静寂の住人
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「ダメツナはまだ行方不明なわけ?」
「沢田君が見付かったらすぐに愛結華ちゃんに謝らせるんだから!」
「愛結華が悪いんだから良いんだよ~。」
「なに言ってのよ!愛結華は悪くないわ!愛結華を苛めたダメツナが悪いのよ!」
「沢田君を庇うなんて愛結華ちゃんは本当に優しい子だよね。」
「そんなことないよー。」
ハルは三人の会話に呆然とした。
ツナが行方不明?愛結華に謝罪させる?ツナが愛結華を苛めた?
ツナさんは優しい人だ。自分や京子ちゃん、クロームちゃんを危険な目に合わせまいと守ってくれる人だ。いつも最前線で拳を振るっていた。本当は争い事は嫌いなのに皆を守ってくれる人だ。
そんなツナさんが酷いことなどするわけがない。
ハルは立ち上がると同時にテーブルを両手でバンッと叩き叫ぶように言った。
「ツナさんはそんなことをするような人じゃありません!なのに何でそんなことを言うんですか!」
ハルの剣幕に京子達は若干驚くが直ぐに言い返した。
「ハルちゃん。これは本当のことなんだよ。沢田君は転校して間もない愛結華ちゃんに暴力を振るったんだよ!」
「いつも苛められて愛結華は辛いのに自分が悪いんだって責め続けてるのよ!」
ハルは京子達がツナを罵倒しているのを愛結華が愉しそうに聞いているのが見てとれるようにわかった。
苛められてる人間が苛めてくる人間の名前を聞いて喜ぶわけがないし、聞きたくもない。聞いてしまえばされたことを思い出してしまう。なのに愛結華は笑顔だ。その笑顔さえ京子達は優しい子だから笑顔でいられるんだと褒め称える。
ハルは愛結華が嘘を付いてツナに危害を加えているんじゃないかと思った。
「愛結華ちゃん!本当にツナさんに苛められているんですか!ハルは信じられません!」
「ハルちゃん!本当なんだよ!いつも愛結華ちゃんは泣いてるんだよ!」
「ダメツナは最低野郎なのよ!」
「愛結華ちゃんのことは分かりました!ツナさんの言い分は聞いたんですか?」
首を横に振り聞く必要があるの?と聞き返した京子と花にハルは目を吊り上げる。
「聞いてもいないのに一方的にツナさんを責めているんですか!」
「愛結華が泣いてるのよ!それで充分!」
「ハルちゃん!折角愛結華ちゃんを紹介したのに酷いよ!」
ハルが悪いと責め立てる京子と花。
ハルを睨み付ける愛結華はこれ以上余計なことを言うな!と目をしていた。
ハルは責め立て二人と睨み付ける愛結華に臆することもなく言った。
「なら京子ちゃんと花ちゃんに聞きますけどツナさんが愛結華ちゃんを苛めている現場を見たんですか?見たならその時点で止めに入って仲直り出来るようにしたんですか!」
「私は見てないけど愛結華ちゃんは泣いていたんだよ!」
「愛結華は毎日泣きながら登校してるの!」
愛結華が泣いているから。ただそれだけでツナが苛めていると決め付けた京子と花にハルは信じられないような目をした。
「二人とも酷いです!花ちゃんは本当にツナさんが苛めをするような人だと思っているんですか!京子ちゃんはいつもツナさんに助けて貰ったのに!何で信じないんです!!」
「ハルちゃん何でそんな責めるような目をするの!?沢田君に助けられたのは汚点だわ!」
「私はダメツナが苛めをする人間だと思ってるわ!苛めても獄寺と山本が庇ってくれると思ってダメツナは調子に乗ったのよ!」
終いには見た目に騙されているの!今回のことで最低な人間だって分かったでしょう?目を覚まして!現実を見て!と京子と花が言い出した。
ハルはこれ以上言っても伝わらないと失望し最後に言った。
「もう良いです。二人が何を言おうとハルはツナさんを信じます!ハルはツナさんが大好きだから!」
ハルは京子と花に愛結華かに謝れと言っているのを無視しラ・ナミモリーヌを出た。
そしてその日の夜ハルの携帯の着信音が鳴ったがディスプレイに非通知の文字が出ていたが非通知ならとハルは無視していた。
暫くすると留守電になりそこに吹き込まれる声は愛結華の苛立った声だった。
「な!何でこの人がハルの番号を!?」
ハルの驚きをよそに愛結華の声が携帯から流れる。
『京子にケー番とメアドを教えて貰ったのぉ。あんたさぁたいして可愛く無いくせに生意気なのよ!愛結華はマフィアだからあんたと家族を始末するなんて簡単なんだよ!覚えてろよ!このブス女が!』
その日からハルにとって恐怖の日々が始まった。
毎日脅しの電話にメール。
愛結華に「愛結華に謝れよ!」と殴られる日もあった。
両親に相談したくても愛結華はマフィアの娘。出来るはずもなく。
ハルは愛結華に怯えていた。