静寂の住人
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抱き上げた雲雀は眉を寄せた。
『この子・・・また軽くなってる!』
よくよく考えれば最初は応接室に連れていく時ツナは自分の足で歩いていた。最近はどうだ?歩けなくなるくらい暴力を振るわれている。多分学校に来るだけでも体力を消耗しているのだろう。
明らかに悪化しているツナの環境に雲雀は唇を噛んだ。そんなツナの前にツナの体を乗っ取ろうとしている骸が来たら最悪だ。
「クローム髑髏は帰りな。これ以上君がいたらそれを理由に六道が来て小動物を契約したら厄介だ。」
「雲雀さん!何もクロームにそんな言い方しなくても。」
眉を八の字にして上目遣いで困ったように言うツナに雲雀はソッポを向く。
「可能性はあるだろ!」
可愛い上目遣いのツナに照れ隠しできつく言い返す雲雀にツナはシュンとしてしまい雲雀しまった!と後悔した。
そんな雲雀を見て何となくだが雲雀はツナが好きだと分かったクロームは笑顔で「気にしないで。ボスまた明日ね。」と言って先に屋上を出ていった。
応接室に着いて雲雀はツナの手当てをする。顔はクロームが軽く手当てしたが体はしていない。
さすがに女のクロームが小柄とはいえ男のツナの服を脱がせるのは難しい。
ツナの傷は増えていくばかり。毎日の暴力で治りかけている傷の上に新たな傷が出来てしまっていた。
雲雀が手当てをしていると腹心の草壁が応接室に入ってきた。ツナの食事を持って。
「監視カメラを増設するよ。見つからないように設置させて。」と雲雀は指令をし草壁はその準備に取り掛かるために退室した。
「手当ては終わったからこれを食べておきなよ。」
「いつもすみません。」
「ゆっくり食べれば良い。」
本当ならすぐにでも保護したいがツナの意志を尊重する雲雀。
せめてゆっくり食べればほんの少しだけリボーンや奈々、居候に暴力を振るわれる時間が減るからと。
ーーーー
泣きながら教室に入ってきた愛結華にクラスの生徒は目を見開き側に行く。
「愛結華ちゃん!どうしたの?」
「フォード、何があった?」
「ひっく、私ぃ、あの日沢田君にぃ、何か酷いことを言ったと思ってぇそれを聞いて謝ろうと、朝に聞きに、ひっ、行ったんだけど、でも沢田君を余計に怒らせちゃ、てぇ、ヒック」
どうしようと泣きじゃくる愛結華に生徒はあのダメツナがと罵り、獄寺達はなんで今まであんな奴を慕っていたのかと苛立っていた。
ツナが教室に入るとクラスの生徒達が一斉に罵り始めた。
「いい加減にしろよ!ダメツナ!」
「愛結華ちゃんにちゃんと謝ってよね!」
「朝からフォードを怒鳴り付けたんだって!?」
「愛結華ちゃんは悪くないのにあんたに謝ろうとしたのよ!」
「え!俺フォードさんに会ってないよ!」
「嘘付くなよダメツナ!皆でフォードの代わりに仕返ししようぜ!」
暴力を振るう生徒に愛結華はほくそ笑んだ。
『ダメツナ君、そろそろ落ちるかしらぁ?それにしてもここの連中は扱いやすい奴隷達よねぇ~。』
暴力を振るわれて新しい傷が出来るツナを見て愛結華は醜悪な笑みをした。
『そろそろ優しい愛結華を演じなきゃ~。』
愛結華は泣きそうな顔を作り暴力を振るっている生徒達を止めに入る。
「み、皆、もうやめてーー!」
「愛結華ちゃん?」
「フォード?」
大声で止めに入った愛結華に暴力を振るう手を止めた生徒達。
「あのね、きっと、私が日本語ちゃんと、ひっく、喋れないから、誤解を生んだ、と思うの、 、ヒック、もっとしっかりお母様に、日本語教わらなかった私が、ひっく、悪いんだよぉ、ヒック。」
両手で顔を覆い泣く愛結華に京子と花が慰める。
「愛結華ちゃん、自分を追い込まないで!」
「そうよ、愛結華はちゃんと喋れてるわ!」
ツナと向き合う為に怖いのを我慢して会いに行った愛結華、日本語が喋れない自分が悪いと泣く愛結華を見て、獄寺達はツナを責め立てた。
「沢田!愛結華を追い込んで最低ね!」
「沢田君!愛結華ちゃんは日本語が喋れないって思い込んじゃってるよ!酷い!」
「いい加減にするのな!さっさと自分がしたことを認めるのな!」
「てめぇは謝りやがれ!これ以上俺達を失望させるな!この最低野郎!」
ツナの言い分を聞かず罵り責める獄寺達にツナはそれでもいつかは気づいてくれると信じた。いや、信じるしか出来なかった。
それは言い換えればもう元の関係には戻れないとツナが無意識に感じ始めていることを表していた。
この日は愛結華が止めに入った為、ツナは暴力を振るわれずにすんだが獄寺達が悪いことをしてるんだから罰として掃除を押し付けた。
ツナは逆らえず一人で掃除をしていた。
窓から空を見て『フォードさんのことを除いてはリボーンが来る前に戻っちゃったな。俺はいつも一人ぼっちだったっけ。』
ツナは寂しさと悲しみを感じた。
ーーーー
「家光、これは事実かね?」
「残念ながら。俺の息子は愛結華さんを殴った後も苛めをして追い詰めています。」
苦虫を噛むような顔で報告書を渡す家光に9代目は「家光の息子だ。もう一度再調査をしろ。」と静かに言うが家光はあんな愚息に気をかけないで下さいと答えた。
9代目は目を閉じ『自分の息子の名誉がかかっているというのになんと浅はかな。』と呆れ果てた。
家光が退室した後9代目は自分の守護者達を呼びツナと愛結華を極秘で調査させた。