琥珀のカナリア

ツナと美那



「ツナ。今日から美那がツナの妹だぞ。」


美那が沢田家に来たのはツナが4才の時。

父親の家光はツナと美那に同い年だし仲良くするんだぞと笑っていて、母親の奈々は家族が増えて賑やかになるわねと笑顔を見せていた。
ツナも姉妹が出来て嬉しいと喜んでいたが・・・。








「ツッ君!また悪戯して!」

奈々の手には赤色のサインペンのような物で汚なく塗られた皿があった。
ツナは身に覚えがない。

「ツナじゃないよ。」

「でも美那ちゃんがサインペンを持ってるのを見たって言ってるわ。」

「ツナしてないもん!」

ツナと奈々が言い合いをしていると美那が止めに入る。

「お母さん。ツナを怒らないであげて!」

美那は二人がケンカしてるのは嫌だと涙をポロリと流して。

美那のサインペンを持ってるのを見たと言うことが決め手になってしまってツナがしたことになってしまったが犯人は美那。


美那は家族を亡くしファミリーを失い独りぼっちでボンゴレに連れてこられた。自分にはもう誰もいないんだと失意の中、豪快に笑って頭を撫でてくれた家光と沢田家で笑顔で迎えてくれた奈々を見てもう一度頑張ろうと決めた。
そして愛情に飢えていた美那は家光と奈々を一人占めしたかった。それには実子のツナは邪魔者でしかない。



だ か ら ツ ナ に わ る い こ に な っ て も ら お う



美那はツナを陥れることにした。

そしてそれは簡単に成功した。

しゅんと落ち込んでいるツナを尻目に美那は「上手くいった!!」と笑った。





「ツナ駄目だろう!これは母さんにプレゼントしたんだぞ!それを美那のせいにして!」

久しぶりに帰ってきた家光は上木鉢を持っていて、咲いていた花が茎からポッキリと折られていた。

ツナは俯いた。だって。

「お父さん!ツナを怒らないで。」

美那が空かさず出てきて庇うふりをするから。ツナはまたかと泣きそうになった。
家光は美那に言われて頭をボリボリかきながらツナにもう悪戯は駄目だぞと諭した。

ツナは毎日のように美那の悪戯を押し付けられていた。

だからツナは4才なりに考えて奈々の手伝いをしようと玄関を箒で掃除したり庭の草むしりをしたりして信じて貰おうとしたがそれに気付いた美那がツナを引き摺って物置に閉じ込めてあたかも美那がやったように見せていた。

結局奈々は美那が手伝ったと思ってしまい、悪戯はツナがしたと思うようになってしまった。




この日もツナは美那に嵌められ奈々に叱られてしまい俯いて自分の部屋に入ると美那が乱入してきた。
美那はツナのクローゼットを勝手に開けてワンピースを取り出した。

「これ頂戴!」

「え?でも美那ちゃんも持ってるよね?」

美那が取り出したワンピースは色違いで家光にプレゼントされた服だった。

「えー!だって私のはシミになっちゃって取れないんだもん!」

「でもそれは美那ちゃんが自分でペンキをこぼしたからでしょ?」


美那はツナを嵌める為にペンキを自分のワンピースこぼしてツナの仕業にした。
それを指摘されて美那は手を振り上げた。


バチンッーーー


「いたっ!」

「美那が貰うから!あんたは美那の言うことを聞けばいいの!分かった?」

美那はそう言うとツナの部屋から出て奈々にはツナがペンキをこぼしたから代わりにくれたと嘘を言ってまんまと手に入れてしまった。


ツナは奈々にもうペンキをこぼして汚したら駄目よと言われて一人で泣いていた。



奈々は同じように育てている筈なのに何故こうも違うのかと頭を悩ませていて、どうしたら良いのかと井戸端会議で相談すると一人の主婦が。

「そうね~。今からでも幼稚園に入れてみたらどうかしら?」

「幼稚園?」

「沢田さんの所は綱吉ちゃんも美那ちゃんも入れてないでしょう?」

美那を連れてくると決まった時に養女の美那が好奇の目で見られるのを防ぐ為に並盛に引っ越してきたが当時はどこの幼稚園も満員で入れなかった。

「並盛幼稚園と少し遠いけど黒曜幼稚園に空きがあるって言っていたから入れてみたら?色んな子供と接していけばやって良いこと悪いことが分かるようになるかも知れないわ。」

奈々は確かに同い年の子供と接していけばやって良いことと悪いことが分かるようになるだろうし友達も出来るだろうとツナと美那を並盛幼稚園に入園させた。



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