琥珀のカナリア
雲雀は砂だらけのツナを見て聞いた。
「綱吉って名前なの?」
笑われるのだろうとツナは力なく頷くと雲雀は大層な名前だと言った。
「たいそう?」
意味が分からないツナはコテンと首を傾げるがそれを気に止めることもない雲雀。
歌っていたツナを見て雲雀はカナリアの歌を思い出した。
「君は小鳥で充分だよ。」
「ツナ小鳥じゃないよ!」
見上げて反論するツナを雲雀の小動物センサーが発動し小動物と見なした。
つまり気に入ってしまった。
「小鳥は歌ってたよね?歌いなよ。」
「小鳥じゃないよ。」
「そんなことどうでも良いから歌いなよ!咬み殺すよ!」
特注で子供用に作られたトンファーをちらつかせる雲雀。ツナは砂だらけのまま慌てて歌った。
「♪~~♪♪~~♪~~~♪♪~~♪♪」
雲雀はツナの透き通るような歌声に惹かれた。
ツナが歌い終わると雲雀は誉めた。
「上手いじゃない。もっと歌ってよ。」
久しく誉められたことがなかったツナは嬉しくなって歌った。
これでもかと歌わされているとさすがに声が枯れてきて。気付けば夕方だった。
「小鳥は幼稚園なの?」
「うん。並盛幼稚園のウサギ組だよ。お兄さんは?」
「ウサギ組なら年長組だね。僕は並盛小学校で小学一年。また明日ここに来なよ。約束だよ。」
「うん。ツナ約束する!」
「一緒に遊んであげるから歌ってよ。」
砂を払いながら言う雲雀にツナは頷いた。
「うん!」
雲雀はツナを家の近くまで送ってから帰宅した。
翌日の日曜日ーーー
朝食を済ました美那は遊びに行った。ツナも靴を履いて公園に出掛けていった。
奈々はツナにも漸く友達が出来たのかと安心した。だが相手の名前すら知らないのに安心する辺りツナを適当に扱っているようなものだった。
公園に行くと雲雀は既に居て。ツナはトテトテと雲雀の側に行く。
「お兄さんおはようございます!」
「おはよう小鳥。」
雲雀はツナの手を引いてブランコに乗せると押した。
「こいであげるから歌ってよ。」
「うん!」
ブランコに乗り歌うツナ。それを聞き入る雲雀。
すっかり仲良くなった二人は休日は勿論、平日も幼稚園、学校が終わったらこの公園で待ち合わせて一緒に遊んでいた。
この日もツナは幼稚園から帰宅すると着替えて公園に向かった。
それを美那は訝しげに見た。
『そう言えばお母さんがツナに友達が出来たって言ってたっけ。それならーーーー』
じゃ ま し て や る !
美那はツナの後を付けて行った。