琥珀のカナリア


嵐戦はベルが圧倒的な強さを見せていた。

ナイフを投げつつベルは獄寺に問う。

「お前さ嵐の守護者の使命って知ってる?」

「あぁ?」

「しししっ、分かってないみたいだね。常に攻撃の核となり休むことのない怒濤の嵐。俺には出来るけどお前には無理だね。」

「何だとっ!」

「ししっ、立ち止まってる暇あんの?」

ベルのナイフが獄寺に向かって飛んでくる。獄寺は何とか避けるが今度は違う方向からナイフが投げられる。

「くそっ!これじゃあ攻撃に移れねぇ!!」

獄寺はダイナマイトを壁に設置すると一端引いてベルの攻撃が届かない所まで移動した。
ベルの目の前でダイナマイトが爆発するがベルは気にせずにその場でハリケーンタービンの突風にナイフを乗せて獄寺が持っているダイナマイトの上部を切断した。

校舎端の観覧席で試合を見ていたツナ達は驚きしかない。

「・・・・・・。(ベルって人まだ廊下にいるのに!?)」

「隼人は理科室にいるのに何で!?」

「では相手は獄寺殿が見えていないのに!?」

「極限どういうことなのだ!?」

「獄寺しっかりするのな!」

「眠くなってきた。駄犬さっさと咬み殺しなよ。(ナイフに仕掛けがあるんだろうね。)」


ツナ達の驚きや焦りや不安(雲雀は眠気で苛立ち)をよそにベルはナイフで攻撃して獄寺の体を切り裂いていく。

「いってー!!何でだっ!」

「しししっ。俺王子だからさデキが違うんだよね。まあ嵐の守護者がこれじゃあお前のドンナ達も知れてんな。」

「!!!」

理科室の近くでベルはナイフを20本持ち出した。

「怒濤の攻めのシメは針千本のサボテンにしてやるよ。バイバイ。」

突風の勢いにナイフを添えるベル。ナイフは様々な角度から獄寺目掛けて飛んで行く。

ドスドスと突き刺さる音がした。それを聞いたベルは理科室に入っていた。
ベルの目に入ったのは避けきれなかったのか腕と太ももにナイフが刺さっている獄寺。そして大量のダイナマイトが飛んできた。

「果てろ!!!」

直進してくるダイナマイト。だが横から突風が邪魔をする。

「頭悪くて口あんぐり。」

ベルが呆れてると次の瞬間ダイナマイトが突風の隙間をぬうように方向転換した。

「俺が下手うって美那さんに恥をかかすわけにはいかねーんだよ。」

そう言いながら腕と太ももに刺さったナイフを抜き捨てる。


ドガガガッーーー

複数のダイナマイトが爆発した。


観覧席では盛り上がっていた。

「獄寺の奴すげぇ!」

「新技なの!?」

「タコヘッド極限にやるではないか!」

美那達が騒ぐとシャマルが説明した。

「ロケットボム。こいつこそが隼人が掴んだ技だ。」

「方向転換するボムか?」

「ああ。手動なだけにテクニックを要するが曲がれば戦略は一気に広がる。何よりあいつが生き残る為に習得したんだ。」


「・・・・・・。(す、凄い。)」

「隼人凄いわ!」

「・・・やったのか?」

「分かりませんが大ダメージには違いありません。」

獄寺の勝利だと誰もが思ったが。


爆風が消えさると人影が現れた。

「方向転換するダイナマイトとかけっこー考えたね。」

無傷のベルに獄寺は驚愕した。

「なっ!?」

「良い技だけど王子だから当たんないよ。」

「どーなってやがる?だが。一気に行くしかねーぜ!ロケットボム!!」

方向転換してくるダイナマイトにベルは突っ込んで行き全てかわして獄寺との距離を縮めた。

「しししっ!どかーん。」

距離を縮めたベルは獄寺に体当たりした。
飛ばされた獄寺は床に叩きつけられる。
痛みに呻く獄寺にベルは近付いて獄寺のハーフボンゴレリングを奪い取った。

「ししっ、王子の勝ち~。」

ベルが嵐のリングを完成させようとするとチェルベッロがあと2分で爆発が始まると知らせた。

「マジかよ?」

ベルは獄寺に背を向けてリングを合わせようとした時、獄寺の手がベルの足を掴んだ。

「ぐっ!待ちやが・・・れ!」

「!?」

ベルは距離を取りボロボロの獄寺がベルに殴りかかった。

「まだ、負けた訳じゃねーっ!!」

「お前往生際が悪いよ!」

刻々と時限爆弾の時間が迫ってくる中、獄寺とベルは殴り合う。

チェルベッロはお互いに合図を送った。

「そろそろ約束の時間です。」

ピーピーピーと爆発を知らせる電子音がして一つ目の時限爆弾が爆発した。

ドガガンッ!ーーー

「お話しした通り勝負開始から15分経過しましたので爆破が順次開始されました。理科室の推定爆破時刻はおよそ10分です。」

淡々とチェルベッロは告げた。


「そ、そんな!このままだと隼人が~!」

「タコヘッド!急がんか!」

「獄寺早く戻れ!」

「引き上げろ隼人!こんなもんでくたばるなんて馬鹿げてる戻るんだ!」

戻れと言うシャマル達に獄寺は叫ぶ。

「手ぶらで戻れるかよ!これで戻ったら美那さんの右腕の名が廃るんだよ!」

獄寺は頑として戻ろうとしない。

「残り時間9分です。」

チェルベッロがカウントを始め出した。

「・・・・・・。(10分切った!!)」

ツナは戦っている獄寺の下へ駆け出した。雲雀は慌ててツナの後を追った。(美那は時限爆弾の爆発が恐くて足が震えていた。)

「・・・・・・。(このままじゃ最悪ビアンキが悲しむ!)」

「小鳥待ちなよ!爆破に巻き込まれる!!」

ドガガガン!ーーー

2つ目の時限爆弾が爆発したがツナは走るのを止めない。それを見た雲雀は「お人好しもほどほどにしなよ。」と呆れつつ後を追う。


理科室に着いたツナは出血多量で動けなくなってる獄寺と獄寺に小さく溜め息をついているベルがいた。

「ハァ。お前守護者失格だよ。」

「うる、せーっ!」

「嵐の守護者の使命は攻撃の核となり休むことない怒濤の嵐。けどさそれだけじゃ駄目なんだって。やみくもに攻撃しても無駄だよ。攻撃をしつつも敵の技の弱点を見抜きそこを狙っていかないと。右腕を名のるなら尚更だ。現に王子の技や弱点見抜けなかっただろ?」

「っ!!」

「あー、何か知らねーけど獄寺隼人お迎えが来たよ?」

「っ?」

獄寺の目に写ったのはツナと雲雀。

「な、何しに来やがった!」

睨み付ける獄寺にツナは若干怯えるが獄寺を起こそうとする。

「離しやがれっ!俺はまだ!」

「・・・・・・。(もう勝負はついてるのに。無理したら死んじゃうよ。)」

喚く獄寺に困ったような表情をするツナ。
雲雀は無理矢理立たせて肩を貸す形を取った。

「もう時間がない。さっさと歩きな!」

ツナも獄寺に肩を貸して歩き出した。

それを見やったベルも嵐のボンゴレリングを完成させて脱出した。


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