cocktail
親友
閉店間際で最後の客が出て行くと入れ違いで入って来た男がまだ平気かとツナに訊ねた。
「閉店時間近いけど大丈夫か?」
「構いませんよ。お好きな席にどうぞ。」
男は一番奥のカウンター席に座るとカクテルの注文をした。
「ハイ・ハットを。」
ツナは材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ男の下に持って行った。
「ハイ・ハットです。」
オレンジ色のカクテルをテーブルに置いてカウンターに戻ろうとするツナを男は引き止めた。
「ちょっと待ってくれ。」
「何でしょう?」
注文を間違えてしまいましたか?と訊ねるツナに男は話を聞いて欲しいと頼んだ。ツナは頷き男の傍に立つと男は話した。
「俺は何年も前に瑠々子の話を聞いただけで親友を裏切ったんだ。親友はやってないって言ってたけど俺は聞きもしないで暴力を振るってた。でも瑠々子の誕生日パーティーの時にディーノとユニと炎真達が親友が無実だって証拠を持ってきんだ。」
男は話終えると頭を下げた。
「本当にごめんツナ!考え無しの俺が馬鹿だった!!」
テーブルに額を付けて謝罪する男にツナは頭を上げさせる。
「もう良いよ。山本。」
「良くないだろ。俺はとんでもない事しちまったんだぜ?」
「本当にもう良いんだよ。隠れ家みたいなバーを探して謝罪してくれたから。探すの骨が折れたでしょ?」
「謝罪するために探すのは当たり前なのな。」
頭を上げない山本にツナは困り顔をして続けた。
「ハイ・ハットをオーダーした真意は?」
聞かれた山本は漸く頭を上げて口を開いた。
「あの時の俺は足りないものがあったんだ。それはハイ・ハットのカクテル言葉そのものだった。」
ハイ・ハットのカクテル言葉は。
思いやり
後悔した顔をして山本は続ける。
「ツナが女の子に酷いことするわけがないって分かるのに。全く思いやりがなかったのな。ツナの話を聞こうとする思いやりがなかった。それどころか親友に暴力を振るっちまった。ツナはしていないって言い続けたのに。」
ツナは山本がハイ・ハットを飲んでいる間にカクテルを作った。
「トム・コリンズです。これサービスだから気にしないでね。」
「え?でもただで飲む資格なんてないのな。」
山本は少し困惑しながら透明な色をしたカクテルを見詰める。そんな山本の様子にツナは苦笑した。
「トム・コリンズのカクテル言葉は知ってる?」
「いや。知らないな。」
「トム・コリンズのカクテル言葉はね。」
親友
「えっ!!?」
驚く山本にツナは笑顔でトム・コリンズを出した理由を話し出した。
「山本は謝ってくれた。だからさもう一度親友としてやっていかない?」
山本は初めての親友だったと伝えるツナに山本は泣きながらありがとうと答えた。
トム・コリンズをゆっくり飲む山本にツナはビアンキの話を振った。
「そういえばビアンキと揉めたんだっけ?」
「なっ!何で知ってんのな!!」
危うくカクテルを吹き出しそうになった山本にツナは草壁に聞いたと答える。
「この前草壁さんに聞いたんだ。山本が作った病院食をビアンキがポイズンクッキングで駄目にしたって。」
「何かいきなり「ムカつくわ。」って言われて病院食を駄目にされたのな。まあビアンキは俺のこと気に食わねえみたいだから仕方ないけど。あの後、雲雀に注意されたよ。」
「そういえば風紀財団病院で働いてるんだよね?」
「ああ。最初はメディカル給食センターで働こうとしたんだけど雲雀に声をかけられてさ。今は風紀財団病院内で病院食を作ってんだ。」
「そっか。でも同じ病院じゃビアンキと会うたび大変じゃない?」
「まあな。」
山本もまた命からがら日本に帰国して実家に戻ったが既に父親の剛は鬼籍になっていて店が残っているだけだった。おもむろに調理場に入ると包丁とまな板が残っていた。山本は包丁とまな板を見て未来に飛ばされて獄寺が中々修行がうまくいかないことを気にしたツナ達と一緒に手巻き寿司を作ったことを思い出した。
そして山本は食を通して償いをしようと決めた。その結果がメディカル給食センターだった。
メディカル給食センターなら入院している人達の力になれると思った。その入院患者の中にはツナのように暴力を振るわれてしまった者もいるかもしれない。そう考えて山本はメディカル給食センターで働こうとした時、雲雀に声をかけられて、風紀財団病院で働いている。
「雲雀に声をかけられた時は驚いたけど今思うと俺やビアンキを雇ったのも償いの1つだと思うのな。」
「そうかもしれないね。」
笑い合うツナと山本。
山本は会計を済ましFirmamentを出た。
「今度は絶対に間違えないのな!」
山本は決意し、帰路に着いた。
閉店間際で最後の客が出て行くと入れ違いで入って来た男がまだ平気かとツナに訊ねた。
