琥珀のカナリア
リボーンは聞き込みをしていた。
「綱吉ちゃん?私は腕が少し不自由でね良く荷物を持ってくれるわ。喋れないけど良い子よね。」
「以前ウチの孫が転んで膝を怪我したんだけど綱吉ちゃん孫をおんぶして家まで送ってくれたのよ。」
「綱吉のお姉ちゃん?この前木に引っ掛かった風船取ってくれたの!」
「この前ね、絆創膏はってくれたんだよ!僕大きくなったら綱吉お姉ちゃんをお嫁さんにするんだ!」
「本当に悪戯っ子だったのかって聞きたいくらい優しい子だよ。」
リボーンは並盛を歩き回っていた。
『ツナのヤツ結構人気じゃねえか。もう少し聞いてみるか。』
聞き込みを続けるとツナと美那と同じ幼稚園に通っていた子供の母親からあることを聞くことになった。
「幼稚園の時なんだけど綱吉ちゃん音楽会でソロパートをしたんだけどとっても上手くてね。皆感動したわ。でも奈々さん綱吉ちゃんが歌が上手なのを知らなかったみたいなのよ。」
「ツナはママンの娘なのにか?」
リボーンが言うと子供の母親は続けた。
「それに奈々さんにそのつもりはないと思うけど、美那ちゃんばかり構って綱吉ちゃんは殆ど放置みたいな感じなのよ。幼稚園の運動会は美那ちゃんばかり応援していたしお遊戯会で美那ちゃんがお姫様役の時も凄く喜んでいた。でも綱吉ちゃんのことは適当な感じだったわ。ソロパートになったのは凄いことなのに美那ちゃんの時ほど喜んでなかった。」
私の気のせいだと良いんだけどと言い残して母親は帰って行った。
「ママンより近隣の住民の方がツナのことを見ているぞ?それよりも放置だと?ツナは実子だぞ?」
一体どういうことだとリボーンは思っているとメールの着信音が鳴った。メールを見るとツナからで『今日、笹川さんと黒川さんと宿題をするから修行はその後で良い?』と打たれていた。
リボーンは『構わねえ。今日は修行はなしにしてやるからしっかりやれよ。』と返信すると前方からビアンキが歩み寄った。
「リボーン。美那のことを聞いてきたんだけど。ちょっとね。」
「何かあったのか?」
リボーンはビアンキに近隣の住民に美那のことを聞いてほしいと頼んでいた。
「あまり良い話は出なかったわ。」
そう言うとビアンキは住民の話を思い出す。
「うちの娘の話だと最近一部の女子に嫌われちゃってるみたいよ?理由は分からないけどね。」
「美那ちゃんね。小林さんのところの佑真君が転んで美那ちゃんが泣いてる佑真君を慰めていたんだけどね。口では大丈夫とか元気出してとか言っていたけど顔には冷たくて面倒臭いって出てたわ。3才児の子にする態度じゃないわよね。」
「成績は優秀らしいけどそれだけじゃ。美那ちゃんはワシら年寄りや小さな子供が困っていても素通りするからね。綱吉ちゃんはそんなことはしないしの。」
近所の住民の美那の評価は良くなかった。
ビアンキが話すとリボーンはこの分だとツナが10代目に相応しいかもしれないと話した。
「そうね。でもツナはマフィアには向いてないと思うわ。」
「そうだな。10代目には相応しいがマフィアには向いてねえ。」
ボンゴレの創立者である初代ジョットの思想に近いのはツナの方だ。だがマフィアには向いてない。
美那はボンゴレの思想とは程遠い。だが幼い頃からマフィアの世界を知っている。
リボーンはどちらを選ぶか悩んだ。
ーーーー
以前溺れてツナに助けられた少女は大量の手作りクッキーが入った袋を片手に並中の校門付近でウロウロしていた。
「多分ここの生徒の筈です!」
溺れて翌日からツナを探していた。自分の通っている緑中の生徒から当たったがツナは見付からずならば並中だと判断した。
暫くするとツナと京子と花が出てきて少女はツナの前に立った。
「あのこの前は助けてくれてありがとうございました!これその時のお礼です!!」
クッキーを差し出す少女に京子と花はポカーンとしてツナはキョトンとしたが少女の顔を見て思い出した。
『川で溺れた人だよね。』
声を発しないツナに少女は覚えていないのかと思って説明する。
「川で溺れたハルを助けてくれましたよね!」
「・・・・・・。(とりあえずメモ帳を出さなきゃ。)」
ツナがメモ帳を出す前に京子が話しかけた。
「ハルさんだっけ?ツナちゃんは声が出ないの。」
「そうなんですか!?知らなかったとはいえペラペラ喋り過ぎました!」
謝るハルにツナは首を横に振りメモ帳に言葉を書く。
〈気にしなくて良いよ 〉
「ツナさんは優しいですー!ハルと友達になってください!!」
勢いよく手を差し出すハル。ツナはつられて握手した。
京子の提案で皆で宿題をやることになり京子の部屋で数学の問題を解いているとツナは応用問題でつまずいた。
『国語とかはまだしも数学は苦手なんだよなぁ。』
シャーペンを持つ手が止まっているのに気付いたハルがツナが解いている問題を見た。
「ここはこの公式を使うんですよ。」
〈そうなんだ ありがとう 〉
ツナはハルに教わった公式を使って問題を解いていった。
2時間後、数学、理科、国語、英語の宿題が終わりツナ達はヘロヘロだった。
「本当に今日出された宿題は多かったよね。」
「先生達鬼よね。」
「ハルも大量でした~。」
ツナは首を縦に振ることで答える。
京子は飲み物を淹れてくると部屋のドアを開けると帰宅した了平に会った。
「お帰りお兄ちゃん。」
「ただいま。極限に靴があったが友人が来ているのか?」
「うん。紹介するね。花は知ってるよね?」
「勿論だ。」
「右側に座ってる子は今日友達になった三浦ハルちゃん。そしてその隣に座ってる子が以前話した私と花を助けてくれた沢田綱吉ちゃんだよ。」
了平はツナの前に座りツナの両手を取って言った。
「沢田!話は聞いてたが名前を忘れてしまってお礼を言いに行けずにすまない!!京子と黒川を助けてくれて極限に感謝するぞ!だからボクシング部に入ってくれ!沢田のような勇敢な人間こそボクシングだ!!」
妹とその友人を助けたツナに感謝し、また勇敢な人間だからこそ信頼出来ると了平は言ってボクシング部に誘い出した。それを見て京子は慌てて止めに入る。
「お兄ちゃん!ツナちゃんは女の子だよ!」
「そうか。ならボクシング部のマネージャーになってくれ!」
「・・・・・・。(困ったな。)」
熱く語る了平にツナは困り果てたが京子が了平を説得した。
「お兄ちゃん、ツナちゃんが困ってるよ。それに理科のレポートが明日までなんでしょ?」
「極限に明日までだった。今日はここまでにしておこう。沢田!また極限に勧誘に行くぞ。」
そう言い残して了平は部屋を出ていくと京子がツナに謝った。
「ツナちゃん、本当にごめんね。お兄ちゃんボクシングのことになると熱くなるから。」
申し訳なさそうにする京子にツナは〈気にしないでね 〉と書いた。
花は相変わらずだなと軽く呆れてハルは了平の熱さに驚きしかなかった。