琥珀のカナリア


並中から帰宅したツナは和風ハンバーグを初めて一人で作りながら今日あったある出来事を思い出した。

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獄寺と山本が昼休みにそれぞれのファンクラブの女子生徒達を呼び出すために雲雀に体育館を使わせて欲しいと頼んできた。雲雀は眉をひそめたが美那とファンクラブが起こした騒動が片付くと察知して自分の立ち会うのを条件にしてまた風紀を乱さないなら構わないと言って許可し、草壁にその旨を校内放送するように指示した。

昼休み体育館に集まったファンクラブの女子生徒達は何だろうと首を傾げる。風紀副委員長の草壁が放送したのだから何だろうと思うのは仕方ない。

暫くして左側の舞台袖から獄寺と山本が出てきてファンクラブの女子達は歓声を上げたが獄寺と山本の言葉に静まり返った。

「今日来てもらったのは美那さんがお前らに伝えたいことがあるからだ。内容は俺も野球馬鹿も知らないからどんな話をされるのかは分からない。」

「騙し討ちみたいで悪いけど聞いてやって欲しいのな。」


ファンクラブの女子達は美那と聞いて顔には出さなかったが内心ではしかめっ面だった。

舞台袖にいる美那にミキは勇気づけるように頷き、美那は獄寺達がいた舞台袖からゆっくり歩いて舞台に立った。
ファンクラブの女子達を真っ直ぐ見て口を開いた。

「皆の気持ちを考えないで獄寺君と山本君を一人占めして本当にごめんなさい。」

深々と頭を下げ謝罪する美那にファンクラブの女子達は何とも言えない顔をしたが謝罪した美那にこれ以上嫌がらせは止めようと思っていた。
だが過激なファンの中で以前、美那を呼び出して頬を打った上級生と秋子が美那に言い放った。

「謝罪するのに獄寺君が傍にいるのはおかしくない?一人で謝罪しなさいよ!!」

「美那!あんたまた山本を振り回してるの!?いい加減にして!!」

上級生と秋子が責め立てると他の過激なファン達が美那を責め始めた。
責め立てる上級生と秋子、他のファン達に美那は更に謝罪して頭を下げようとしたがそれを山本が止めて、自分達がいる理由を獄寺が言った。

「俺と野球馬鹿がいる理由は美那さんにファンクラブの連中を集めて欲しいと相談されたんだ。」

まさか謝罪するためとは思ってなかったがと付け加えると舞台袖からミキが出てきて、ファンクラブの女子達に静かに言った。

「美那が話しかけても無視するでしょ貴女達は。だから山本と獄寺に頼んだだけよ。貴女達の方こそ謝罪しなよ。だって教科書とノートを破いたりげた箱にゴミを入れて上履きを焼却炉に棄てたんだから。・・・美那を無視していた私も貴女達のことあまり責められないけど。」

美那がされていたいたことをミキの口から聞いた獄寺と山本はため息をした。

「てめぇら美那さんに何やってんだよ。美那さんに嫌がらせするくらいならな直接俺か野球馬鹿に言えばいいだろうが。つか美那さんは俺の親友だ。」

「何で俺らは美那と居たら悪いのな?ここにいる皆だって友人と一緒にいるだろ?美那は俺と獄寺のマブダチなのな。」

「「「「「・・・・・・」」」」」

親友だと言い切るとファンクラブの女子達は獄寺と山本とミキの話を聞いて反省した。
ミキに無視してることを指摘され、獄寺の言う通り意見があるなら自分達から獄寺か山本に言えば済んだ話だし山本と同様に自分達だって友人と一緒にいるのだから。

小声で謝罪するファンや無言で頭を下げる秋子達は体育館を出て行った。
右側の舞台袖で一部始終を見ていた雲雀は美那と獄寺と山本、ミキを一瞥すると一言「まあ、弱い草食動物にしては上出来な方じゃない?駄犬と野球男は放課後応接室に来な。話がある。」と言って立ち去った。
雲雀の最初の方の言い方にキレた獄寺はダイナマイトを持ち出し山本が獄寺を押さつつ何を話すのだろうと首を傾げミキはダイナマイトを間近で見て顔色を青くさせた。美那は雲雀に謝罪する場所を提供してくれたことに感謝した。


放課後、応接室に来た獄寺と山本に雲雀はツナを隣に座らせて本当はもっと早くに話したかったんだけどねと話をした。

「美那の指輪が無くなってこの子のせいにした騒ぎがあったよね。その真相は知ってる?」

探るように見てくる雲雀に獄寺と山本は頷く。

「美那さんから聞きました。」

「凄く反省してたのな。」

「へえ。反省ね。・・・じゃあ君達も反省しなよ。美那の話だけ聞いてこの子の話は全く聞かないで責めたんだからさ!!」

最後の方は怒りを顕にしている雲雀。
獄寺と山本はその日のことを思い出した。
確かに美那の話だけ聞いてツナの話は一切聞いていない。
あの日ツナの話を聞かずに責めたこと、それを指摘されるまで気付かなかったに獄寺と山本は自分達が情けなくなった。
二人の表情を見てツナは気にしなくていいからと前置きをして話をした。

「獄寺君も山本も二度と同じことはしないでね。」

「二度と同じことはしない。」

「本当に俺って馬鹿なのな。これからはちゃんと話を聞くのな。」

「二人共反省してるから咬み殺すのはやめてあげて下さい。」

あっさり許したツナに雲雀は処断が甘いと内心では怒っていたが話は終わりだと告げて獄寺と山は反省して退室したのだった。

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美那が同じクラスの女子と獄寺と山本のファンクラブと揉め事を起こしていたことを超直感と雲雀の話を聞いて知っていたツナ。ただ沢田家とは無関係になっているし自分に関係のないことだったから傍観に徹していた。

「美那ちゃんのことはお兄さんから話を聞いただけだけど少しずつ変わっていこうとしてるのかな。」


ツナはひき肉と炒めた玉ねぎや卵、パン粉をボウルに入れて捏ねながら呟いた。
ツナが願うのは二度と同じことをしないでほしいことと、二度と自分に関わってこないことだけだった。



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