琥珀のカナリア


ドガガガーーーン!!ーーー
ドガガガアン!! !ーーー

次々と爆発する時限爆弾。観覧席に設置されているモニターはザーザーと砂嵐を映していた。

「隼人!?」

「獄寺っ!!」

「沢田と雲雀は極限無事なのか!?」

「・・・・・・あの馬鹿。」

絶望的だと思ったがリボーンはいち早く気付いた。

「あそこ見ろ。」

「え?」

爆発の後の煙りから三人の足が見えてきた。

「隼人ーーーっ!」

「獄寺っ!」

「三人共無事で良かったぞ!!」

駆け寄る美那と了平と山本。獄寺は申し訳なさそうな顔をしていた。

ツナと雲雀が獄寺から離れると獄寺は美那に土下座した。

「すいません・・・、美那さん・・・・・・。負けました。」

「良いのよ。無事で良かったわ。それにまだ争奪戦は始まったばかりだから。」

獄寺の手を握って無事を素直に喜ぶ美那。

そこにチェルベッロが観覧席スペースに現れた。

「嵐のリングはベルフェゴールのものとなりましたのでこの勝負の勝者はベルフェゴールとします。」

「それでは次の対戦カードを発表します。明晩の勝負は雨の守護者の勝負です。」

明日の対戦カードを伝えてチェルベッロは立ち去りヴァリアー幹部も並中から去った。


雲雀と了平は珍しくツナに対して厳しい顔を見せていた。

「君の考えてることは何となく分かってるけど無茶しないで。何かあったら悲しむ人がいるんだよ?」

「極限雲雀の言う通りだぞ。沢田に何かあったら極限に京子と俺と黒川と三浦が悲しむ!」

「・・・・・・。(うっ。ごめんなさい。)」

口を動かして謝るツナに雲雀は仕方ない子だと許して了平はもう無茶はしてくれるなと告げた。

「嵐戦終わったし帰るよ。」

雲雀はツナの手を繋いで校舎から出ていき了平も出ていった。

「さて俺達も帰るぞ。」

リボーンが言うと美那、山本は校舎を出ていったがだがシャマルは獄寺にちょっとツラ貸せと言った。

「何だよ?」

「何だよじゃねえだろ。ちゃんとツナと雲雀にお礼言えよ?お前死んでたんだぞ。」

「別にアイツらに助けろ何て頼んでねえよ!」

ギリギリまで戦いハーフボンゴレリングを完成させようとしていたのを邪魔されたと苛立っている獄寺。シャマルは諌めるように言った。

「お前が死ねばビアンキちゃんが嘆き悲しむだろーが。それだけじゃねえ。美那や山本という身近な人間も悲しむ。それすら分からねえ奴がボスの右腕を語るな!!」

「ッ!」

「分かったら今日の戦いの反省でもしろ!」

シャマルは獄寺に肩を貸した。

「おらよ。さっさと治療するぞ。」

「・・・。」

保健室に向かいながら獄寺は争奪戦で勝たなければ意味がないと戦った。ツナと雲雀が割って入ってきたことで何も分かってない奴らだと思っていたが何も分かってなかったのは自分の方だったと理解した。


ーーーー

翌朝、獄寺はツナが教室に入って来ると呼び止めた。

「ちょっと良いか?」

「・・・・・・。(何だろ?)」

ツナは不思議そうに首を傾げる。
獄寺は頭をかきながらボソボソと言った。

「あー、その、なんだ、昨日は助けてくれてありがとな。沢田さん。」

獄寺のまさかの言葉に目を大きくするツナ。
ツナは別に獄寺の為だけに助けた訳じゃない。ビアンキの為だといった方が良いだろう。マフィアを除けばツナにとってビアンキは優しく接してくれる姉貴分のような存在。そのビアンキを悲しませたくはないから助けてようとした気持ちが強かった。(同じクラスの獄寺が目の前で死なれるのも後味悪いが。)

ツナは首を横に振り気にしなくて良いとメモ帳に書いて伝えると獄寺は雲雀の居場所を聞いてきた。

「沢田さん本当にありがとな。雲雀は応接室に居るか?」

ツナは頷いて答えると獄寺はそうかと言って応接室に向かっていった。

「・・・・・・。(あの獄寺君が意外だったなあ。しかもお兄さんにもお礼を言いに行くなんて。)」

獄寺の後ろ姿を見て思った。


応接室ーーー

獄寺は応接室のドアをノックすると草壁が出てきた。

「獄寺隼人か。何か用か?」

事務的に問う草壁に獄寺は雲雀に話があると言って草壁を押し退けてデスクで書類を見ている雲雀の前に歩いていく。

「何の用?」

眉間に皺を寄せる雲雀。獄寺は口を開いた。

「昨日はありがとな。」

若干驚く雲雀だが顔には出さなかった。

「別に。君を助けたわけじゃないしね。」


獄寺は雲雀が助けたのは自分ではなくツナだと分かっていた。

「だろうな。でも結果的に助かった。」

そう言うと退室した。

教室に向かっていると山本が美那の教室から出てきた。

「おはようさん。獄寺どこに行ってたのな?」

教室、昇降口に通じる廊下や階段とは真逆の方向から来た獄寺に山本は不思議そうに聞いてきた。

「別にどうでも良いだろ。」

「気になるのな。」

しつこく聞いてきそうな山本に獄寺は簡潔に答えた。

「応接室だ。」

「ああ!昨日のお礼なのな!沢田には言ったのか?」

「言ったよ。うるせーな。」

悪態をつきながら自分の教室に入って行く獄寺を見て山本はふとあることを思い出した。

「そーいや、美那と友達になったけど、切欠は沢田だったのな。俺沢田に何かを話しかけてたのな・・・。あっ!」

『思い出した!レギュラーから外されそうになって落ち込んでた時、沢田にアドバイスをしてもらおうと思って聞いたんだったのな。』

美那がツナの代わりに答えたけれど。

「俺から話しかけておいて沢田のこと無視しちまった!」

山本は慌てて教室に入っていった。



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