琥珀のカナリア


ザンザスは飛び上がり狙い撃ちをするように撃ってくる。
容赦なくザンザスの死ぬ気の炎が蓄積された弾丸が跳んで来てツナと雲雀は避けて攻撃の隙を見ていたが美那はハーフリングに炎を灯し数回攻撃を仕掛けるがザンサスの想像以上の強さに圧倒され逃げ回る。

「ハァ、ハァ。飛べるなんて反則みたいなものじゃない!」

走り回りリボーン達の居る校舎とは別の校舎裏に逃げ込む。

「恭弥君のことだもの。ザンザスを倒す筈。それと攻撃を受けてるツナが動けなくなるのを待つのよ。」

動けなくなったツナからリングを奪い取ればボンゴレ10代目になれる。そう考えて美那は逃げて逃げまくることにした。


上空から見下ろしているザンザスは美那は10代目には相応しくないと結論付ける。

「フン!ボスになりたいとほざいているわりには資質もなけりゃ覚悟すらもなく逃げ回るとはドカスはドカスだな。沢田美那てめえは失格だぜ。」

物影に隠れ怯えている美那を一瞥すると背後から気配を感じ、瞬時に避けた。

「ほう。背後を取るとはやるな。」

ハイパーモードのツナが両手に炎を纏って攻撃に入った。
パンチを繰り出すがザンザスは軽々避けツナを蹴り飛ばした。

『うわっ!?』

吹っ飛ばされ落下するツナは両手を下に向けて炎を噴射させて飛び上がりザンザスに攻撃をしかけていく。

『まだまだぁーーっ!!』

攻撃を繰り出しザンザスは避ける。それが続くとツナはおかしいことに気付いた。

『何で本気で来ない?本気なら俺はとっくにボロボロになってる筈!』

しかし考え事をしていられる程甘くはなくザンザスの拳が飛んで来る。

『考え事なんかしてられない!ザンザスをこっちに引き付けないと!じゃないとお兄さんが仕掛けられない!!』

ザンザスの拳をガードするが飛ばされる。ザンザスは拳銃の弾丸の威力を推進力にして飛ばされたツナに向かっていく。
ツナに追い付きそうになったとき高速で鎖が飛んできてザンザスの右腕に巻き付いた。

「!?」

ザンザスが下を見ると地上から鎖が伸びているのが分かった。

「雲の守護者か。」

雲雀のトンファーの先端から鎖が伸びていた。

「捕まえた。」

ニヤリと笑いトンファーを巧みに操りザンザスを地上に引き寄せた。

落ちていくザンザスを見てツナは作戦は成功したと安堵した。

『成功して良かった。』


ツナと雲雀は作戦を立てていた。

ーーーー

試合が始まりザンザスの弾丸を避けながら作戦を練っていた。

「何とか引き付けないと不味いね。」

雲雀が言うとツナは自分か囮になると口を動かした。

「ちょっとまさか囮になるつもりなの!?」

《はい。だからお兄さんは隙を見て攻撃を仕掛けてください。》

「そんなの承服できないよ!」

《でもザンザスって人は拳銃を使って上空にいる以上俺しかいません。リボーンの話だと美那ちゃんは飛べないみたいですし。それにお兄さんが俺を守ってくれるように俺も守りたいんです!!》

琥珀色の瞳が雲雀を見て言っている。
俺のことを大切に思っている人達を守りたいと。

「・・・分かったよ。ただムチャは絶対にしないで。隙を見てボス猿を叩き落とすから!」

《分かりました!》

ツナは炎を噴射して上空に飛び上がり攻撃を仕掛けていったのだった。


ーーーー

ツナは零地点突破で吸収したザンザスの炎を自分の力に変えて落ちていくザンザスを追っていく。

『追いついた!』

ツナは渾身の力をこめてザンザスに攻撃を入れた。
まともに食らったザンザスは地面に叩き付けられた。

「ガハァッ!」

叩き付けられたザンザスを見てツナは死ぬ気の炎が切れて落下していった。

「小鳥!」

雲雀はザンザスの腕に巻き付いているトンファーを捨て落下してくるツナを受け止めた。

「大丈夫かい!?」

《大丈夫です。それより雲のハーフボンゴレリングを。》

雲雀はツナを下ろしてザンザスから奪おうとした時弾丸が飛んできた。弾丸はツナの頬を掠め一筋の傷が出来る。

雲雀が後ろを振り返ると右腕に巻き付いた鎖を外したザンザスが銃口を向けていた。

「後ろを簡単に取らせるなど甘過ぎる!!」

トリガーを引こうとするザンザスを見て雲雀はツナを庇う為に突き飛ばし一本のトンファーを構えて走り出す。
しかし弾丸は跳んでこない。ツナと雲雀は訝しげにするとザンザスは雲のハーフボンゴレリングを指で弾いて飛ばして雲雀に渡した。
受け取る雲雀はどういうことだと口を開いた。

「一体どういうこと?」

拳銃をしまうザンザスに警戒して雲雀はツナを背に庇う。
ザンザスはニヤリと笑った。

「雲雀恭弥。てめえは他の守護者と馴れ合わず独自の目線で10代目候補を守った。それこそが雲の守護者の役目。合格だ。」

「ふぅん。つまりこの茶番は僕達を試すためだったわけか。」

大掛かりな茶番だと呆れつつ雲のリングを完成させる雲雀と成り行きを見守っていたツナはだから本気じゃなかったんだと思うと同時にとんでもない試合だったとがくりと肩を落とした。

チェルベッロが雲雀の方に歩み寄り雲のリングが完成されているのを確かめた。

「完成されてますね。」

それを見届けたザンザスは棄権した。

「俺は棄権するぜ。」

「ザンザス氏、本当によろしいのですか?」

「ああ。構わん。俺の役目は終わった。あとはジジィが決めることだ。」

チェルベッロがザンザスの棄権を認めた。

「雲戦の勝者は雲雀恭弥氏です。」


リボーン達の観覧席では雲雀が勝利したことで盛り上がるが家光は顔色が悪い。

『どういうことなんだ!?美那の炎は嵐属性だ!?美那はヴァネッサの娘だぞ?』

顔色が青い家光はリボーンに小声で聞いた。



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