琥珀のカナリア
午前中修行していたツナと雲雀は昼休みにツナの教室に向かった。
教室に入ると京子と花が手を軽く振った。
「ツナちゃん!指輪なんだけど美那さんの勘違いだったんだってね。」
「ベッドの下にあったなんて沢田も災難だったわね。」
ツナは一瞬何だろうと思ったが美那が嘘をついて誤魔化したと分かり雲雀は嘘を付いた美那に舌打ちしたい気分だ。
京子と花にツナは頷くことで応えて雲雀は獄寺と山本がいるのか確かめるが既に修行しに下校しているらしく居ないことが分かり雲雀は口を開いた。
「笹川と黒川。獄寺隼人と山本武はその事を知ってるの?」
「知ってます。」
「アイツここに来て二人に話してました。」
「それならいいよ。小鳥行くよ。」
雲雀は手を繋いで応接室に向かう。手を繋ぐ二人に京子と花は微笑ましく見ていたがクラスの女子達はヒソヒソと話し出した。
「どう考えても沢田さんと風紀委員長は付き合ってるね。でもさ妹の美那は風紀委員長にも言い寄ってるみたいだよ。」
「マジで?」
「よく沢田さんの代わりだとかいって応接室に行ったりしてたじゃない。」
「それじゃ何?美那って奴は姉の彼氏を取ろうとしてるの??」
「だとしたら最低!」
「ただでさえ獄寺君と山本君を一人占めしてる癖に!不潔!!」
美那に嫉妬している女子達の声は京子と花に聞こえていたが京子も花も美那の自業自得であって同情は出来ないと思っていた。
ーーーー
いよいよリング戦初日を迎えた。
夜の11時に並中の校庭にツナと雲雀、リボーンが着くと既に了平と美那と獄寺、山本が居た。
雲雀は群れ過ぎだと軽く苛ついていた。
「ヴァリアーはまだ来てねえのか?」
リボーンが美那達に聞くとチェルベッロの声がした。
「とっくにスタンバイしてますよ。」
「「「「!!」」」」
ザンザスとヴァリアー幹部達は校舎の上から飛び降りてきた。
両者が揃ったところでチェルベッロのが対戦カードを伝える。
「厳正なる協議の結果、今宵のリング争奪戦の対戦カードが決まりました。」
「第一戦は晴の守護者同士の対戦です。」
了平とルッスーリアが対峙する。
「あの坊やね。」
「あいつか~~~。」
睨み合う二人をよそにチェルベッロの女性達はあちらをご覧くださいとある方向に指差す。
「ちょっと何これ!?」
「・・・・・・。(大掛かりだーーー!!?)」
勝負の為に用意した特設リングにツナと美那は目を剥いた。
「それでは晴の守護者。リングの中央に来てください。」
了平はツナの方を見て「行ってくる!任せておけ!」と言ってリングに上がった。
チェルベッロが晴のハーフボンゴレリングの保持者としての確認をすると言った。
「晴のハーフボンゴレリングの保持者である証明としてリングに炎を灯して下さい。」
ボッーーー
ボウッーーー
了平とルッスーリアのハーフボンゴレリングから力強い黄色の炎が灯る。
「晴のハーフボンゴレリングの所持者として認めます。」
「それでは試合を始めます。」
チェルベッロが認めたところで晴の争奪戦が始まった。
ツナと美那と獄寺、山本は了平を応援しているがリボーンと雲雀は気付いた。
ルッスーリアは本気ではないということを。
一見死闘を繰り広げているように見えるのだが所々でルッスーリアが攻撃の手を休めている。
現に。
「何故極限に本気で攻撃しないのだ!」
戦っている了平が気付いている。一方、ルッスーリアは。
「あら~。私は本気よ~♪」
と、笑いながら了平の極限ラッシュをわざと数発食らっている。まるで試合を長引かせるように。
時間だけが経過してライトに照らされて了平は汗だくになっていくがルッスーリアは大して汗をかいていない。
ツナはこのままだと脱水症状になりかねないと不安そうにする。ツナの不安を感じ取る了平は戦いながらも雲雀と美那と獄寺、山本を見ると雲雀以外は皆不安そうにしていた。(雲雀はルッスーリアが何故手加減しているのかは分からないがこの際それに乗って勝てば良いんじゃないかと思っていた。)
不安を感じ取った了平。そこにファルゴに自分を運ばせているコロネロがやって来た。
「悪戦苦闘か?了平の奴汗だくだぞコラ。」
「・・・端から見たらな。」
リボーンの隣に降りたコロネロはリボーンの言葉に引っ掛かりを覚え試合を注意深く見る。
わざと手を抜いているルッスーリアを見てコロネロは口の端を上げた。
「・・・争奪戦の意味が分かったぜコラ。」
コロネロはリングの近くに行き了平に向かって言った。
「晴の守護者の役割は覚えてるかコラ。」
了平はルッスーリアに攻撃しながら答える。
「極限に覚えているぞ!逆境をはね返し大空を明るく照らす日輪だ!」
「よし!それならお前の本当の力を見せてやれ了平!!」
了平は構え極限太陽をルッスーリアに打ち放った。
顎に極限太陽を食らったルッスーリアはリングに崩れ落ちて了平はルッスーリアのハーフボンゴレリングを取り晴のリングを完成させた。
チェルベッロが了平の勝利を認めるとツナは了平が無事だったことに安堵し、美那と獄寺と山本はまずは一勝したと喜びあった。
しかし了平はルッスーリアに手を抜かれたことには納得していない。
再試合を求めたがチェルベッロに争奪戦のやり直しは認めないと告げられ渋々引き下がった。
「明晩のリング争奪戦の対戦カードを発表します。」
「明日の対戦は嵐の守護者の対決です。」
そう言うとチェルベッロは特設リングを解体するスイッチを押すと姿を消し、ザンザスとヴァリアー幹部達も立ち去った。
晴のボンゴレリングを完成させた了平の下に美那が笑顔でお疲れ様でしたと言ってリングを受け取ろうとしたが了平はツナに渡そうとした。
「沢田・・・こいつは渡しておくぞ。」
渡す了平と受け取ろうとするツナに美那は自分を無視するなんて!と怒りたいのを我慢し、獄寺と山本が割って入っていった。
「芝生頭!そのリングは美那さんに渡しやがれっ!!」
「そうなのな!俺達は美那の守護者だろ?」
「俺は極限に沢田の守護者だっ!」
「なんだとてめえ!」
揉め出す了平と獄寺と山本。ツナは慌てて晴のボンゴレリングをリボーンに渡した。
渡されたリボーンは俺が持っていて良いのかと雲雀と了平、美那と獄寺と山本に確認を取る。
「俺様が持ってて良いのか?」
「リボーンなら美那は良いわ。」
「美那さんが良いと仰られるなら!!」
「小僧なら良いのな。」
美那達はリボーンなら構わないと答えるが了平はツナに聞いた。
「沢田は極限にどう思っているのだ?パオパオ師匠に持っていて貰うか?」
ツナはこくりと頷いた。
「沢田が良いなら俺は構わん。」
「僕も気にしないから赤ん坊が持ってなよ。」
「それじゃあ俺様が預かってやるぞ。」
納得したところで了平はコロネロと、獄寺と山本は「美那さん失礼します!」「じゃーな。」と美那に声をかけて帰路についた。
ツナもまた雲雀と帰宅する。
「美那、俺達も帰るぞ。」
「分かったわ。」
美那は自分ではなくツナの守護者だと言い切った了平に腹を立てて、雲雀の隣にいるツナの後ろ姿を睨み付けた。