琥珀のカナリア


京子と花もまたツナを見失った。

「ツナちゃんどこに行っちゃったのかな。」

「私達を助けただけあって足が早い。じゃなきゃ落ちてきた鉄鋼を避けれないわ。」


探し回っているといつの間にか並盛の外れにある廃墟のビルに着いていた。

「無我夢中で走ってたらこんな所まで来ちゃったね。」

「さすがにこんな廃墟ビルにはいないわよね。」

京子と花は立ち去ろうとすると誰かが泣いている声がかすかに聞こえた。

「花!この声もしかして!!」

「沢田よ!」


二人は廃墟ビルの中に入っていくと膝を抱えて泣いているツナを見つけた。

「沢田!!」

「ツナちゃんここにいたのね!」

ツナは涙目で顔を上げると目の前には心配そうにしている京子と花がいた。

「・・・・・・。(笹川さんと黒川さん何でここに?)」


京子がツナと目線をあわせようとしゃがみハンカチでツナの涙を優しく拭った。

「大丈夫?さっきの人ってツナちゃんの知り合い?」

「・・・・・・。(そうだけど、俺はもう会えないよ。)」


暫くの沈黙が続くと花が手を差し出した。

「無理には聞かないわ。取り敢えずほら立って。」


ツナは花の手を取ると京子と花が家まで送っていくと言ってツナは頷いて帰宅した。


ーーーー

リボーンはビアンキから連絡を受けたが京子と花がいるなら大丈夫だろうと判断し、雲雀に話掛けた。

「美那のこと何か知らねえか?どうも美那の奴ツナを利用しているふしがあるんだ。」

雲雀は美那の名を聞くと不機嫌になったが答えた。

「ソイツはあの子を苛めてるよ。」

「何故分かるんだ?」

「僕はアイツがあの子を苛めてる現場を見てるんだよ。それだけじゃない。両親だってあの子のことをほったらかしさ。話すらろくに聞いてくれないってあの子悲しんでた。」

「そうか。どうりでツナと家族は距離があるわけだな。美那がツナを利用しているのも家光とママンの愛情が欲しいからだろう。」

「だからと言ってあの子を利用していい訳じゃない。」

「そうだな。」


雲雀の話と住民の話。リボーンは納得するとツナの理解者として雲雀を守護者にしようと思い付いた。

「雲雀、こんだけ探してもツナは見つからねえってことは家に着いてるなら良いが拐われた可能性がある。」

雲雀は怪訝そうにした。

「誘拐?」

「ツナと美那はマフィアのボンゴレファミリーの次期ボス候補なんだぞ。」

「マフィア?馬鹿馬鹿しい。」

あり得ないだろうと言う雲雀にリボーンは続ける。

「信じる信じないは雲雀の自由だがな。もし信じるならずっと一緒にいられるぞ。今のところツナと美那の守護者にボンゴレは獄寺隼人とランボを選んでるし、山本武と笹川了平を候補として俺様が選んだんだぞ!」

雲雀は眉を寄せる。

「・・・男ばかりじゃない。」

「そうだぞ。現に守護者に決定してる獄寺と俺が候補者に選んでいる山本は美那と一緒に行動しているし、ツナは了平とその妹の京子と友人の黒川花と一緒にいるんだぞ。」

「ふぅん。にわかには信じられない。あの子に聞いてみて真実を見極める。僕は小鳥の家に行くよ。」

雲雀は沢田家に足を向けリボーンもまた沢田家に向かった。

沢田家に着くとリボーンは雲雀に呼んでくるから待ってろと言ってツナの自室に入った。

自室は電気が付いていなく暗い。
ツナは頭まで掛け布団をかけてベッドにいた。

「ツナ。雲雀が来てるぞ。」

ツナはもぞもぞと布団から顔を出した。

「会うか?」

ツナは首を横に振ってベッドに潜り込んだ。

リボーンは『今日のところは諦めて貰うしかねえな。』とツナの自室を出た。


「雲雀。ツナは居るが最近勉強と俺の出す課題が多くて疲れちまって寝てる。出直してくれねえか?」

「・・・起きるまで待ってるから上がらせて。マフィアの話もだけど何で逃げたのか聞きたいしね。」

粘る雲雀に女には優しくがモットーのリボーンはさてどうしたものかと考えると美那の声がした。

「ただいま。リボーンそちらの方・・・は・・・もしかして、恭弥君!?」

美那は雲雀が居ることに驚くが嬉しそうに駆け寄り、獄寺と山本は何だ?と思いつつ美那に続いた。

「恭弥君!帰国したのね!」

「・・・・・・。」

話しかける美那に雲雀は無表情。
雲雀の態度に美那は傷付き獄寺は雲雀にキレた。

「てめえ!美那さんが話しかけてくださってるのにその態度はなんだ!果たすぞ!!」

「ゾロゾロと群がって。咬み殺す。」

雲雀がトンファーを構え獄寺はダイナマイトを取り出す。美那と山本は止めに入るが雲雀は美那を睨み付け、獄寺は美那を睨むなと怒鳴り散らす。リボーンはやれやれと両者の間に入った。

「落ち着け。丁度良いから紹介するぞ。コイツらは獄寺隼人と山本武だ。お前らこっちは雲雀恭弥だ。雲雀も守護者候補だぞ。」

リボーンの言葉に獄寺は美那を睨み付けている奴が守護者なんて有り得ませんと喚き、雲雀は苛立ってトンファーを握り直す。
美那は雲雀が守護者になるならボンゴレのボスになってもいいと思い始めた。
そんな中山本は守護者って何だと思った。

「守護者って何なのな~?」

山本の間延びしたような言葉で雲雀と獄寺は戦意喪失した。リボーンはそういえばまだ話してなかったなと簡単に説明した。

「ツナと美那はイタリアンマフィアのボンゴレファミリーの次期ボス候補なんだぞ。守護者って言うのはボスを守るのが役目だ。」

「面白そうなのな。俺美那の守護者になるのな!」

間髪なく答える山本にリボーンは頷くと雲雀の方を向いた。

「雲雀はどうする?」

期待する美那の視線にウンザリするが雲雀はマフィアなのかどうかはまだ分からないがツナの傍に男が群れるのは腹立たしい。

「・・・・・・守護者になるよ。ただ僕は群れる気は更々ない。」

そう答えると美那は目を輝かせる。

「恭弥君。良かったら上がっていって。」

「そのつもりだけど僕はあの子に用があるから。」

美那は内心ツナを嘲笑ったがツナが失声症だと話した。

「ツナと話?でも無理かもしれないわ。ツナは失声症だから。」

「!?」

驚く雲雀に美那は話続ける。

「小6の時に声が出なくなって。治る見込みも今のところなくて。」

「失声症・・・?」

茫然とする雲雀に美那は話しかける。

「もし言付けがあるなら美那が伝えるわ。」

優しい声で話す美那を雲雀は無視した。

「赤ん坊、また次の機会にするから。」

「分かったぞ。」

雲雀が踵を返すと獄寺が美那に失礼だと怒鳴り山本が宥める。
美那は下を向いて悔しそうに顔を歪めた。


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