琥珀のカナリア


家光は9代目の話にまさかとしか思えない顔をした。

「リング戦ですか!?しかし娘達は仲が良い。そんな二人が争うなど出来る筈がありません。だからこそリボーンを家庭教師に付かせ選出させる方法を考えていたのでは?」

9代目は慌てるなと話を続ける。

「綱吉さんと美那さんを争わせる訳ではないのだよ。争う相手はワシの義息子のザンザスとヴァリアーの幹部達じゃよ。」

「ヴァリアーですか!?娘達は戦い等したことありません!そんなツナと美那にヴァリアーをぶつけるにはあまりにも無謀です!!」

ザンザスと言えばボンゴレの主力でもあるヴァリアーのボスだ。強さは圧倒的で抗争時ヴァリアーを見ただけで戦意喪失する敵対ファミリーがあるくらいだ。
そんなザンザス率いるヴァリアーが自分の娘達が戦うましてや勝負だなんてと家光は内心で頭を抱える。


「家光の気持ちも分かるがリボーンは報告書でどちらも選べないと言っているのだよ。」

「どういうことですか?」

「綱吉さんはボンゴレの思想を無意識だが分かっている点では合格だがマフィアとしては不合格だそうだ。美那さんはマフィアのボスとしては合格だがボンゴレを継ぐには不合格だと報告されているのだよ。」

「でしたらリボーンに頼んでツナにマフィアとして生きていけるように教育させ、美那にはボンゴレの思想を教育させてから選べば良いかと。」

娘達をザンザスと戦わせたくない家光はそう意見すると9代目は戦闘能力も必要だと話した。

「綱吉さんと美那さんには酷だがヴァリアーと対等に戦えるだけの力も必要なのだよ。だから期間を与えリボーンに鍛えてもらおうと思っている。」

確かにボンゴレを継いだらヴァリアーと対等に戦えなければならない。自分達より弱いボスにヴァリアーが従う訳もない。

「・・・分かりました。それで勝負のルールはどうされるのですか?」

「勝負は守護者は同じ属性同士で戦わせるが大空戦では綱吉さんと美那さんが組んでザンザスと戦わせようと考えている。そしてこれは決定だ。」



ボンゴレボスに決定事項だと言われてしまえば家光は従うざるを得ない。

「分かりました。そのように取り計らいます。」

「家光頼んだよ。」

退室する家光は9代目からリボーンの報告書の内容を聞かされて眉を寄せそうになった。

「美那がボンゴレの思想を分かっていない?いつもツナを庇う優しい子なのに?リボーンは美那の何を見て言っているんだ?」

リボーンに少し悪態を付きながら家光はチェデフに戻った。

ツナについての報告を聞いた時は表情を微動だにしなかったが美那についての報告を聞いた時、家光の表情が若干不機嫌なのもに変わったのに気付いた9代目は悟った。

家光は美那ばかりを見てツナをまるで見ていない!

『やれやれ。美那さんを引き取ったことに責任を持つのは良いのだが綱吉さんを全く見なくていいわけがない。』

以前超直感が知らせていたのはこの事だと9代目は分かり小さくため息を吐いた。



日本は夕方が過ぎていて美那の(ついでに獄寺)修行を付けるのが終わるとリボーンはパオパオ老師の格好をして帰宅途中の了平を捕まえた。
(美那に先に家に戻るように言って獄寺が送っていった。)

「パオ~ン!俺はツナの知り合いのパオパオ老師だぞ!」

「おお!沢田の知り合いか!俺に極限に何か用か?」

「そうだぞ!ボンゴレの守護者になれ!」

「ムム?ボンゴレの守護者とは極限に何だ?」

「守護者とはツナと美那を守るんだぞ!守護者になれば今よりもっと強くなれるぞ!」

強くなれるという言葉に了平は両目に闘志の炎が宿った。

「何だと!守護者になれば極限に今より強くなれるのか!それに沢田は京子の恩人だ!今度は俺が沢田を守ろう!極限に守護者になるぞ!」

リボーンは守護者が一人増えたと右の口角を上げて笑った。


リボーンは帰宅しビアンキの部屋で寛いでいると携帯が鳴り電話に出た。

『リボーン!』

「どうした家光?随分慌ててるみてえだが?」

『早急にツナと美那を鍛えてくれ!ボンゴレボスを選ぶに当たってザンザスとヴァリアーの幹部達とボンゴレリングをかけて戦うことになったんだ!!』

「何だと!?それで戦うのはいつだ?」

『1ヶ月後、並盛中学校で行う!守護者は同属性のヴァリアー幹部と戦うんだが美那とツナは組んでザンザスと戦うことになっている!!』

事の大きさにリボーンは顔には出さなかったが驚いた。

「1ヶ月後か!ボンゴレリングはいつ届くんだ?」

『明後日バジルが届けに行く。』

「分かったぞ!」

リボーンは電話を切ると忙しくなってきたと呟き隣にいたビアンキはどうしたのと聞いてきた。

「ボンゴレリングがどうかしたの?」

「ボスを選ぶことになったんだがザンザスとヴァリアー幹部とボンゴレリングをかけて戦うことなった。」

「何ですって!?」

リング戦が行われるなら弟の獄寺もリング戦に出ることになる。それにツナと美那、獄寺達はヴァリアーと対等に戦えるだけの力があるとは思えないとビアンキは顔色を変えた。

「大丈夫だ。ツナと美那は俺様がねっちょり鍛えるし、獄寺にはシャマルがいるし、山本にはピッタリの師匠がいる。了平はコロネロ辺りに頼む予定だ。雲雀はそうだな、へなちょこで良いだろ。ツナと美那の顔合わせも兼ねてな。」

ツナ達を指導する人間を的確に選ぶリボーンにビアンキは安心し、リボーンはディーノに連絡を入れた。


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