「閉店時間近いけど大丈夫か?」
「構いませんよ。お好きな席にどうぞ。」
男は一番奥のカウンター席に座るとカクテルの注文をした。
「ハイ・ハットを。」
ツナは材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎ男の下に持って行った。
「ハイ・ハットです。」
オレンジ色のカクテルをテーブルに置いてカウンターに戻ろうとするツナを男は引き止めた。
「ちょっと待ってくれ。」
「何でしょう?」
注文を間違えてしまいましたか?と訊ねるツナに男は話を聞いて欲しいと頼んだ。ツナは頷き男の傍に立つと男は話した。
「俺は何年も前に瑠々子の話を聞いただけで親友を裏切ったんだ。親友はやってないって言ってたけど俺は聞きもしないで暴力を振るってた。でも瑠々子の誕生日パーティーの時にディーノとユニと炎真達が親友が無実だって証拠を持ってきんだ。」
男は話終えると頭を下げた。
「本当にごめんツナ!考え無しの俺が馬鹿だった!!」
テーブルに額を付けて謝罪する男にツナは頭を上げさせる。
「もう良いよ。山本。」
「良くないだろ。俺はとんでもない事しちまったんだぜ?」
「本当にもう良いんだよ。隠れ家みたいなバーを探して謝罪してくれたから。探すの骨が折れたでしょ?」
「謝罪するために探すのは当たり前なのな。」
頭を上げない山本にツナは困り顔をして続けた。
「ハイ・ハットをオーダーした真意は?」
聞かれた山本は漸く頭を上げて口を開いた。
「あの時の俺は足りないものがあったんだ。それはハイ・ハットのカクテル言葉そのものだった。」
ハイ・ハットのカクテル言葉は。
思いやり
後悔した顔をして山本は続ける。
「ツナが女の子に酷いことするわけがないって分かるのに。全く思いやりがなかったのな。ツナの話を聞こうとする思いやりがなかった。それどころか親友に暴力を振るっちまった。ツナはしていないって言い続けたのに。」
ツナは山本がハイ・ハットを飲んでいる間にカクテルを作った。
「トム・コリンズです。これサービスだから気にしないでね。」
「え?でもただで飲む資格なんてないのな。」
山本は少し困惑しながら透明な色をしたカクテルを見詰める。そんな山本の様子にツナは苦笑した。
「トム・コリンズのカクテル言葉は知ってる?」
「いや。知らないな。」
「トム・コリンズのカクテル言葉はね。」
親友
「えっ!!?」
驚く山本にツナは笑顔でトム・コリンズを出した理由を話し出した。
「山本は謝ってくれた。だからさもう一度親友としてやっていかない?」
山本は初めての親友だったと伝えるツナに山本は泣きながらありがとうと答えた。
トム・コリンズをゆっくり飲む山本にツナはビアンキの話を振った。
「そういえばビアンキと揉めたんだっけ?」
「なっ!何で知ってんのな!!」
危うくカクテルを吹き出しそうになった山本にツナは草壁に聞いたと答える。
「この前草壁さんに聞いたんだ。山本が作った病院食をビアンキがポイズンクッキングで駄目にしたって。」
「何かいきなり「ムカつくわ。」って言われて病院食を駄目にされたのな。まあビアンキは俺のこと気に食わねえみたいだから仕方ないけど。あの後、雲雀に注意されたよ。」
「そういえば風紀財団病院で働いてるんだよね?」
「ああ。最初はメディカル給食センターで働こうとしたんだけど雲雀に声をかけられてさ。今は風紀財団病院内で病院食を作ってんだ。」
「そっか。でも同じ病院じゃビアンキと会うたび大変じゃない?」
「まあな。」
山本もまた命からがら日本に帰国して実家に戻ったが既に父親の剛は鬼籍になっていて店が残っているだけだった。おもむろに調理場に入ると包丁とまな板が残っていた。山本は包丁とまな板を見て未来に飛ばされて獄寺が中々修行がうまくいかないことを気にしたツナ達と一緒に手巻き寿司を作ったことを思い出した。
そして山本は食を通して償いをしようと決めた。その結果がメディカル給食センターだった。
メディカル給食センターなら入院している人達の力になれると思った。その入院患者の中にはツナのように暴力を振るわれてしまった者もいるかもしれない。そう考えて山本はメディカル給食センターで働こうとした時、雲雀に声をかけられて、風紀財団病院で働いている。
「雲雀に声をかけられた時は驚いたけど今思うと俺やビアンキを雇ったのも償いの1つだと思うのな。」
「そうかもしれないね。」
笑い合うツナと山本。
山本は会計を済ましFirmamentを出た。
「今度は絶対に間違えないのな!」
山本は決意し、帰路に着いた。
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