琥珀のカナリア
ツナは美那に付けられてることに気付くことなく公園に向かっていく。
美那は小細工して奈々と家光の愛情を貰うのに実の子供のツナは何もしないで愛情を受けれる。
美那はそんなツナが憎くて虐めて苦しめたかった。
『ツナがいなかったら良いのに!!』
ツナさえいなかったら奈々と家光は自分だけを見てくれるのにとツナの後ろ姿を睨んでいた。
公園に入っていくツナを遠くから観察する美那は暫くしてから目を見開いて驚いた。
公園には2ヵ所入口があり美那がいる方とは違う入口から雲雀が入ってきた。それに気づいてツナは駆け寄る。
「お兄さんこんにちは!」
「こんにちは小鳥。」
美少年な雲雀と楽しそうに話すツナを見て美那は唇を噛んだ。
『ツナの癖に!何で何で!!!あの人は美那の方がお似合いよ!!』
美那は踵を返して自分の部屋でクッションを床に叩き付けながら嫉妬心を顕にした。
「ツナの癖にー!しかも美那に教えないなんて!ムカつくわ!ツナなんか美那を良く見せる為の道具にしてやるんだからーー!」
仲良く笑って遊んでいるツナと雲雀を思いだし苛立ってクッションを壁に投げ付けた。
ゼイゼイと息をしていた美那はだったらと思い付きニヤリと笑って。
「あの人はグズのダメツナ何かより美那の方が気に入る筈だもん!だから奪ってやる!!」
雲雀を奪われてショックを受けるツナを想像してクスクスと笑った。
数日後美那にチャンスが巡ってきた。
「母さんは買い物に行くけどツッ君と美那ちゃん一緒に来る?それともお友達と遊ぶ?」
「美那は遊びに行く。」
「・・・ツナも。」
奈々は二人に合鍵を渡して車に気を付けるのよと言って出掛けていった。
ツナは靴を履こうとすると美那が腕を掴んだ。
「な、何?」
怯えるツナに美那はちょっと来てとリビングに連れて行き突き飛ばした。
「痛っ!!」
「煩いっ!!」
更に突き飛ばし仰向けに倒れたツナに馬乗りした美那はツナの丸い頬を力任せにつねった。
「痛い!美那ちゃんやめて!」
「煩い!美那に内緒で格好いい人と遊んでムカつくのよ!これからはツナの代わりに美那が遊ぶんだからツナは二度と会わないでよ!」
ツナは美那がまたツナの居場所を奪おうとしているのに気付き馬乗りしている美那を突き飛ばした。
「何すんのよ!ダメツナの癖に!」
怒鳴る美那にツナは怯みながらも前々から思っていたことを言った。
「美那ちゃんは何でツナを苛めるの?お母さんとお父さんを独り占めするの?」
バシンッ!
ジンジンと痛む頬を手で押させて涙を貯めるツナ。
美那はそんなツナの足を踏んで喚いた。
「煩い煩い煩い!黙れ黙れ黙れ!お母さんもお父さんも美那の物!ツナは美那の家来なんだから言うこと聞け!今すぐ美那に言いなさい!二度とあの人に会いませんって!」
ツナは初めての友達の雲雀と会えないのは嫌だった。
「嫌だ!ツナは美那ちゃんの家来じゃない!」
「ツナの癖にっ!」
目を吊り上げ美那はツナを押し倒して拳で顔や肩を殴り付けた。
公園で雲雀はツナを待っていた。
「遅いな。いつもなら小鳥の方が早く着いてるのに。迎えに行ってみようかな。ちょうど小鳥が好きそうなのがあるからね。」
雲雀のポケットには数個の飴が入っている。雲雀が食べる為に持っているのではない。
並盛小学校の校則では食べ物の持ち込みは禁止されている。
つまりクラスメイトが飴を持っていたのを雲雀は目敏く気付きトンファーでぶん殴って没収したのだ。
雲雀はツナの家に着くと呼鈴を鳴らすが出る様子がない。試しにドアノブを引くと開き、怒鳴り声が聞こえてきて雲雀は声が聞こえる方へ急いだ。
リビングで雲雀が目にしたのは暴力を振るわれて痛がって泣いているツナとツナに馬乗りして暴力を振るって喚いている美那。
「何してるのっ!?」
雲雀の声にツナと美那は振り向いたが美那は何故ここに雲雀がいるんだと焦った。どう見ても美那がツナを苛めてるようにしか見えない。
慌てて美那はツナの上から退いてプロレスごっこだと言ったが雲雀は美那を無視してツナを起こした。
ツナの顔は引っ掻き傷があり雲雀は眉を寄せるがツナが泣きながら抱きついてきて雲雀は慰めるように頭を撫でた。
「今日は僕の家に行こう。小鳥の好きそうなお菓子があるよ。」
雲雀はツナに言って、ポケットから没収した飴をツナの口に入れた。
「こういう甘いの好き?」
ツナは涙を拭きながら頷いた。雲雀はツナと手を繋いで玄関に行こうとするが美那が話し掛けた。
「あのはじめまして!ツナの双子の妹の美那です。美那も行っても良いですか?」
その言葉にツナはビクッと体を震わせた。美那が来たら雲雀を独り占めするに決まっている。そうなったらまた一人ぼっちになる。ツナは俯いて止まっていた涙がまた溢れ始めた。
雲雀は苛立っていたが美那の言葉で更に苛立ちが増した。
お気に入りの小動物を痛めつけた美那を許せるわけがない。おまけに付いてくるとは図々しいにも程があると雲雀は美那を一瞬だけ睨み付けると顔を見たくないと直ぐに視線を美那から外して一言。
「僕は君なんか嫌いだ!この子を苛めてるくせに付いてくるのを許すわけがないじゃない!」
嫌いだ!
この言葉に美那はショックを受けたが手を繋いでリビングを出ていくツナを睨み付けた。
ドアが閉まる音がすると美那は喚き散らした。
「ふざけんなー!ムカつくわ!美那の家来の癖に!ブスツナの癖に!」
ツナと美那なら若干だが美那の方が可愛らしい顔をしていた。美那もそれを分かっている。だからこそ何故自分ではなくツナが選ばれたのか分からず地団駄を踏んだ。