琥珀のカナリア


「君の家庭教師とやらが言ってたよ。小鳥と小鳥の妹はマフィアボンゴレファミリーのボス候補だって。」

ツナは雲雀が知っていたことに驚き目を見開いた。

「本当なの?」

ツナは頷いた。雲雀は抱きしめたまま続ける。

「僕は守護者に選ばれたよ。」

ツナはさっきよりも大きく瞳を見開いて雲雀を見上げる。

「だからずっと一緒にいられる。 だけど小鳥にマフィア何かになって欲しくない。でももしマフィアのボスになったらその時は僕は守護者になる。」

ツナは雲雀にマフィアになって欲しくはない。慌てて首を横に振り、「俺がなってもお兄さんはなったら駄目。」と口を動かした。
今度は雲雀が首を横に振った。

「小鳥がボスに選ばれたら僕は君を守る為に守護者になる。これはもう決めたことだから。それに小鳥は婚約者だからね。」

そう言ってツナを強く抱きしめた。

『僕は小鳥をマフィアのボスになんかさせない!』

婚約者のツナを守ると言ってくれた雲雀。ツナは幸せな顔をして雲雀の背中に腕を回した。


ーーーー

「ツナちゃんと雲雀先輩どうなったのかな?」

「戻ってこないってことは両思いでしょ。」

「そうだよね!邪魔をしたら悪いから先に帰ろう。」

授業が終わり京子と花は笑顔で教室を出て行った。


暫くして美那がツナの教室に行くがツナの姿がない。
美那が来たのに気付いた獄寺が傍に行く。

「美那さん!」

「獄寺君、山本君とツナは?」

「山本は部活です。沢田は体調が悪かったらしくて笹川と黒川が保健室に連れていってましたよ。」

実際は応接室だが京子が教師に体調不良で保健室に連れていったと嘘を付いた。

「そう。なら保健室に行かないと。」

「お供します!」


美那と獄寺は保健室に行くと誰も居なかった。

「あら?ツナが居ないわ。」

「本当っすね。沢田の鞄はありましたから帰宅はしてないと思いますが。」

「どこに行ったのかしら?」

「美那さんに心配かけてしょうがねえ奴だな。」

心配するふりをする美那とツナに悪態をつく獄寺。すると床からリボーンが現れた。

「ちゃおっす!」

「きゃぁっ!?」

「リボーンさんっ!?」

いきなり現れたリボーンに驚く美那と獄寺にリボーンは「美那、修行だぞ。暇なら獄寺も特別に修行をつけてやる。」と言って急かしたが美那はツナが居ないと話した。

「ツナが居ないんだけど。」

「ツナの奴は理科の補習を受けることになって科学室に行っているぞ。」

「体調が悪かったみたいよ?それなのに?」

「寝てたら体調が良くなったからだぞ。さあおめえは修行だ!」

『獄寺君がいるならツナを使って美那を良く見せれるのに。』

美那は補習なら仕方ないと諦めた。


因みにリボーンは京子と花の行動を見ていてツナが雲雀と一緒に居ることを知っていた。


ーーーー

応接室ではツナは雲雀の隣に座ってメモ帳で説明していた。

〈俺と美那ちゃんはボンゴレの創始者の子孫なんだそうです。それでリボーンが家庭教師として来ました。〉

「創始者の子孫ね。小鳥の両親のどっちがマフィアの血筋なの?ついでに妹は?」

〈父さんです。詳しくは分かりませんけど美那ちゃんは獄寺君みたいにマフィアの出身かなと思います。じゃなきゃ父さんが連れてくる理由がないと思うんです。〉

「その辺の事情は赤ん坊に聞けばいいか。それより病院には行ってるの?」

雲雀は抱き寄せて聞く。ツナはりんごのように顔を赤くしてメモ帳に書いた。

〈行ってます。処方された薬は飲んでますけど治りません。〉

「そう。でもそれなら声が出ないのを理由にボス候補を辞退出来るんじゃない?」

〈リボーンは俺達に拒否権は無いって言ってきました。リボーンとビアンキは優しいですけど俺はマフィアにはなりたくないです。〉

「人権や人の気持ちは無視か。さすが犯罪組織だ。」

雲雀はボンゴレのやり口に怒りを覚えた。


ーーーー

ボンゴレ本部、9代目の執務室は騒がしかった。
9代目に呼ばれたザンザスはリボーンの報告書を読んで眉間にシワを寄せた。

「ジジイ本気なのか!?」

「ああ、ワシは本気じゃよ、ザンザス。」

「だがリボーンの報告書によるととてもじゃねえが沢田綱吉と沢田美那は勤まらん!」


リボーンの報告書にはツナはボンゴレの思想を無意識に分かっているが同時に分かっているが故に早々に命を落とす可能性がある。失声症が完治していない分その可能性は高いと書かれていた。
美那はマフィア出身なだけありマフィアらしい行動を自然に取り欲求の為なら利用出来るならば人でも物でも利用しようと動いている。美那がボンゴレを継げばマフィアとして更なる繁栄がもたらされるが、ボンゴレの思想、あり方は無くなるだろうと書かれていた。


「沢田綱吉は声が出ない以上抗争中に指揮は取れねえ。沢田美那は私利私欲の為にボンゴレを壊しかねん!!」

睨むザンザスに9代目は話した。

「ザンザスこれは命令だ。」

「・・・本気なんだな?」

「本気じゃよ。」

真っ直ぐ見据える9代目にザンザスは本気だと分かり後ろに控えていたヴァリアー幹部達に命令した。

「ジジイが考えた茶番劇を遂行する!!カス鮫てめえは準備しろ!」

「「「「Si!!」」」」

「ちょ、待てええぇぇ!!何で全部俺なんだあぁぁぁぁぁ!!??」

「うるせえ!!」

ザンザスは9代目の机を投げつけてスクアーロを黙らせ執務室を退室した。


「やれやれ。この机はもう使い物にはならんな。」


9代目は苦笑して部下に新たに机を用意させるとその部下に家光を呼び出すように命令した。


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