琥珀のカナリア
初めて会った公園に行ったツナと雲雀は懐かしそうに見た。京子と花が言っていた通り、整備されていてジャングルジムが追加されていた。
砂場には親子が山を作っていて、ジャングルジムの天辺まで登っている子供とそれをハラハラして見ている父親がいて、ブランコには幼い女の子が乗っていて少し年上の男の子に押してもらっていた。
「ブランコ懐かしいね。」
「よくお兄さんに押してもらってましたね。」
「押してあげようか?」
冗談混じりに言う雲雀にツナはしなくて良いです!と顔を赤くして言った。
公園を出てクレープを買って食べながら並盛商店街を物色して雲雀家に戻った頃には夕方から夜に変わる時間になっていた。
デートを存分に楽しんだツナは早々に床につき、雲雀はリボーンからの連絡を待っていた。
本を読みながら待っていると携帯の着信音が鳴った。
雲雀は携帯に出て結果を聞いた。
「どうだった?」
『美那も家光もママンも泣き崩れて雲雀が望んだように修羅場だぞ。』
「それは見たかったな。」
『面白そうに言うんじゃねえ。まだやる気なんだろ?』
「当たり前だろ。咬み殺さないけど潰す気だから。」
リボーンはどんな潰し方だと内心で突っ込んだが口にはしなかった。
『そうか。じゃあな。』
リボーンは切ってまた騒動が起こるなと呟いた。
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夜、美那と奈々と家光は話し合いをした。
泣きはらして目が腫れている美那に奈々と家光は頭を下げて謝った。
「ツッ君に嫌がらせをしたのは不安だったのよね?なのに気付かないでいてごめんなさい。」
「美那の気持ちに気付かずに本当にすまなかった。」
頭を下げて謝罪する奈々と家光。美那はそんなことないと言って二人の頭を上げさせた。
「そんなことないわ!母さんも父さんも凄く優しくしてくれた。でも美那はその優しさがずっと欲しくてツナを陥れてた。一番悪いのは美那の方。本当にごめんなさい!ツナを苛めてごめんなさい!!」
泣きながら謝罪する美那に奈々は手を優しく握り言った。
「ツッ君に謝ろうね?母さんも謝るわ。」
「皆で謝ろう。」
美那と奈々と家光は過ちに向き合ったが雲雀によって叩き潰されてしまうことなる。
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次の日並盛全体に沢田綱吉は雲雀恭弥の婚約者だと知らされた。
それを聞いて美那はそうだろうと納得していたがこれから雲雀家に連絡を取ってツナに謝罪しようと動いていた奈々と家光は驚愕した。
「えっ!?」
「婚約ってまだツナは14才の子供だぞ?」
驚く両親に美那はまずはツナに謝罪しないといけないと言って落ち着かせた。
「ツナへの謝罪が先だと思うわ。」
「そ、そうだな。」
家光が雲雀家に連絡を取って雲雀の父親である恭二に取り次いでもらおうとしたが仕事で家を開けているらしく雲雀に取り次がれた。
『門外顧問かい?』
「ツナに謝罪したいからツナに会わせて欲しい。」
『謝罪?今日来れるかい?』
「勿論だ。妻と美那も謝罪したいと言っているのだが大丈夫だろうか?」
雲雀は考えるふりをして少し置いてから話した。
『・・・・・・門外顧問と沢田奈々だけなら良い。悪いけど美那はあの子を失声症に追い込んだ張本人だ。医師も暫くは会わせない方が良いと診断してるから。この条件が飲めないなら今回は諦めな。』
家光は条件を飲んだ。一番悪いのは親である自分達で一番最初に謝罪しなくてはならないと考えていた。
仕度をして出ていく家光と奈々を見送って美那は自室に戻った。
「父さんは理由を言わなかったけど美那が謝罪に行けないのは美那の自業自得なんだわ。」
ツナが声を失った原因は美那自身。
謝罪すら許されないんだと美那は自嘲した。