琥珀のカナリア
ツナが京子達と出掛けている時、雲雀はリボーンを応接室に呼んでいた。
「チャオッス!」
リボーンはソファーに座ると雲雀は楽しそうに口を開いた。
「実はさ明日バラそうと思うんだ。」
「明日?」
「うん。明日は土曜だし美那と両親モドキは家にいるだろ?」
「それは分かったがどーやってバラすんだ?」
リボーンは雲雀直々が淹れた珈琲を飲みながら聞くとそこで君に頼みたいんだと雲雀は話した。
「美那にホットケーキを作らせてみてよ?多分作れないと思うよ?」
「それは良いがどうしてそう思う?」
リボーンの疑問に雲雀は答えた。
「家庭科の教師に聞いたら随分前の調理実習でホットケーキを作る時に美那は卵もまともに割れなかったらしい。笑って誤魔化した後調理はしないで使った調理器具を洗っていたんだって。どうしてバレるのかはお楽しみだよ。」
「お楽しみってお前な・・・まあ俺もママンと家光に言いたいことがあるしな。明日ママンと家光の前で美那に作らせてみるぞ。」
「頼んだよ。」
「ああ。」
リボーンが退室すると雲雀は美那はどう出るかな?とクスリと笑った。
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土曜、雲雀家は賑やかだった。
「ツナ着替えた?」
「うん。」
ワンピースを着たツナが部屋越しに答えるとビアンキと京子と花、ハルが入っていく。
「とても似合ってるわよ。貴女に頼まれたイヤリングとバッグチャームを持って来たわ。」
ビアンキに促されツナは以前京子から貰った星のイヤリングを付けると京子は似合うね!と喜んだ。
「ツナちゃん似合ってるよ!」
「ツナさん可愛いです!それじゃハルはこれを貸してあげますね!」
ハルはワンピースに似合いそうなネックレスを付けた。
最後にリップを塗って可愛いツナが完成した。そして花がツナの手持ちのバッグから一番似合う物をチョイスした。
「この中ならこのバッグが良いわね。」
渡されたバッグにツナは花から貰ったヒヨコのマスコット付きのバッグチャームを付ける。花はそれを見て嬉しそうに笑った。
「それじゃ楽しんで来なさい。」
「また学校でね。」
ビアンキ達は雲雀家を後にした。ビアンキ達が出ていくと雲雀がツナの部屋に入っていく。
「似合ってるよ。」
「ありがとうございます。」
誉められて嬉しそうに笑うツナと顔がにやけそうなのを必死にこらえている雲雀は出掛けたのだった。
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ビアンキが帰宅するとリボーンに呼ばれ部屋に行くと子供達が居た。
「リボーンどうしたの?」
不思議そうにするビアンキにリボーンは話した。美那がしていることに勘づいていたがリボーンから全て聞いたビアンキはランボ達の頭を優しく撫でた。
「辛かったわね。でもよく頑張ったわ。」
子供達の頭を撫でるとリボーンに向き直った。
「それじゃ美那にホットケーキを作らせるのね?」
「そうだぞ。」
ビアンキはリボーンに確認して頷いた。
午後の3時近くになりリボーン達は美那と奈々と家光が寛いでいるリビングに行きホットケーキが食べたいとリクエストした。
「ホットケーキが食べたいぞ。」
「私も食べたいわ。」
リボーンとビアンキが言うと奈々は今から作るわねと台所に向かうがリボーンに止められた。
「ちょっと待ってくれ。今日は美那が作ったホットケーキを食べてみたいんだ。」
そう言われて美那は驚いた顔をした。そんな様子の美那をよそにビアンキも言った。
「美那はランボ達に三段重ねのホットケーキを作ってあげたのよね?食べてみたいわ。」
美那は忘れていたことを思い出し内心焦った。
「母さんの方が美味しいと思うわ。」
「でもフゥ太とランボとイーピンは美味しかったって言ってたわよ?そうよね?」
ビアンキはランボ達に聞くとわざと大きく頷いた後食べたいと騒ぎ出した。その様子を見て家光も娘が作った物を食べたいと言い出し、奈々は美那にエプロンを渡した。
美那は渡されたエプロンを手にして顔色を青くさせた。
それからは散々たるものだった。
まずホットケーキミックスと牛乳をボウルに入れたは良いが卵を割るのに失敗してボウルの中に入った卵のカラを取り除くのに時間がかかり、なれない手つきで混ぜて生地を所々に飛ばした。
フライパンに生地を流し込むのは何とかなったがフライ返しが上手く扱えず生地を裏に返せず歪なロールケーキのように丸まったり真っ黒に焦げた。
そしてメイプルシロップが置いてある場所が分からずに探し回った。
一部始終を見ていた奈々は唖然とした。
とてもじゃないが作ったことがないと分かる程に手際が悪かった。
出されたホットケーキに家光も唖然とし、子供達は美那を冷めた目で見ていた。
ビアンキは本当に作ったことがあるの?と聞いてきて美那は俯いた。
リボーンは奈々と家光に話をした。