琥珀のカナリア
リボーンはボクシング部と野球部の練習が終わる時間を見計らい、了平と獄寺と山本を並中の屋上に呼び出した。
呼び出された了平達は結果を知らされると分かり緊張していた。
「よし、揃ってんな。それじゃあ結果を言うぞ。結果は守護者戦は雲雀と了平と山本は合格だったが獄寺は不合格。ボス戦はツナと美那は不合格だ。よって10代目はザンザスに決定したぞ。」
結果を知らされて獄寺は申し訳なさそうに言った。
「美那さんと沢田さんが不合格なのは俺のせいですよね?」
「いいや、それはカンケーねえぞ。9代目は美那もツナも10代目にもマフィアにも向いていないと判断したんだ。元々ツナも美那も一般人だしな。」
正確には美那は元マフィアだが説明するのが面倒だったリボーンは省いた。
「今まで本当にご苦労だったな。」
リボーンが労いの言葉を掛けると了平達は答えた。
「いや、ご苦労でも何でもないぞ!コロネロ師匠のおかげで極限に強くなったからな!」
「ハハハッ!剣道結構楽しかったのな!」
「俺も今回のことで学ぶことがありましたから。」
笑って答えた了平達はリボーンは小箱を懐から出して了平と山本に言った。
「雨のボンゴレリングと晴のボンゴレリングをこの箱に入れろ。」
言われて了平と山本はズボンからボンゴレリングを出した。
「極限リングには世話になったな。」
「リングがなかったら剣道することもなかったのな。」
ボンゴレリングにお礼を言い小箱に入れた。
リボーンは小箱を懐に入れると「それじゃあな。」と行って屋上からピョンと飛び降りた。
了平達も帰るかと言って屋上から出て行った。
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雲雀の屋敷に戻ったツナと雲雀は離れの縁側でのんびり過ごしていた。
「小鳥やっと終わったね。」
《はい。》
口を動かし答えるツナに雲雀は立ち上がり手をツナに差し出した。
ツナは足を庇いつつ立ち上がると真剣な顔をした雲雀が口を開いた。
「小鳥、僕が18になったら結婚して。」
ツナは林檎のように顔を真っ赤にして頷いた。
本邸のリビングに行き自分が18になったらツナと結婚すると発表し雲雀はツナは自分のだと薫と恭二アピールしたのだが薫と恭二は喜んだ。
「そうなの!?それじゃ綱吉ちゃんは義娘ね!綱吉ちゃんこれからは私のことお母さんって呼んでね!」
「こんな可愛らしい子が義娘になってくれるとはありがたいね。恭弥は可愛いのかの字もないし。これからはお父さんと呼んで欲しいな。」
はしゃぐ薫とニコニコする恭二にツナは少しビックリしたが頷いた。
コクリと頷いたツナに薫と恭二は更に喜んで。
「綱吉ちゃんの着物を用意しないと。」
「綱吉ちゃんは洋服も似合うが着物も似合うからね。今度見立てよう。」
どんな柄にしようか、小物類も揃えなきゃと騒ぐ薫と恭二に雲雀はアピールが失敗したことが分かり騒ぐ両親を尻目にツナを連れてリビングを静かに出て行った。
自室に戻ってツナを座らせると雲雀は襖を閉めて襖に向かって小さくため息を吐いた。どうやら騒ぐ両親に精神的に疲れたらしい。
心配そうにするツナに気付いて雲雀は何でもないと言った。
「何でもないよ。それより今度の土曜日に出掛けよう。デートってやつね。」
ツナはコクコクと嬉しそうに頷いた。そしてデート当日、主に京子と花とハル、ビアンキによって本邸は大騒ぎになることになるのだがそれはほんの少し先のことである。
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自室で美那は膝を抱えていた。
「美那はママンとパパンの子ですらなかった。でもそれはもういい。ママンはママンでパパンはパパン。それに母さんと父さんがいるもの。でも美那がツナにしていたことがバレたらどうしよう。リボーンが何も言わずイタリアに帰国したらバレることはないけど。」
自分がしてきたことを考えてはどうしようと嘆き、奈々と家光に知られないように願うしか出来ない。
その一方で雲雀のことはもう諦めていた。
子供の頃に一目惚れし、帰国した雲雀に更に惚れた。
そして美那がボンゴレのボスになれば雲の守護者として雲雀との繋がりが出来て、そこから新しい関係を作ろうとしていたが。全てが裏目に出てしまっていた。
「恭弥君は美那を見てはくれなかった。いつも見ていたのはツナだけ。それに雲戦と大空戦の時の恭弥君は軽蔑してた。ううん、今思えば子供の頃から恭弥君は美那を軽蔑した目でしか見てなかった。そうだよね、だって恭弥君も美那がツナにしていること知ってるから。」
本当に好きな子が酷いことをされて怒らない人間は居ない。人嫌いの雲雀なら尚更だ。
「本当に恭弥君はツナが好きだものね。」
涙を流す美那。
奈々と家光にバレたらと怯えているが、雲雀を諦めること選んだ美那の中で漸く何かが動き出すが既に遅かった。