琥珀のカナリア


並盛中は4時限目だが雲雀は応接室で並盛病院に電話をかけていた。

「沢田綱吉のことなんだけど失声症が治る見込みはどうなの?」

『今のところはないですね。以前、投薬でも改善されなくて箱庭療法を勧めたんですが沢田奈々さんが拒否してしまいまして。』

「拒否?」

怪訝そうな声を出した雲雀にツナの担当医は若干怯えながら話した。

『精神療法と言ったら精神病じゃないから必要ないと突っぱねられまして。』

雲雀は暫く考えた。

『大方、小鳥の治療が回りに知られたら美那と自分達が悪く言われると思って勘違いしたんだろう。でも薬で治らないなら箱庭療法とやらを受けさせてみた方が良いかもしれない。』


「確か明日沢田綱吉の診察日だったよね?今日に変更して。そしてその箱庭療法を受けさせて。」

『分かりました!!』


通話を切ると雲雀は時計を見た。「そろそろ昼休みだね。」とツナを教室まで迎えに行った。



ツナのクラスの生徒達は雲雀の登場にざわついたが群れと見なされないようお互いに少し離れた。

「おいで。」

雲雀に呼ばれてツナは京子と花を見る。京子と花はいってらっしゃいと手を振る。
ツナは嬉しそうな顔でお弁当箱を持って雲雀と応接室に行った。美那はそんなツナを睨み付けていた。


二人で昼食を取ると雲雀はツナに告げた。

「小鳥の診察日明日だったけど今日に変更したから。僕が付き添うから大丈夫。これを食べたら行くよ。」

ツナは驚き目をパチクリさせた。

〈午後授業があるんですけど?〉

ツナが書くと雲雀は出席扱いにしてあるから大丈夫と答えてツナは今更ながらに名家ってすごい!雲雀家ってすごいと驚いた。


ーーーー

美那と獄寺と山本、了平はリボーンに呼び出され屋上にいた。

「何なのかしら?」

「極限に気になるぞ!」

「リボーンさんの呼び出しですからかなり重要な話があるのでは?」

「守護者絡みかも知れないのな。」


気になると騒いでいるとリボ山に扮したリボーンが来た。

「揃ってるな。これから俺様が言うことをしっかり聞くんだぞ。一ヶ月後、ボンゴレのボスを選ぶ為にボンゴレのヴァリアー部隊のボスと幹部達と戦うことになったんだぞ。」

ヴァリアーと聞いて獄寺が目を見開いた。

「ヴァリアー!?まさか暗殺部隊の!?」

「そうだぞ。おめえら守護者は幹部達とツナと美那はタッグを組んでヴァリアーのボス、ザンザスと戦うことになった!」

リボーンの説明に子供のごっこ遊びと思っている山本は「ハハハ!面白そうなのな。」と笑い、了平は「極限に熱い話だ!」と闘志を燃やした。
ボンゴレの一員である獄寺はとんでもないことになったと思ったが「美那さんの為に!」とやる気を出し、美那は暗殺部隊と戦うのは嫌だと顔色が悪くなった。

盛り上がる獄寺、山本、了平。逆に顔色が真っ青になっている美那。そんな彼女達に気にせずリボーンは続ける。

「とりあえず専属の教師を選んだぞ!獄寺はシャマル、山本はお前の父親に話してみろ!」

「分かりました!」

「親父に?まあ聞いてみるのな。」


「了平には俺様の知り合いを紹介してやる!」

「極限に了解したぞー!!」

やる気があるのが見て分かる獄寺、山本、了平。

「ツナと美那は俺様だ。」

「分かったわ。恭弥君は?」

「雲雀は俺が以前見ていた弟子を選んだ。その弟子はボンゴレの同盟ファミリーであるキャバッローネのボスのディーノだ。ディーノが並盛に来たら顔合わせするからな。」

美那は『ツナと組んで暗殺部隊のボスと戦うなんて!組むんじゃツナに押し付けられない!』と頭を抱えた。


ーーーー

並盛病院の一室でツナは担当のセラピストに見守られながら机にあるものを見ていた。

机にはセラピストが選んだであろう小さなフィギュアのような物が置かれていてその隣には長方形の箱が置かれていた。

「沢田さんの回りにいる人達をこの箱の中に置いていきましょう。」

セラピストに言われてツナは回りにいる人達って?とメモ帳に書いた。

〈回りにいる人達?〉

「家族や好きな人、友人とか沢田さんといつもいる人達だね。まずは沢田さんと沢田さんが一番信頼している人や一緒にいたい人を箱の中に置いていきましょう。」

ツナは用意された小さなフィギュアを手に取る。

『あ、これ学ラン着ててお兄さんみたい。こっちは髪が短い女の子だから俺はこれにしよう。』

学ランを着ているフィギュアとショートカットのフィギュアを箱の端に並べて置いて、用意されたフィギュアの中にはドールハウスで使うテーブルとティーカップもあり2体のフィギュアの前にテーブルを置き、テーブルにティーカップを乗せた。そして壁の代わりに仕切りを入れた。
それは応接室でお茶をしているツナと雲雀を表していた。


「次は家族や友人を置いていきましょう。」

ツナはブレザーを着ているフィギュアを4体選んだ。

『笹川さんと黒川さんと三浦さんと笹川先輩みたいだな。』

京子達に見立てたフィギュアをツナと雲雀のフィギュアの近くに置いていき、小さなタイルを数枚選び応接室まで道を作るように置いていった。


セラピストはここまで見て雲雀と友人達との関係は良好だと見ていたが次に置いていったフィギュアを見て眉を僅かに寄せていった。



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※この箱庭療法の解釈は捏造です。

寧ろ美那や奈々や家光がカウンセリングを受けた方が良いだろうと突っ込みたい所だと思いますが、あくまで『ツナが声を失ったのは美那が原因』というのを出すための伏線みたいなものです。(と言ってもこの伏線を上手く使えるかどうかは分かりませんが←オイ!)
なので美那、奈々、家光がカウンセリングを受けるシーンは書きません。スルーでお願いします。


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