琥珀のカナリア
修行する場所に着くと美那がリボーンに指輪のことを話していた。
「リボーンからツナに言って!美那の指輪を盗んだのよ!」
「指輪か?」
「オレンジ色の硝子の指輪なの。」
美那の部屋に入って指輪を取ったリボーンは内心苦笑いするしかない。
それに指輪の内側にはツナと雲雀のイニシャルが彫られていて明らかに指輪はツナの物だと分かる。
騒ぐ美那を遠目で見た雲雀はウンザリしながらも近くまで歩いて声をかけた。
「ちょっといいかい?」
「恭弥君!」
声をかけてきた雲雀に美那は嬉しそうにしたが隣にツナがいるのが分かると指輪の話をした。
「恭弥君からもツナに言って欲しいの。ツナってば美那の指輪を盗んだのよ!」
眉を寄せる雲雀に美那はこれでツナは雲雀に嫌われて自分を見てくれる筈と思い内心でツナを嘲笑う。
「君が言ってる指輪ってこれのことかい?」
雲雀は指輪を美那に見せた。美那は何故雲雀が持っているのか分からずポカンとした。そんな様子の美那に雲雀は言った。
「この指輪は僕がこの子にプレゼントした物だ。」
「えっ!?」
「本当は君なんかに触らせたくないけど仕方ないからね。指輪の内側見てみなよ。」
指輪を渡された美那は内側を見て息を詰まらせた。
『嘘!ダメツナと恭弥君のイニシャルが彫ってあるわ!』
ツナには勿体ないと言って奪った指輪。奪ってからはジュエリーボックスに入れたままにしていた美那はイニシャルがあることに気付かなかった。
「嘘だと思うなら並盛商店街の雑貨屋の店主に聞いてみな。まだ代変わりしてないから僕が指輪を買ったこと覚えてるだろうし。」
「~っ!」
証人がいると言われて美那は押し黙った。雲雀は追い打ちをかける。
「奪い取ったのは君なのにこの子のせいにして。頭のネジ吹っ飛んでるんじゃない?人の物奪うってマフィアらしいけど。」
「・・・っ!!」
「赤ん坊に頼んで取ってきて貰った。少なくとも赤ん坊には本性バレてるから嘘つくのは止めておいたら?」
雲雀に罵倒され美那はリボーンに嘘がバレてしまい俯いた。雲雀は視線を美那からリボーンに移した。
「赤ん坊。盗んだ挙げ句無駄に騒ぎを起こすんだ。とてもじゃないけどこの子とコイツを組ませるなんて無理だ。」
「・・・仕方ねえ。9代目に報告して別案をだしてもらう。ツナは俺様と、美那はバジルと修行だ。」
リボーンはバジルを呼び出すと並中の屋上でツナを鍛えようとツナを屋上へ向かわせた。
残された美那は『リボーンにバレてしまったわ!このままじゃお母さんとお父さんに知られて美那は破滅かもしれない!』と青ざめていた。
ーーーー
ツナの修行を終わらせてリボーンは9代目に報告した。
「修行をつけさせてきたがツナと美那の相性は最悪で組ませるのは無理だ。他に案は無いか?」
「そうか。・・・なら別々に戦わせてはどうだろうか?」
「入り乱れて戦うのか?そうなるとツナと美那はあっという間にKOだぞ?」
「その辺は大丈夫だよ。ザンザスには手加減するように指示を出すからね。」
「・・・9代目。一体何を企んでる?」
若干声を低くして問うリボーン。
「リング戦の最初の試合は晴の守護者だ。」
リボーンの問いには答えず9代目は通信を切った。
「9代目。一体何を考えて動いてやがる?」
9代目の不可解な行動にリボーンは疑問しかなかった。
美那はリボーンに奈々と家光にバラされるのではないかと怯えながら食事をしている。
『バレたらどうしよう?誤魔化さないと!!』
だがリボーンは奈々と家光に話をしなかった。そのことに一安心したがいつバラされるのかと思うと不安で仕方なかった。
ーーーー
ツナは雲雀と一緒に雲雀家の庭にいた。
「・・・・・・。(別の案ってどういう内容になるのかな?)」
ツナは不安そうにすると雲雀は頭を撫でる。
「どういう案かは分からないけど大空戦は僕も参加するよ。」
「・・・・・・。(えっ?)」
「小鳥を一人で戦わせるわけにはいかない。ルールなんて関係ないさ。」
自由に動いてやるという雲雀にツナは驚いた顔をする。
「それに向こう側に僕と戦う相手がいないしね。」
「・・・・・・。(??)」
「不思議そうな顔してるね。スイートルームに行った時連中の指を見たんだけど雲属性のリングは猿山の大将が付けてたんだよ。」
〈そんな所も見てたんですか?〉
「僕の相手は誰だろうって思ってね。そしたら猿山の大将が指にしてるからさ。もしかしたらソイツが僕の相手かもしれない。だからさ大空の試合と雲の試合を同時にしてもらえるように掛け合ってみるよ。というよりそうさせる。」
「・・・・・・。(お兄さん断言しちゃった!)」
目をまん丸しているツナに雲雀は笑ってまたツナの頭を撫でた。