琥珀のカナリア


美那はボスになりたいが、抗争はツナに押し付けようと考えた。

「ダメツナを抗争に出せばいいのよ。そうしたら美那は安全だし会談や執務をして任務に出る雲雀さん達を見送ったり出迎えればいいのよ。」

ただ雲雀は敵視していることに美那は悩んだ。

「どうすれば美那を見てくれるのかしら?何で地味で話すら出来ないブスばかり見るの?」

悩んだ末、出した答えは粗末なものだった。

「なるべくツナとは会わせないように動くしかないわね。恭弥君と会ってもし声が出るようになったら間違いなくツナがボスになる。そんなのは嫌よ!」



美那は傍系の血筋。
一方、ツナは初代の直系の血筋。

初代の直系、5世の傍系。声が出るようになればツナが選ばれるのは分かりきったこと。

「何とかしてツナを押し退けないと!」

美那はベッドに寝転ぶと策を練り出し、嵌めるしかないわねと呟いた。


ーーーー

雲雀は並中に戻ると校長を脅して今の風紀委員会を解散させて応接室を乗っ取った。

椅子に座るとハァと溜め息を吐いた。
本当は今すぐにでもツナに会って話したいが美那のことだ。何かと邪魔して来る可能性が高い。

「仕方ない。明日ここに呼び出して話すしかない。」

邪魔されないようにしてツナと話したい。雲雀はその為に応接室を乗っ取った。そしてついでに風紀委員会も乗っ取った。

「風紀の乱れは許せないしね。」

雲雀はアクセサリーをジャラジャラ付けていている獄寺とほんのりだが香水を付けている美那を思い出して苛立ちトンファーを壁に打ち付けた。


ーーーー

翌日、臨時の朝礼があり生徒達整列し教師達も朝礼台の近くで整列していた。
校長が朝礼台に立つ。

「えー、これから朝礼を始めます。それでは並盛中学校と並盛全体を仕切る雲雀恭弥君どうぞ。」

校長はこれだけを言って早々に朝礼台から下りると雲雀が朝礼台に立った。

「今日から僕が並盛中学校と並盛町全体を仕切ることになったから。そして風紀委員会も僕が仕切る。風紀を乱したら咬み殺すよ。」

無表情で言いたいことを言って雲雀は朝礼台を下りてさっさと応接室に行き朝礼は終わった。

その日のうちに雲雀が並盛を仕切る名家の後取りであることが並中に流れた。
雲雀を知っている同世代は「トンファーを振り回していたあの雲雀か!」と思い出し恐怖して瞬く間に『雲雀恭弥の前で群れたら咬み殺される!』と全校生徒と教師達、並盛の住民に知れ渡った。



昼休み、校内放送がかかった。

『沢田綱吉、今すぐ応接室に来て。群れないでね。』

雲雀からの呼び出しにツナはどうしようと狼狽えるが美那は空かさず言った。

「代わりに行くからツナは教室にいてね。」

頷くツナに美那は上機嫌で獄寺と山本を連れて行く。

それを見たクラスの女子達は眉を寄せたり美那の後ろ姿を睨み付けたりしていた。


美那は応接室のドアをノックすると雲雀が出てきたがツナではないと知るとドアを乱暴に閉めた。

「えっ!?恭弥君!?開けて!」

「僕は君なんか呼んでないよ!!」

ドア越しで返ってきた言葉で美那は傷付いた顔をして獄寺と山本が騒ぎだした。

「雲雀てめえ!!美那さんを無視するんじゃねえ!! 」

「美那が喋れないツナの代わりに来ただけなのな!」

「さっさと開けやがれ!」

「美那が可哀想なのな!!」


雲雀は無視を決め込むがあまりの騒がしさに苛立ち草壁は冷や汗をかいた。
雲雀は聞きたいことが1つあった為、美那だけを入れるように草壁が指示を出した。

「美那って奴だけならいい。他の馬鹿は追い返して。」

草壁は美那だけならいいと伝える。美那は自分達も行くと言い張る獄寺と山本を何とか説得して応接室に入った。

デスクに座っている雲雀に美那は嬉しそうに雲雀の前に行く。

「恭弥君!ツナに何の話なの?美那が伝えるわ。」

雲雀は美那の話を無視して口を開いた。

「ねえ?何であの子は失声症になったの?」

「医者が言うにはストレスじゃないかって。」

美那は悔しい気持ちを隠して答えると雲雀は凍土のような冷たい目をした。

「・・・ストレスね。そのストレスって間違いなく君だよね。君はあの子を苛めて追い詰めた。そうだろ?」

「っ~!!」

目を見開いて驚く美那に雲雀はやっぱりと思った。

「その顔。やっぱり君が原因か。」

「っ!!」

雲雀は苛立った顔を隠しもせず乱暴に美那の腕を掴み応接室から追い出した。

「あの子は君の道具じゃないよ!出ていって!」

バンッと音を立ててドアを閉める雲雀。美那は悔しそうな顔をしながら走り去った。


「放送してもあの女がしゃしゃり出て来る。仕方ない。」


雲雀は放課後、直接ツナのクラスに出向くことにしたのだがーーー



京子と花は弁当を食べながらツナに聞いた。

「放送した人ってツナちゃんの知り合いなんだよね?幼なじみとか?」

「例えば初恋の相手とか?」

『ええっ!?何で分かるの!?』

花の言葉にツナは顔を赤くした。そんなツナに京子と花は話を続ける。

「今でも好きなの?」

「好きならコクっちゃいなさいよ。」

「・・・・・・。(好きだけど・・・。)」

「私で良かったら応援するよ!」

「向こうも放送するくらい沢田のことが気になってるみたいだし。」

声が出ない自分は価値がないとツナは首を横に振って俯いた。

泣きそうな顔で俯いたツナを見て京子と花は何とかしてあげたいと思ってある行動に出た。


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