琥珀のカナリア
リボーンは美那の炎を見て何かがあると察知してボンゴレ諜報部並盛支部にインプルストファミリーの情報を至急調べさせた。リボーンの連絡を受けた諜報部は即座に調べリボーンに情報を渡した。
沢田家で用意された部屋でリボーンはインプルストファミリーの家系図を見ていたのだが。
インプルストファミリーの家系図。
傍系とはいえボンゴレの血筋ならば属性は大空の筈。ヴァネッサとその夫であるキースは大空だが美那の属性は嵐。
ヴァネッサが大空属性でキースが嵐属性なら父親の血筋を引いて美那が嵐属性でもおかしくはないのだがヴァネッサもキースも大空属性。
リボーンは驚きながらも家系図を更に見ていく。
家系図にはインプルストファミリーは大空属の人間しかいなかった。そしてインプルストファミリーの人間が伴侶として迎えた人間は晴や雨などの属性を持っていたが。
「どういうことだっ!?」
インプルストファミリーは勿論、婚姻関係を結んだファミリーの人間に嵐属性の人間は一人もいなかった。
「なら美那は一体誰の娘なんだ?」
リボーンは家系図を見ながら9代目の言葉を思い出した。
「頼んだよ。ああ、一つだけ言っておくよ。綱吉さんでも美那さんでもどちらでも構わないよ。」
「9代目は美那が嵐属性だと知っていたのか?ヴァネッサは一体誰の子を産んだんだ?」
マフィアの世界では愛人を作るのは禁止だ。だが美那が嵐属性だという以上、ヴァネッサに愛人がいた可能性がある。もしくはキースに愛人がいて生まれた美那を引き取った可能性もまたある。
「9代目は一体何を考えてやがるんだ?」
リボーンは家系図を見て呟いた。
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ザンザスはスクアーロにウィスキーのボトルを投げつけて9代目に連絡を取るように命令した。
「カス鮫ジジイに連絡を取れ!」
「それだけのためだけに物を投げつけんなぁぁぁぁぁぁ!!クソボスがぁぁぁぁぁっ!!」
文句を言いながら9代目に連絡を取る。
「連絡がついたぞぉぉぉぉぉぉっ!!」
ザンザスはまたもやスクアーロに硝子の灰皿を投げつけると9代目に話をした。
「クソジジイ。沢田綱吉が雷の試合を無しにしろと言ってきやがったぜ。」
『美那さんの方から何かあったかね?』
「いや、沢田美那は何も言っていねえ。ただ密偵に行かせてたマーモンが言うには沢田美那はボスになりたいことだけに集中して雷のガキのことなんざ考えてねえらしい。」
『・・・そうか。』
9代目は何かあったら連絡をするようにと指令を出すと通信を切った。
「やはり綱吉さんがボンゴレの思想を・・・と言うより綱吉さん自身が初代と同じ考え方なのだろうね。しかし綱吉さんが継げば彼女は早々に確実に命を落とすだろう。」
9代目は誰もいない執務室でボンゴレをどうするか考える。
子供のランボの試合を取り止めるように自らザンザスの元へ足を運んだツナとボスになりたいことだけに集中してランボのことは考えていない美那。
「・・・仕方ない。場合によってはあのファミリーに会談を申し込むしかないだろうね。」
9代目は雲ひとつない空を見て呟いた。
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いよいよリング戦が間近になり修行も大詰めになった。
修行の為にツナと雲雀は勿論美那と獄寺達も学校を遅刻、早退、欠席を繰り返していた。
休み時間、ツナは京子と花に早退や欠席の理由を聞かれていた。
「ツナちゃん最近欠席とか多いよね?」
「具合でも悪いの?」
「・・・・・・。(やっぱり聞かれるよね。)」
本当のことは言えないから予め雲雀と話し合って決めた理由をメモ帳に書き出した。
〈失声症の治療で色んな病院で見てもらってるんだ。〉
「それでなんだね。」
「色んな病院で診てもらって治療方を探してるわけか。」
頷いて答えるツナに京子と花は声が出るようになれば良いねと話していた。(因みに京子は了平に最近怪我が多い理由を聞いて了平はハイブリッド相撲の特訓だと説明していて京子は納得していた。)
獄寺と山本の遅刻と早退、欠席に眉を寄せているのは美那を良く思っていない女子生徒達だ。
「何で獄寺君と山本君と美那って子は同じ日に早退したり欠席したりしてんのかしら?」
「怪しいよね、二人を欠席させたりして遊んでるのかな?武は部活があるのに。」
「美那って奴休日も山本君と獄寺君と一緒に出掛けたりしてるのよく見るわ!」
「ファンクラブにも入ってないのに独占何てムカつくんだけど!」
「大して可愛くないくせに!調子乗ってるよね!」
クラスの女子をはじめ獄寺と山本のファンの女子達は美那に対する悪感情が膨れ上がっていた。