琥珀のカナリア
「実はなママンがオヤツを作るのを忘れた日作ったのは美那になっているが本当はツナなんだ。」
「え?でも美那ちゃんが作ったって・・・。」
戸惑う奈々にリボーンは証拠に美那は作れなかっただろう?と言った。
「証拠はそのホットケーキが物語ってる。美那、お前本当のことを言ったら追い出してツナに酷いことをしてやるって言ってランボ達を脅したらしいな?」
「ッーーーー!?」
美那は顔を上げて子供達を見るがジッと見つめ返すランボ達の目は子供とは思えないほどに底冷えするよな冷たい目をしていて嘘つきと言っていた。
奈々と家光はどういうことだと美那に聞くがリボーンがまだ話は終わっていないと二人を止めた。
「まだ終わっちゃいねえ。美那、花を引っこ抜いてプランターを蹴り倒してそれをランボとイーピンのせいにしてたな?それから自分の役割をフゥ太に押し付けていたことがあったな?ここからは雲雀の話と俺様の予想に過ぎねえが幼い頃から悪戯をしてそれを全部ツナのせいにしてきたんだろ?」
「ーーー!!」
全部分かっていると言うリボーンに立ち尽くしていた美那は崩れ落ちるように座り込んだ。
リボーンは美那の隣に行き諭すように言った。
「お前は居場所の作り方を間違っちまったんだ。」
「?」
リボーンの方に向く美那にリボーンは続けていく。
「居場所ってのはな誰かを陥れて手に入れるものじゃねえんだ。信頼関係を作って手に入れるものなんだぞ。」
「・・・・・・信頼関係?」
呟く美那にリボーンはそうだと答えた。
「嘘を付いてもバレたら終わりだ。」
「ーーーっ!!」
美那は後悔して泣いてビアンキは美那を立たせて部屋に連れて行き、子供達も子供部屋に戻った。
リビングに残ったのはリボーンと奈々と家光だけ。
家光は美那を問い正すと立ち上がったが奈々が泣きながら止めた。
「待って。美那ちゃんだけが悪いんじゃないわ。きっと美那ちゃんは養女だということがずっと不安だったのかもしれないわ。」
「・・・・・・そうかもしれないな。」
泣きながら奈々に言われて家光は神妙な顔をして座った。
リボーンは「その程度しか分からねえなら30点だな。」と言った。
「どういうことだ?」
家光が奈々を抱き寄せながら聞くとリボーンはため息混じりに話した。
「このことで一番悪いのは美那の言い分だけを信じてツナ言い分を聞かないで蔑ろにしたお前らだぞ。」
「蔑ろなんてしてないぞ?それに何も言わないツナにも問題はあるだろう?」
何で美那に嫌がらせをされていたなら言ってくれないんだと不満そうに言う家光にリボーンは呆れ返る。
「じゃあ聞くが美那が沢田家に来てから一度だってツナの話を聞いたか?言い分を聞いたか?」
「そりゃ勿論聞いーーー」
「雲雀の話だとツナは聞いてくれないと泣いていたらしい。ツナが理由を言っても美那が割り込んでツナの邪魔をして美那が適当な嘘を言ってそれを疑いもせずにお前らは信じてたんだからな。」
家光を遮って言ったリボーンは更に続ける。
「思い出してみろ。ツナの話を聞いていたのかを。悪戯をしたのかと聞いてツナの言い分を聞いた日があったのかを。」
奈々と家光は遠い記憶を思い出して青ざめた。
ツナが理由を言う度に美那が代わりに話していたのを思い出した。美那の話を聞いて頭ごなしにツナを叱ったことを思い出した。
「どうやら何か思い当たったみてえだな。ちっとは反省しろ。」
じゃないととんでもないことになるぞ?と付け加えリボーンは部屋に戻っていった。
リビングに残された家光と奈々はこの日泣き続けた。
自室で美那は自分のしてきたことを思い返していた。
ツナを陥れて失声症になるまで嫌がらせをして、更に道具のように扱った。
自分より幼い子供達を脅した。
回りの配慮に欠けて秋子と獄寺と山本のファンクラブの女子達を不快にさせた。
思い返し自分に置き換えてみて。美那はゾッとした。
「美那だったら耐えられない!それなのに美那はツナとランボとイーピンとフゥ太それに秋子達に酷いことしてた。・・・・・・酷いことなんて言葉じゃ済まされない!」
自分がしてきたことを置き換えたことで漸く分かった美那。だが本当に遅すぎた。