琥珀のカナリア
応接室でツナと雲雀が昼休みを過ごしているとリボーンがやって来た。
「ちゃおっす!ツナ、雲雀。」
「赤ん坊。」
雲雀は今度は何をするつもりだとリボーンを訝しげに見やりツナは口を動かしてこんにちはと言った。
「今日はこれを配りに来たんだぞ!」
リボーンは黒いケースを開けてツナには大空のボンゴレリングを、雲雀には雲のボンゴレリングを渡した。
「何これ?」
「・・・・・・。(何?この指輪。)」
「ハーフボンゴレリングだ。」
「ハーフ?」
「・・・・・・。(ハーフ?)」
「ハーフボンゴレリングはそれだけだとただのカケラに過ぎねーんだ。対となる2つが揃ってはじめて後継者の証であるボンゴレリングになるんだぞ。」
リボーンの説明にツナはだから変な形なんだと納得し、雲雀は対になるリングについて聞いた。
「対になるならもう1つは?」
「それも含めてリング争奪戦を説明する。守護者は同じ属性のヴァリアーと戦って勝てば相手のハーフボンゴレリングを取れるが負けたら奪われるぞ。」
「この子の場合は?」
「ツナのハーフボンゴレリングの対は美那が持ってる。大空戦はツナと美那がコンビを組んでヴァリアーのボスのザンザスと戦うんだぞ。」
美那と組んで戦う。雲雀は嫌そうな顔をしてツナはコンビを組むなんて無理だと俯いた。
「コンビ?無茶言わないでよ。美那がこの子をどう扱ってるか赤ん坊は知ってるでしょ?」
ツナとリボーンの目の前で苛立ちを隠さない雲雀。
リボーン個人としてはツナを何とか表社会に留まらせてやりたいが9代目の依頼を完遂するのがリボーンの仕事。(マフィアの世界を多少しか知らない美那もまた表社会に留まらせてやりたい気持ちもある。)
「だが俺様はその為にジャッポーネに来た。」
リボーンはそう言って応接室を退室した。
ツナと雲雀はボンゴレリングを見てヴァリアーと戦うまで1ヶ月を切ったことを改めて感じた。
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次にリボーンは屋上に待たせている美那と獄寺、山本、了平にハーフボンゴレリングを渡し、ツナと雲雀の時のように説明した。
「美那さんの為に獄寺隼人頑張ります!」
「俺もがんばるのな~!」
「沢田の為にも極限に燃えてきたぞ!!」
美那の為だと張り切る獄寺と山本、今度はツナを守る番だと気合いを入れる了平。
美那はボンゴレリングを見ながらツナにだけ戦わせてやろうと考えていた。
『当日に足を捻ったとか言ってツナに押し付けよう!そうしたら美那は安全な場所で応援するふりをすれば良いわ。その後に恭弥君が幻滅するような嘘でツナを嵌めれば良い。』
美那は不安そうな顔を作りその表情を見た獄寺と山本は大丈夫だから頑張ろうと励ました。
了平は京子とのもう喧嘩はしないという約束を思い出しリボーンに言った。
「パオパオ師匠。京子には極限内緒にしておきたいのだ。」
「分かったぞ。確かに知っている方が危険かもしれねーしな。美那達も京子にはこの事は話すなよ。」
「分かったわ。」
「了解しました!」
「分かったのな!」
リボーンは美那に放課後修行をするぞと告げると屋上を後にした。
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ツナは応接室でリボーンの指導を受けて、ボンゴレリングに炎を灯す訓練をしていた。(雲雀はディーノと戦っていた。)
「・・・・・・。(ボンゴレリングに炎を灯すって何なの?)」
「争奪戦じゃ戦いの前にボンゴレリングに炎を灯してリングの保持者だと示す。これが出来ねぇとボンゴレボスにはなれねーぞ。」
「・・・・・。(そんなこと言われても。なりなくないし。)」
リボーンは暫くここで訓練してろと言って美那の修行を見に行った。
崖登りをした場所で美那もまた炎を灯せずにいた。
『ママンはいとも簡単に綺麗な炎を灯していたわ。』
過去に何度か母のヴァネッサが橙色の炎をリングに灯して見せてくれたのを思い出していた美那。
『何で灯らないの!?これが出来なかったらボスにはなれないのに!!』
焦る美那を見てリボーンはツナの時と同様に暫く訓練してろと告げた。
「これが出来ねぇと戦えないしボスにはなれねーぞ。暫くここで訓練してろ。」
「何かコツとかないの?」
「コツ?強いて言うなら誇りとか誓いに近い思いとかだな。それを思い浮かべてみろ。」
美那はツナを追い落として雲雀を手に入れることを思い浮かべて修行した。