ。」
安心させるように言いイヴェールは子猫達を屋敷に連れて帰った。
部屋に戻ると手早くミルクを用意して飲ませた。
「母乳そのものを作り出したから安心して飲め。」
子猫達はピチャピチャと飲むのを見ながらイヴェールは紘吉とプリマベーラは上手くいっているのだろうかと思うとため息をした。
「・・・ツナがプリマベーラに振り回されていなければ良いが。」
真面目な神は嫌な予感しかしなかったのであった。