琥珀のカナリア


リング戦が近付くに連れて美那はクラスの女子達に疎外されていき嫌がらせもされるようになった。

獄寺と山本が修行で居らず美那は一人で登校するといきなりパーティー用のスプレーをかけられた。

「キャアッ!?」

青色や黄色の樹脂状の液体が飛び出し液体は空気に触れた瞬間に硬化する。一斉に噴射されてスプレーまみれになる美那。クスクスと笑う声の方を見るとスプレー缶を持って笑っている女子生徒達。その中には秋子もいて。

「今日は風紀委員長や風紀委員がいなくって良かったわ。」

「居たら出来ないもんねー。」

「さっさとスプレー取ったら?」

「バイバーイ!」

嘲笑い昇降口に入っていく秋子達。美那は泣きそうになりながらまとわり付いているスプレーを必死になって取って教室に入ると女子生徒達は美那を徹底的に無視をした。その中にはミキもいた。

『一体何なの!?美那が何をしたっていうの!』

わけが分からない美那は苛立っていた。


ーーーー

ツナはバジルと戦っていた。

バジルのブーメランを何とか避けてツナは距離を縮め攻撃を繰り出す。ガードするが軽く吹っ飛ぶバジル。

「くっ!(綱吉殿は死ぬ気を使いこなしている!!)」

「・・・・・・。(バジル君に言われた通りに攻撃を入れる一瞬だけ死ぬ気になってるけどかなりツラい。)」

戦うツナを見てリボーンは『ツナの奴、急成長してるな。』と見ていた。

一方、雲雀は。

「種馬さっさと咬み殺されなよ!!」

「種馬じゃねえよ!跳ね馬だーーーっ!」

リング戦でツナといる時間を削られて(しかもツナの訓練の相手は男のバジル)苛立ちディーノを罵倒しながら戦っていた。


ーーーー

この日もミキと秋子、女子生徒達に無視された美那はイライラして帰宅した。

『あーもう!!ムカつくわ!』

リビングで飲み物を飲もうとすると庭にあるプランターが目に入って。

「咲いてるんだ。丁度良いわね。」

美那はストレス発散と言わんばかりにプランターの花を全て引っこ抜きその辺に捨ててプランターを思いきり蹴飛ばした。

「アハハ!スッキリしたわ!本当ならブスツナのせいにするんだけど居ないから。そうね、イーピンとランボに擦り付けよう!チビ共は美那には逆らえないしね。それとそろそろブスツナを嵌めなきゃね。」


美那はどうやって陥れようかと考え自室に向かう。

「美那の物を盗んだってことにしようかしら。」

自室を見渡しアクセサリーボックスに目を止めた。

「アクセサリーにしよう。ダメツナはアクセサリーなんか録に持ってないから疑われやすいわ!」

アクセサリーボックスを開けて適当にイヤリングやネックレスを出して美那は眉をひそめた。

「あれ?ダメツナから奪った指輪がないわ!?もしかして美那がいないうちに勝手に持っていった?許せないわ!美那の道具の癖に!・・・でもこれで嵌められるわね。」

指輪を奪っていったツナ。だったらそれを理由にしたらいい。

「指輪を奪われたって言えば恭弥君もツナを見捨てて美那を見てくれるわ!」

雲雀に軽蔑され捨てられるツナを想像して美那はニヤリと笑った。


夕方になり買い物から帰ってきた奈々は郵便受けから新聞を取っているフゥ太に声をかけた。

「あらフゥ太君?何で新聞を取ってるの?新聞を取るのは美那ちゃんの仕事なのに。」

「えっと、あのね美那姉、今日は疲れちゃってるみたいだから僕が代わりに。」

「そうなの?ありがとうね。」

フゥ太は新聞をリビングのテーブルに置くとため息をした。
ツナが雲雀家に行ってから美那はフゥ太に押し付けていた。そして今まではツナに押し付けていた。

『ママンは気付かないのかな?新聞をずっと取っていたのはツナ姉だってことに。』

フゥ太は置いた新聞を見てまたため息をした。


奈々は花に水をやろうと庭に行くとプランターが転がっていてプランターから土がこぼれていて花はプランターの近くに捨てられていた。

「えっ?どういうこと??」

花を拾い戸惑っていると美那が来た。

「それね、ランボちゃんとイーピンちゃんがやっちゃったみたい。」

「ランボちゃんとイーピンちゃんが?」

「うん。偶々見ちゃったんだけど引っこ抜いてたわ。でもあんな小さいランボちゃんとイーピンちゃんを怒るのは可哀想だし。片付けようかなって思ったんだけどそれを見てランボちゃん達が悲しんだらと思うとそれも出来なくて。」

ごめんなさいと付け加えた美那に奈々は良いのよと答えた。

「ランボちゃんとイーピンちゃんがねえ。私何かしちゃったのかしら。」

落ち込む奈々に美那はそんなことないと思うと言った。庭の隅に居たランボとイーピンを睨み付けて。


夕食が終わると奈々はランボとイーピンに話をした。

「ランボちゃん、イーピンちゃん。私何かしちゃったのかしら。あれから考えてみたんだけど思い付かなくて。何かしていたのなら教えて欲しいの。」

「ママン何もしてないもんね。」

「奈々さんイーピンに何もしてない。」

睨まれているランボとイーピンはそれだけを言うとツナの自室に行ってしまった。

「母さん。ただイタズラしたかったんじゃないかな?ツナもイーピンちゃん達くらいの時イタズラしてたじゃない?」

「そうなのかもしれないわね。ランボちゃんもイーピンちゃんも子供だし。」

奈々は小さな子供のしたことだと思ってこのことは終わりになったがリボーンはまだ気付かないのかと少々呆れていた。


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