琥珀のカナリア
奈々はまた困った顔をしていた。美那がまたリボーンの授業をサボるように獄寺と山本と出かけてしまったからだ。
リボーンはそれなら美那の机に課題を置いて欲しいと課題のプリントを奈々に渡してツナの自室に入った。
「宿題が終わったら修行だ。」
「・・・・・・。(宿題はまだしもマフィアの修行は嫌だな。)」
ツナは黙々と宿題をやる。時折リボーンが間違っていると指摘して解き方を説明していった。
「よし。全部終わったな。次は体力作りをするぞ。」
リボーンはツナを連れて家を出た。
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修行が終わり帰り道、「助けてっ!!」と前方から少年が走ってツナに抱きついてきた。
少年は必死な顔で助けてと言って、ツナはどうしたんだろうと前を見ると明らかにカタギではない男3人が走ってきた。
「僕、あの人達に追いかけられてるんだ!!」
「・・・・・・(何とかしてあげたいけど思いっきりヤクザみたいじゃん!!)」
オロオロするツナにリボーンは「とりあえずお前はソイツを守ってやれ。」と死ぬ気弾をツナに向けて放つ。
「 (死ぬ気で助ける!)」
死ぬ気のツナはものの数分で男達を叩きのめした。
「ツナよくやったぞ。」
「ありがとう!僕はフゥ太。」
リボーンはツナに労いの言葉をかけて少年は笑顔で礼を言う。ツナは死ぬ気弾が切れてヘナヘナと座り込む。
「フゥ太?もしかしてランキングフゥ太か?」
リボーンが尋ねるとフゥ太はニコニコして頷いた。
「そうだよ。」
「そうか。ツナ、コイツはランキングフゥ太。さまざまなランキングが可能の凄腕の情報屋だぞ。」
「・・・・・・(情報屋?この子が?)」
自分より年下のフゥ太を見てツナは驚く。
「フゥ太。狙われてるなら暫くツナの家で居候させてもらえ。」
リボーンの言葉にフゥ太は頷いた。
帰宅し玄関に入ると蠍の刺青が特徴の美女がリボーンに飛び付いた。
「ああリボーン!会いたかったわ!!」
「久しぶりだな。ビアンキ。」
リボーンを抱き締めるビアンキ。ツナはまた人が増えてると見ていてフゥ太は毒蠍のビアンキかと尋ねた。
「毒蠍のビアンキ?」
「ええ、そうよ。貴方はランキングフゥ太かしら?」
「うん。僕は今日から暫くこの家で居候するんだ。」
「あらそうなの?私もそのつもりなの。よろしくね。」
ビアンキとフゥ太が自己紹介をしているとリボーンがビアンキの腕から出た。
「いつまでも玄関にいても仕方ねえ。リビングに行くぞ。」
リボーンに促されてツナとフゥ太とビアンキはリビングに移動した。
奈々はフゥ太とビアンキを受け入れた。
「ママン、イーピンとランボだけじゃなくビアンキとフゥ太まですまねえな。」
「良いのよ。大勢の方が楽しいわ。」
奈々は微笑んで答えてお茶を出して夕飯の準備を始めた。
リボーンはツナにビアンキを紹介した。
「ビアンキは獄寺の姉で俺の愛人だぞ。」
「・・・・・・(獄寺のお姉さん!?てかリボーンの愛人!?)」
獄寺の姉が赤ん坊な家庭教師の愛人というハチャメチャな関係にツナは驚いたまま固まる。
固まったツナにビアンキはよろしくねと挨拶をしてきてツナはメモ帳に〈よろしく〉と書いて自室に行った。
「リボーン。喋れないけど優しそうな子ね。」
リボーンの説明でツナが失声症だと知っていたビアンキは優しそうだと笑顔で言った。
「そうだぞ。アイツは優しい奴だ。美那もそのうち帰ってくるから会ってやってくれ。」
ビアンキが沢田家に来た理由はリボーンにツナと美那に会って欲しいと頼まれたからだ。
「分かったわ。」
ビアンキはそう答えた。
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ツナは自室で頭を抱えたくなった。
『どんどん人が増えていくよ。それはどうでも良いけどそうなると美那ちゃんは鬱憤が溜まるだろうなぁ。』
次々と増える居候。特にランボ、イーピン、フゥ太は子供だ。そうなると必然的に奈々は子供達に付きっきりに近い状態になる。
『憂さ晴らしに何かしてきそうだなぁ。まあいつものことだし、いやだけど諦めが肝心か。』
美那はツナを道具として扱い続けてきた。ツナはどうせ自分には話を聞いてくれる人間も信じてくれる人間も信じられる人間もいないからと結論付けた。
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美那は苛立っていた。
『何なのよ !居候のせいで美那はお母さんと話が出来ないじゃない!ビアンキは獄寺君の姉だからまだ我慢出来るけどガキ共は邪魔!!』
フゥ太は9才。ランボとイーピンは5才だ。まだまだ手がかかる年齢だ。
本当なら脅して追い出したいが居候全員がリボーンの知り合い。
『ああもう!!腹が立つわ!!』
苛立っている美那を見てツナは予想的中だと思った。