静寂の住人2
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放課後なりイヴェールは屋上に足を向けた。綱吉は姿を消している。
屋上に入ると既に玲奈が居た。
「待たせてすまない。」
「玲奈も今来たところだから気にしないでね~。」
なで声で話す玲奈。イヴェールはその声に鳥肌が立つ。
「それで大事な話とは?」
玲奈はイヴェールを見上げて口を開いた。
「玲奈ね~イヴェール君のことが好きになっちゃったの~。だから玲奈と付き合って~。」
「鳥居さん少し待ってくれ。自分は今日転校してきたんだ。大して話をしたことのない自分のどこが気に入ったのだ?」
「一目惚れなの~。」
玲奈からしたらイヴェールの顔は好みだ。
子供のランボを除く守護者と並んでも見劣りしない。寧ろ獄寺、山本、了平より整った顔立ち。
それにダイナマイトを手にした獄寺に臆することもなく、山本のバットを片手で受け止めたイヴェールを見て戦闘能力も高いことが伺えた。
そんなイヴェールを自分の騎士にしたいと思う玲奈。自分がボンゴレを継いだら命を狙われる立場になる。それを回避するには強いボディーガードが必要だ。ボディーガードも多ければ多い程安心だし更にイケメンなら尚良い。
『イヴェール君は絶対欲しいわ~。流石に守護者には出来ないけどぉ~玲奈がドンナになったら守護者に次ぐ役職を作って~そこにイヴェール君を置けば良いわ~。守護者とイヴェール君を侍らせたら最高の気分よね~!』
ボンゴレを継いで自分に傅くイヴェールと守護者達を想像している玲奈。
ある程度の予想がつくイヴェールは顔には出さないが呆れるしかない。玲奈にはボンゴレを継ぐ覚悟もなければ資質もない。それ以前にボンゴレの血筋ですらないからだ。
「いきなり付き合うのはどうかと思うが。それに自分は誰かと交際するつもりもない。鳥居さんにはもっと相応しい人がいると思う。」
淡々と交際はしないと告げるイヴェールに玲奈は目を吊り上げた。
「な!?この玲奈が付き合ってあげるって言ってるのよ!!それを断って!!」
「いや、自分は誰とも交際はしないって言っただけだ。」
イヴェールは神に近い存在。人間と交際など出来るわけがない。(例え付き合うことが出来ても玲奈のような人間はあり得ない。)
表情一つ変えないイヴェールに玲奈の怒りは大きくなった。
「可愛い玲奈と付き合えるんだから普通は付き合うものでしょ!!玲奈と付き合って!!」
『鳥居玲奈の自分勝手な性格はある意味プリマベーラより質が悪い。』
同胞とは別の意味で悪質な玲奈にイヴェールはドン引きだ。
「とにかく自分は誰とも交際をする気はない。」
「何ですって!?なら嵌めてやるわ!!」
玲奈はスカートのポケットからカッターを出して左の手の甲を切りつけ玲奈は息を大きく吸った。
「キャァァァァァァァァァーーーーーッ!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーっ!!」
悲鳴をあげた玲奈はニタリと笑いカッターを捨ててイヴェールに言った。
「玲奈の言うことを聞いてれば良かったって思わせてやるわ~。イヴェール君。」
玲奈はキャハハと笑い「後悔しろ!」と表情を醜く歪めた。
数分後、玲奈の悲鳴を聞いた獄寺と山本、了平、京子、他の生徒達は屋上に着くと玲奈は嘘泣きをしながら獄寺達の側に行った。
「イヴェール君が、ヒック、付き合ってって言ってきてぇ、ヒック、断ったら、むかつくって・・・切りつけてきたの~。」
玲奈の左の手の甲に一筋の切り傷。獄寺達は口々にイヴェールを罵り出した。
「てめぇ!鳥居に何しやがる!」
「沢田の野郎の他にも玲奈を痛め付ける奴がいたのな!!」
「極限にけしからん!!」
「ディオス君酷いよ!!」
「そうだよ!玲奈ちゃんは女の子なんだぞ!」
「鳥居さんに謝んなさいよ!」
獄寺達は囲むようにイヴェールに近付く。それは紘吉を制裁するように。
京子や他の女子生徒達に守られるように慰められている玲奈。
『強そうだけどイヴェール君は細身だし~大勢を相手にするのはキツい筈よぉ。多少痛い目に合えば玲奈の手を取るでしょ♪』
数日後には玲奈の隣にイヴェールが居るだろうと誰にも分からないように口角を上げて笑った。
囲まれたイヴェールはズボンのポケットからメモ用紙を出して獄寺と山本に見せた。
「この文字は鳥居さんの物か?」
「あぁ?」
獄寺が引ったくるように奪った。
【イヴェール君へ。
イヴェール君に大事な話があります。放課後屋上で待ってます。
鳥居玲奈。】
玲奈の文字で書かれていたのを見て獄寺と山本は目を見開いた。
玲奈は顔を青くした。
今まで大勢の人間を陥れた。嵌められた人間は「俺はしてない!」、「私は何もしてないわ!」、「皆信じて!」と紘吉と同じように叫び、回りの人間は「嘘を付くな!」と一蹴して暴力を振るった。
今回もイヴェールが無実だと叫んで獄寺達が制裁すると思っていた。
だがイヴェールは表情一つ変えずあろうことかメモ用紙を獄寺と山本に見せたのだ。
玲奈は慌てて叫ぶように言った。
「玲奈そんなの知らないわ~!それはきっとイヴェール君が書いたのよー!」
獄寺と山本は玲奈は怪我しているのだからそれもそうだと頷きイヴェールを睨み付けた。