琥珀のカナリア
家に着くと奈々は雲雀をリビングに通して話しかけた。
「ツッ君のお友達よね?お名前は?年は?」
「雲雀恭弥。7才。並盛小の一年。」
「あらそうなの。じゃあ来年はツッ君と美那ちゃんの先輩ね。」
「うん。」
「ご飯食べていってね。」
ツッ君と仲良くしてねと言うと奈々は台所に行きお茶を淹れる。
因みにお兄さんで通していたツナは勿論美那も初めて名前を知った。
家光は渋々だが雲雀にソファーに座るように薦めた。
雲雀が座ると美那が隣に座ろうとするが雲雀は空かさずツナを座らせた。
「千歳飴折るから貸して。」
ツナは雲雀に千歳飴が入った袋を渡す。雲雀は千歳飴を出した。
「白とピンク、どっちが食べたい?」
ツナは雲雀と食べたいと思った。暫く考えて白を選んだ。
『お兄さんは男の子だからピンクより白が良いよね。』
「ツナ、白が良い。」
雲雀は白の千歳飴を折ろうとする。
家光は子供が折れるものではないだろうと思い、また縁起が悪いから止めに入ったがバキッと音がした。
「お兄さん凄いね!ツナだったら折れないよ!」
「・・・・・・。(子供の力で折れるのか!?)」
千歳飴は大人でも折れない。
雲雀の手には真っ二つに折れた千歳飴。更に小さくしようとする。
家光は縁起が悪いと雲雀を止めたが。
「縁起が悪い?確かにそういう話も聞いたことあるけど千歳飴は長寿を願う縁起物。福は分けるものだって僕は教わったよ。それに丸々一本は飽きるし体に良いわけない。」
一本食べさせる気なのかと冷めた目で言う雲雀。
「・・・・・・。(た、確かに食べきれる代物じゃないし一本食べさせるのは良くない。それに長寿を願う縁起物って初めて知った。しかし何故上から物を言うような喋り方をするんだ??)」
色々考えて沈黙している家光をよそに雲雀はバキバキと折っていく。
「はい。これくらいで良いんじゃない?」
長さはバラバラだがそこそこの大きさの千歳飴。ツナは小さい千歳飴を選ぶとお兄さんもと薦めた。
「お兄さんのお話だと分けるんだよね。だからお兄さんも食べよう。」
「うん。」
雲雀は小さい千歳飴を口に入れるとツナも口に含んだ。
美味しそうに食べるツナと雲雀。美那も雲雀と食べたいから折ってもらおうとした。
「あの、恭弥君。美那のも折って欲しいの。」
雲雀は名前で呼ばれて馴れ馴れしいと苛立った。ツナなら良いが嫌いな美那には呼ばれたくなかった。
千歳飴を渡そうとする美那に雲雀は素っ気なく言った。
「この子のをおったから流石に手が痛いから無理。」
「・・・・・・。」
リビングに気まずい空気が流れるが雲雀は気にも止めずに餌付けしたくて千歳飴をツナの口に入れようとし、ツナは美那を気にしながらも「口にまだ千歳飴残ってるよ。」と話ている。
下を向き歯を噛み締める美那。俯く美那に家光が怪力を発揮して千歳飴を折ってやった。
「お父さんありがとう。」
美那は笑顔を作りつつも忌々しいとツナを睨み、ツナはビクッと体を震わせた。雲雀はこれ以上美那に怯える前にツナの部屋へ避難させようとした。
「夕飯はまだみたいだから部屋に行こう。」
「ツナのお部屋?」
「うん。」
ツナと雲雀はツナの部屋に行った。美那も後を追った。