琥珀のカナリア


ツナとリボーンが帰宅すると奈々は困った顔をして言った。

「ママンどうした?」

「リボーンちゃんの授業があるのに美那ちゃん獄寺君と山本君と遊びにいっちゃったのよ。」

ごめんなさいねと謝る奈々にリボーンは気にするなと言った。

「気にするな。遊びたい気持ちもわかるからな。ツナ、着替えてこい。」

頷くツナは自室に入る。リボーンは奈々に話をした。

「今日は体育の授業だぞ。ツナは体力があまりねえしたまには外での授業も気分転換になる。」

「リボーンちゃんお願いね。」



リボーンは着替えたツナと川原へ向かう。
奈々に体育の授業だと言ったがそれは嘘。本当の目的はツナと話し美那との関係を聞くことだ。数日間リボーンはツナと話そうとしたがその度に美那が入ってきて話が出来ずにいた。

川原に着きリボーンが口を開こうとすると向かい側からドボーンッと音がし、少女の助けを求める声がした。


「はひーーーっ!た、助けて下さーーーーーいっ!!」


溺れている少女。ツナは助けたいが泳げない。予め家光に渡されたデータでそのことを知っていたリボーンは死ぬ気弾をツナに撃った。


「(死ぬ気であの子を助ける!!!)」


ツナは川に飛び込み少女を抱えながらリボーンが待つ場所に戻っていく。

岸に上がると同時に死ぬ気弾の効果が切れた。

「・・・・・・(何とか助けてられて良かった。)」

ツナは安心すると美那に知られる前に踵を返す。

『美那ちゃんに見られてたら不味い。それにずぶ濡れなのを追及されたら面倒だ。早く帰って着替えよう!』

足早に去っていくツナを呼び止めようとする少女。リボーンは少女に話しかけた。

「溺れて体力が消耗してる筈だぞ。家族に連絡して迎えに来たもらった方が良い。」

そう言い残しリボーンはツナを追った。


ツナは帰宅途中、美那にこのことが知られたら面倒だと思った。
美那にとってツナは道具。道具は持ち主のみが扱うもの。道具が勝手に何かするなどあってはならない。目立つなど言語道断。

『多分見られてはいないと思うけどーーー』

考えているとリボーンが肩に乗ってきた。

「この近くに公園があったな?そこに行くぞ。」

ツナは頷くことで答えて公園に足を運んだ。

公園には誰も居ない。リボーンは幸いとばかりにベンチに座った。

「ツナ、今日はよく頑張ったな。」

「・・・・・・。(?)」

ツナはリボーンの言葉に首を横に傾けた。京子と花、溺れていた少女を助けられたのは死ぬ気弾のおかげだ。

ツナはメモ帳を出そうとしたが濡れてしまっていて使い物にならなかった。
辺りを見回して小枝を拾って地面に思ったことを書いた。


〈俺は何もしてない 死ぬ気弾の効果だよ〉

リボーンはベンチから下りて地面に書かれた文字を読んで答えた。

「死ぬ気弾は死ぬ寸前に思ったことを行動に移すんだぞ。つまりツナはクラスメイトと溺れてた女を助けたいと思ったから助けることが出来たんだ。」

〈そうなんだ〉

「そうだぞ。俺はツナが優しい奴だと分かった。ママンに今日のことを報告しよう。きっとママンは喜んでツナの好物を沢山作って貰えるぞ。」

リボーンの台詞にツナは慌てて地面に書く。

〈それは止めて 教えなくて良いよ〉

「照れ臭いのか?だがツナのしたことは立派なことだぞ。」

〈誰にも言わないで お願い〉

眉を八の字にしてリボーンを見るツナにリボーンは分かったと頷いた。

「・・・そこまで言うなら黙っておく。そろそろ帰るぞ。」

リボーンは再びツナの肩に飛び乗った。

『初めてツナとまともな会話をしたがーーー。』

初めての会話はあまりにも悲しいものだった。


ーーーー

翌日の休日ーーー

京子と花はアクセサリーショップで買い物をしていた。

「ん?京子にしては珍しい物を選んでるわね?」

「花もだよ?」

京子が好むデザインは花やハート等可愛らしい物だ。一方花は大人っぽいデザインを好む。
なのに京子が手にしているのはシンプルな星のデザインのイヤリング、花が手にしているのはヒヨコのマスコットが付いているバッグチャームだ。

「これは私じゃなくて沢田によ。」

「花もなんだね。私もだよ。沢田さんには感謝の気持ちで一杯で何かお礼したくて。」

「沢田が助けてくれなかったら死んでたわ。まあ、この程度の物じゃ足りないくらいだけどね。」

「月曜日に渡そうね。」

「そうね。」

京子と花は会計を済ました。


ーーーー

ツナは宿題をやっていると美那の宿題を見ていたリボーンがツナの自室に入ってきた。

「進んでいるか?」

リボーンはツナの机に乗りノートを覗き込むと最後の応用問題で引っ掛かっていた。

「応用問題は少し面倒だからな。焦らず解いていけ。」

頷くツナだが外の方から一瞬何かが光ったような気がして窓から外を見た。

「・・・・・・(小さな子が庭にいる。)」

「俺は格下は相手にしねぇ。応用問題が終われば宿題はクリアなんだから気にするな。」

庭にいる子供はリボーンに無視されて涙を溜めながら銃を撃ってきた。
リボーン難なく避けてうるさいとばかりに子供に銃を向けて遠慮なく撃った。ツナは飛んできた銃弾に真っ青になる。
そんなツナを尻目にその後リボーンと子供は争い事が勃発し結果、子供ことランボが居候になった。


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