琥珀のカナリア


午前中に修行していた美那は午後の授業を受けようと教室に向かう途中、廊下で友人と喋りながら歩いている女子生徒がぶつかってきた。

「ちょっとちゃんと前見てよ。」

美那が言うと女子生徒は笑いながら返す。

「ごめんね~。」

笑いながら謝罪する女子生徒に美那は腹を立てるが女子生徒の友人が女子生徒を庇うように言う。

「この子もわざとじゃないから許してあげてよ~。」

「本当にごめんねー。」

女子生徒達は謝罪するもどこか美那を蔑視するような目をして教室に入っていった。

「ぶつかってきたあっちが悪いのに。」

美那は釈然としないまま自分の教室に入った。クラスの女子生徒達は美那を見た途端嫌そうな顔をした。

美那は何なのと思いながら友人である上田ミキと谷保秋子に話しかけようとしたが他の女子二人が美那の友人を呼んだ。

「上田さんこっちに来なよ。」

「谷保さんも。前から話してみたかったんだ。」

ミキは美那を見ながらなんとも言えない顔をして呼んできた女子の席に行き、秋子は美那を無視するように自分を呼んだ女子の席に行った。

美那はミキと秋子の態度に唖然としたまま午後の授業が始まった。

授業が終わり掃除の時間になった。美那は裏庭を掃除していたが他の女子達は美那には話し掛けずに掃除をしている。
美那はその空気に堪らず声をかけるが。

「ねえ。皆ーーー」


「今日ナミモリーヌに行かない?」

「良いね!新作のケーキ食べたかったんだ!」

「ナミモリーヌのフルーツタルト好きなんだよね。」

「私チーズケーキ食べたい!」

「じゃあ一端帰って着替えてからナミモリーヌで待ち合わせしよ!」


女子達は美那を無視して放課後出掛ける話をして美那は何で無視されているのか分からず戸惑った。

帰りのホームルームが終わるとミキと秋子は美那には声を掛けずに帰宅しようとするが美那が呼び止めた。

「待ってよ。何で美那を無視するの?」

ミキはバツの悪そうな顔をし、秋子は蔑視した。
最初に話をしたのは山本のファンクラブに入っている秋子。

「何で?分からないの?私アンタが嫌いなのよ!もう話し掛けんな!!」

「!?」

驚く美那を尻目に秋子は教室を出ていった。
上田は簡単に話した。

「美那と一緒にいられないんだ。だからその、ごめん。」

「えっ!?何でーーー」

理由を聞こうとする美那を無視してそそくさと教室を出ていくミキ。

「何でなの?」

ツナのクラスの女子生徒達中心に獄寺と山本のファンクラブの女子生徒達に嫌われていることを知らない美那は何が起きているのか分からなかった。

翌日、ミキと秋子は美那に関わらないように他の女子のグループに入り他の女子達もまた美那を無視していた。美那は何が何だか分からず困惑した。そしてそんな状況の中、リング戦まで一週間を切った。

リボーンは放課後ツナと美那を並中の屋上に呼び出した。

美那が屋上に行くと既にリボーンとツナと呼ばれていない雲雀がいた。
雲雀の隣にいるツナを憎々しげに思うが雲雀がいる手前笑顔を作った。
リボーンは揃ったなと言って用件を言った。

「リング戦まで一週間切った。ツナと美那はコンビを組んでザンザスと戦うからこれからコンビネーションを取れるように修行だぞ。」

ツナは美那と組むのは無理だという顔をして雲雀は眉間に皺を寄せている。美那は心の中で当日戦うのはツナだけだからと笑う。

「ツナ、頑張ろうね!」

ツナは美那の顔を見て恐怖した。

『まさか俺一人で戦わせようとしている!?』

修行で超直感も開花させたツナは美那の企みを知った。
雲雀もまた美那の企みが分かりリボーンにあることを聞いた。

「赤ん坊。例えば当日体調を崩したりしてリング戦とやらに出れなくなったらどうなる?」

リボーンはルールが記載されている書類を読んで答えた。

「体調が良かろうが悪かろうが出た方が身のためだぞ。放棄したらヴァリアー幹部が直々に制裁するらしい。手足の一本や二本覚悟しないとな。」

雲雀は美那を冷笑し、ツナは手足折られたりするの!?と怯え、ツナに押し付けようとしていた美那は押し付けられないと顔色真っ青にした。


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