琥珀のカナリア


「えっ・・・?」

「9代目それはどういうことですか!?」

ヴァネッサとキースの子供ではないと告げられて美那は茫然として、家光は驚愕した。
9代目は理由を話出した。

「ヴァネッサは抗争中に怪我をしてしまって子供が生めない体になってしまったのだよ。キースもまた抗争で怪我を負いそれが原因でね。ヴァネッサとキースは幹部達と話し合った末に養子を迎えることにしたのじゃよ。」

家光は美那は誰の子供なのだと考えた。普通に考えられるのはインプルストファミリーの親戚筋だろうが美那の炎は嵐属性。家光はそれなら美那は誰の子供だと9代目に尋ねた。

「では美那は誰の子供なのですか?インプルストファミリーの親戚筋ならば美那の炎は大空属性の筈です。」

大空属性の炎と聞いて美那はなんのことだろうと思ったがヴァネッサとキースの子供ではなかった事実を知って聞く気も起きない状態だった。
9代目は美那の出生から話し出した。

「養子を迎えることにしたのだが当時インプルストファミリーの親戚筋のファミリーは次々と世代交代していて迎えられる者がいなかったのじゃよ。そんな時じゃった。キースの遠縁のファミリーが敵対ファミリーと抗争が始まったのは。インプルストファミリーとキースのファミリーが駆け付けたんじゃが既に殲滅されていて敵対ファミリーは引き上げていた。ヴァネッサとキースは構成員達に生き残りがいるか探させ二人も探した。そして唯一ボスの隠し部屋に隠されていた赤子がだけが生きていた。その赤子はボスの子供じゃろう。その赤子が美那さんだよ。」

「キース側の遠縁なら大空属性でない可能性があると?」

「ボスと妻は嵐属性だったようだ。」

家光が問うと9代目は静かに答えて続ける。

「美那さん。炎には属性というものがあるのじゃよ。綱吉さんは橙色で大空属性、雲雀恭弥君は紫色で雲属性、山本武君は水色で雨属性、笹川了平君は黄色で晴属性そして獄寺隼人君は赤色の嵐属性。美那さんも嵐属性だ。ここまでは理解出来るかな?」

「はい・・・何とか。」

「それでボンゴレは大空属性の者がボスの座に着くのじゃよ。」

「え?それじゃ美那は何の為に・・・?」

「9代目は何故リング争奪戦を開いたのですか?」

美那が継げないならリング争奪戦を開いた意味は一体何だったのだと家光は顔には出さないが憤りを感じた。

「美那さんと家光の思っていることは最もじゃ。しかし次々と候補者が殺され残ったのは綱吉さんだけじゃった。だが綱吉さんは声を失っていた。そこでワシは考えた。綱吉さんか美那さんのどちらかにボンゴレを継いで貰えないかと。」

一旦言葉を切ってから9代目は続けた。

「綱吉さんが継ぐことになればそのままボンゴレリングを所持して貰うことになるが、美那さんだったらボンゴレリングはジッリョネロのドンナに返還しようと考えていた。ボンゴレの血を汲んでいない美那さんがボンゴレリングを指にはめたらリングに拒絶され体中から血が噴き出して最悪死んでしまうからね。」

美那は思い出した。完成させたボンゴレリングをはめようとして9代目に止められたことを。

「そ、それじゃあのままはめていたら美那は・・・・・・。」

ゾッとした美那は自分で体を抱き締める。家光は美那を落ち着かせるように頭を撫でながら10代目はツナに継承するのかと聞いた。

「美那が失格なら10代目はツナが継承するのでしょうか?」

9代目は静かに答えた。

「綱吉さんもマフィアとして失格じゃよ。」

9代目の答えに家光は不安を隠しきれないが聞くことにした。

「・・・では、誰がボンゴレを継ぐのですか?」

「ザンザスに後を継いで貰おうと思っておる。」

「ザンザスにですか!?」

ザンザスは穏健派の9代目とは違って強硬派だ。ボンゴレを継ぐ資質は無いのではないかと家光は反対するように言った。

「ザンザスはヴァリアーのボスとしては有能ですがボンゴレのボスとしては資質は無いように思えますが。」

「そうじゃな。だがヴァリアーのボスだからこそボスの重責を分かっておる。」

「分かりました。」

ザンザスにボンゴレを任せると言う9代目。
最終的に決定権は9代目にある。家光は従うしかない。

話が終わると家光と美那は静かに退室し、隣の部屋に待機しているコヨーテ・ヌガーにジッリョネロにボンゴレリングを返還する為に会談を申し込むように指示を出した。



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