静寂の住人2
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本当に買い取ったんだなと思いながら綱吉はリビングのソファーに座り隣にイヴェールが座りスクリーンのような物を力で作り出す。
「その後の様子を見るとしよう。」
「うん。」
さすがに獄寺達同様リボーンと奈々に綱吉をはいどうぞと渡すわけにはいかないから幻覚の綱吉を沢田家に入れた。
スクリーンには部屋にいる幻覚の綱吉はリボーンに脇腹を蹴り飛ばされているのが映し出された。
『ダメツナにはまだまだ制裁が必要だな!!』
『イタッ!!』
『ウルセーッ!てめえには失望したぞ!苛めはするわ修行させても弱っちいままで!この俺様な手間をかけさせるんじゃねーーっ!』
その後も制裁が暫く続いた。
『フンッ!今日のところはこの辺で勘弁してやる!明日からは早朝に修行だぞ!!』
倒れている幻覚の綱吉にそう言うとリボーンは部屋から出ていった。
その時のリボーンの目は何処と無く濁ったような色をしていて顔は玲奈と同じように醜く歪んでいた。
綱吉はリボーンにゾッとする。
『リボーンのあの目・・・使えない道具を見るような目で蔑んでる。それに暴力を振るって楽しんでる!!』
怒鳴り散らしながら説教しているがリボーンの顔は愉しいという顔をしていた。まるで暴力を振るわれている紘吉を見て愉悦に浸っている玲奈のようで綱吉は吐き気がした。
イヴェールは何故リボーンが世界を守るためにアルコバレーノに選ばれたのが不思議でならない。
以前のリボーンはアルコバレーノに選ばれるだけの資質があったのだろう。
だが元々横暴で傲慢な性格の持ち主で格下と見なした相手は見下し更に傲慢な態度を取る。紘吉とランボ、スカルが良い例だ。ランボはしょっちゅう蹴られ殴られスカルは完全にパシリだ。紘吉はお遊びに無理矢理付き合わされてる。つまり格下に見ている相手を『自分が楽しめる玩具』として扱っている。それは相手が困ろうが苦しもうがどうでも良い、黙って自分を楽しませればいいんだと言っているようなもの。
それが玲奈が現れたところで最悪な形で表に出てしまった。
『アルコバレーノは皆、個性的な者ばかりとはいえ、リボーンは酷すぎる。場合によっては晴のおしゃぶりを取り上げるしかないな。』
イヴェールは溜め息を吐いた。
ーーーー
翌朝、イヴェールは綱吉を起こした。時間は午前4時で綱吉は寝ぼけ眼でイヴェールとリビングに行く。
「ツナは朝は苦手みたいだな。」
「苦手だよ。(てか今は朝の4時で眠くて当たり前のような気がする。)」
眠くて目を擦る綱吉に少しだけ笑ってイヴェールは昨日のようにスクリーンのようなものを力で作り出す。
早朝からリボーンは幻覚の綱吉の脇腹に蹴りを入れて起こす。
『ダメツナ起きやがれ!』
『ヴッ!?』
『着替えたら修行だぞ!早くしやがれ!』
幻覚の綱吉を急かし着替えが終わると蹴り飛ばしながら玄関まで移動する。
玄関に行くと洗濯や朝食の準備をしていた奈々が台所から出てきた。
「おはようリボーンちゃん。」
「おはようママン。ダメツナの根性を叩き直す為に今日からは朝に修行させることにした。」
「まぁ!それは素敵な案ね!でも何だか悪いわ。本来なら親の私がすることなのに。」
「俺はツナの家庭教師だからかまわねぇぞ。」
奈々はリボーンから視線を綱吉に向ける。その目はゴミを見るような目で。
