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cocktail

本質



Firmamentの2階の一室がツナの部屋だ。

部屋に入り部屋着に着替えると机に置いてあるシェーカーを振るう。

「多分シェイクが足りないだけじゃない。振り方も悪かったかも。20才になれば味見出来るんだけどなぁ・・・・・・。」



使われていない教室に呼び出され瑠々子にボンゴレを明け渡せと言われ拒否した。
それに腹を立てた瑠々子は自分の右頬を思いっきり叩き嘘泣きをしながら教室を出ていった。
ツナは訳が分からず戸惑ったが自分の教室に戻ったら獄寺と山本に殴られ、京子とクロームに罵られた。
瑠々子は殴られ罵られているツナを見てニヤニヤ笑っていた。
その日から奈々は謝罪するまで食事は抜きだと育児放棄し、リボーンと守護者達は躾だ制裁だと暴力を振るい、ビアンキはポイズンクッキングで、イーピンとフゥ太は物を投げつけたりしてきた。
家光は帰国するなりツナを殴り付けた。

それでも謝罪しないツナに業を煮やしたリボーン達は家光と奈々に家から追い出すように言い、家光と奈々は勿論だと頷いてツナを追い出した。
追い出されたツナは廃墟や空地、公園で寝泊まりしていたが運悪く会ってしまうと制裁されてしまう。
ツナはこれ以上はもう無理だと並盛を出て行った。


シェーカーを机に置いてツナはもう1年になるのかと自分を裏切った人間達を憎みながら呟いた。


ーーーー

更に6年が経ち、ツナは一通りカクテルを作れるようになった。

閉店後、ツナはカクテルを作り竜太郎に出す。

「ギムレットです。」

ギムレットを飲んだ竜太郎は顔をしかめた。

「このカクテルは美味しくありません。」

「シェイクが足りませんでしたか?」

「いいえ。ではマティーニを作って下さい。」

ツナの質問には答えずに竜太郎はマティーニを作らせる。

「マティーニです。」

「このカクテルも駄目です。何故か分かりますか?」

竜太郎の問いにツナは分かりませんとしか言えない。竜太郎は厳しく理由を言った。

「ツナ君はここに来てから頑張っています。技術も問題ありません。ですがツナ君のカクテルは憎しみが入ってます。」

「憎しみ・・・・・・?」

「ツナ君を裏切った人達に対する憎しみです。憎しみがこもった物はカクテルでなくても不味い物です。過去のことを許せとは言いません。忘れろとも言いません。ですが両親に愛された日々があったでしょう?家庭教師から学んだことがあったでしょう?居候達に慕われたこともあったでしょう?友人達と楽しい時間を過ごしたこともあったでしょう?先輩達に助けられたこともあったでしょう?初恋の女の子と一緒にいてときめいたこともあったでしょう?」

話を一端切ると竜太郎は厳しい表情を和らげた。

「そのことを思い出しながらカクテルを作ることです。過去の優しい思い出を大切にしなさい。」

ツナはここで漸く自分のカクテルが客に出せないことが分かった。憎しみがこもった物など人に出せるわけがない。

この日からツナの作るカクテルは優しく美味しい味になった。


ーーーー

ツナが客にカクテルを出せるようになって3年が経つと竜太郎が倒れた。

病院で診察した結果、末期のすい臓癌で余命3ヶ月だった。
ツナは竜太郎の世話をしようと決めたが竜太郎に止められた。

「気持ちは嬉しいですが店を休業するわけにはいきません。ですからツナ君には店をお願いしますね。最近はツナ君のカクテルがお目当てのお客様もいますしね。」

「分かりました。」

その時のツナの顔はバーテンダーだった。その顔を見て竜太郎はFirmamentをツナに託そうと決意した。

病室で竜太郎は癌に侵された体でFirmamentをツナに譲る手続きをしていった。

手続きが終わる頃に一時帰宅の許可が下りて竜太郎はツナに付き添われFirmamentに戻った。

約1ヶ月ぶりのFirmamentに竜太郎は涙ぐんだ。

常連客達は竜太郎の復帰に喜び、竜太郎は客にカクテルを作っていった。

そんな日が続いたがある日竜太郎は閉店後にツナにカクテルを作った。

「クラシックです。」

上品な琥珀色のカクテルをツナに出した。ツナはキョトンとしたがいただきますと言ってクラシックを飲む。

「美味しいです。さすが佐々木さんです!」

美味しそうに飲み干すツナに竜太郎は話をした。

「ツナ君、実は頼みがあるのです。」

「頼みですか?」

「この店Firmamentをツナ君に託したいのです。」

ツナはええっ!?と驚いた。

「でもFirmamentは佐々木さんのお店ですよ。」

「私にとってツナ君は最初で最後の弟子です。ですからツナ君にFirmamentを継いで欲しいのです。」

「俺はまだまだひよっこです。そんな俺が継ぐなんて恐れ多いです!」

慌てるツナに竜太郎は空になったグラスを見ながら言った。

「クラシック。カクテル言葉は本質です。」

「本・・・質・・・・?」

「ええ。ツナ君はバーテンダーとして本質的に優れています。勿論人柄もね。ツナ君が嫌でなければ継いで欲しいのです。それに知っての通り私はもう長くはない。」

末期のすい臓癌を患っている竜太郎。余命3ヶ月だがいつ急変してもおかしくはない。ツナは悩んだが師匠であり父親のような存在でもある竜太郎の思いを受け止めようと決めた。

「佐々木さん。俺のカクテル飲んで貰えますか?」

「勿論です。」


ツナはウィスキーとレモン汁等をステアした。

「カルフォルニアレモネードです。」

「美しい色です。」

そう言って竜太郎はカルフォルニアレモネードを飲み干した。

「ツナ君ありがとう。でも私には勿体無い言葉です。」

「そんなことありません。俺にとって佐々木さんは師匠であり父親でもありますから。」

カルフォルニアレモネードのカクテル言葉は。

永遠の感謝





ツナはFirmamentを継ぐことを決めると数日後竜太郎は永遠の眠りについたのだった。


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