「ツッ君今日こそ玲奈ちゃんに誠意を持って謝るのよ!これ以上親の私に恥をかかせないで頂戴!ご近所さんの目もあるんだから。良いわね?」
最後の方は確認するように言う奈々。幻覚の綱吉は無言で俯く。それに腹を立てたリボーンと奈々は罵倒する。
「本当にどうしようもねえ奴だ!」
「リボーンちゃんの言う通りね!ツッ君はどれだけ性根が腐ってるのかしら!家光さんも嘆いていたわ!情けない!!」
リボーンは玄関のドアを開けると幻覚の綱吉の背中を蹴り飛ばし転んだ綱吉に早く起きやがれと罵倒し奈々は本当に録でもない子だわと呆れた顔をしてドアを閉めた。
紘吉の母親が口にするのは夫の家光と近所の目。その二点ばかり気にしている。
腹を痛めて生んだ紘吉には心無い中傷、罵倒。そして育児放棄。
奈々の酷さに綱吉は閉口し、イヴェールは酷い母親もいるものだと溜め息しか出なかった。
修行の場所に着くとリボーンは幻覚の綱吉を拳銃で狙い撃つ。
さすがに身体を撃ち抜くようなことはしないが手足に掠るように撃っていく。
「食らいたくなかったら必死に回避するんだな!」
綱吉はひたすら逃げ回る。逃げ回る姿にリボーンは笑う。最後に綱吉の右の頬に掠り傷が付くとリボーンはやっと拳銃をしまった。
逃げ回っていた綱吉はゼーゼーと息をしている。そんなリボーンは暴力を振るい始めた。
「今日の修行は終わりだが玲奈を苛めないようにねっちょり制裁してやる!甘んじて受けやがれ!!」
なすがままに暴力を受ける綱吉にリボーンは愉しさを感じていた。他人が見たら完全に虐めにしか見えないが誰もいないし、仮に誰かが見ても『沢田紘吉は鳥居玲奈を苛める罪人』と見なしているため、リボーンを止めはしないだろう。
「フン!この程度で勘弁してやる!学校はサボるなよ!」
リボーンは倒れている綱吉を放置して帰っていった。
イヴェールはスクリーンの右上の方にヒバードが飛んでいるの見て無事に撮れたと分かるとスクリーンを消した。
その時、イヴェールの右の頬に一筋の血が流れた。
「イヴェール!!その傷って幻覚の俺と同じ場所に!?何で!?」
「ああこれか?問題はさしてない。幻覚が受けた傷が私に影響しただけだ。」
「えっ!?影響って!?」
「世界の崩壊を防ぐのに力を使っているからだろう。」
「それって防ぐのに力を使っているせいで他の所で使いにくくなってるってこと?」
「まぁそうだな。だから雲雀にも協力させた。」
淡々と答えるが綱吉は思っていた以上に大変なことになっていると慌てた。
「イヴェール!だったらせめて雲雀さんのトンファーの電流を解いたら少しは楽なんじゃないかな?」
電流の他には何かないかとう~んと頭を悩ませる綱吉にイヴェールは大丈夫だと笑う。
「これは掠り傷だ。死ぬわけではないしな。」
神に近い存在だから死なないと言うイヴェールに綱吉は納得いかない顔をする。
「でもやっぱり怪我とかしてほしくないよ!」
「案ずるな。私はこうして生きている。」
そう言って血を拭いイヴェールは丁度右の頬なら使えるかも知れないと踏んだ。
『あの鳥居玲奈だ。傷を見た途端に騒ぎ出すだろう。ただ以前、雲雀恭弥が鳥居玲奈に指摘していたな。今度は獄寺隼人達に指摘してみるか。』
イヴェールが考え込んでいると綱吉がポケットから絆創膏が1枚入っているのを思い出してイヴェールに渡した。
「これは以前フゥ太に渡された物だろう?ならこの絆創膏はツナが使うときに使え。」
それはフゥ太が綱吉のためにリボーンと奈々の目を盗んで用意したのだからとイヴェールは綱吉に返すが綱吉は受け取らなかった。