自由を望む大空
「全くあいつらは謝るってことを知らないのかな?」
まぁ、知ってたら謝るかとツナは自室で呟いた。
リボーンに「俺が女と分かった以上この部屋から出ていって欲しい」と自室から追い出した。
リボーンは確かにと分かったように出ていきビアンキの部屋で過ごしていた。
だからツナが少しくらい呟いてもリボーンの耳には入らない。
かつての仲間達に散々暴力を振るわれ、傷の手当ては中々出来ず治りかかった傷の上に新しい傷が出来て酷いものは膿んでいた。そして傷の痕が残るものが多かった。
私物は破壊され、教室に入れば汚水を浴びさせられ、罵られた。
仲間だと思っていた人間に親友でも何でもないからと『ツナ』から『沢田』と呼ばれるようになり『最低野郎』とも呼ばれた。
家庭教師と家族も躾と言っては暴力、罵倒されおまけに食事は3日に一度具の入っていないおにぎり一個だけ。毎日口にしても良いものは水だけでおかげで痩せ干そっていった。
ボンゴレはアリスンの償いとして汚れ仕事をさせようと決め、父親はそれを当然のように了承した。
それなのにアリスンの嘘が分かった途端に手のひらを返してツナをまたボンゴレの後継者にした。
謝罪一つせずに。
「あいつらの都合の良い道具になんかなるつもりは全然ないよ!」
ツナはこれからの事を考えていた。
地獄の日々が終わって一週間。そろそろ行動を起こしていかないとね。
ベッドで寝転んでいたツナは首にかけているボンゴレリングを手に取る。
『初代は栄えるも滅びるのも好きにしろって言ってたし。』
ツナはボンゴレを滅ぼすことにした。
自分の為に。
「壊すのは良いけど俺一人じゃ難しいよね。誰かしら仲間にしないと。」
獄寺君達はまず有り得ないし。滅ぼすなんて言ったらリボーンにバレる。
雲雀さんは俺に何もしなかったけど雲雀さんにとって利益がないと無理だよなぁ。それ以前に群れ嫌いだし。
「そうなると骸しかいないか。」
骸は他校生だったから今回のことは知らない。クロームは黒曜高校に進学していて骸同様知らなかった。(アリスンはマフィア嫌いの骸には近付かなかった。契約されたら自分のファミリーとボンゴレが滅ぼされると分かっていた。)
「骸はちょっと苦手だけどボンゴレを潰すなら協力してくれる可能性があるよね。クロームは骸を慕ってるから骸が味方に付けばクロームも自動的に味方になってくれるし術士が多ければ上手くいくかも。」
今日は日曜日でお昼過ぎ。少なくとも骸とクロームは学校が休みのはず。
ツナは起き上がり支度を済ませ玄関に向かう。
「ツッ君?お出掛けかしら?」
母親モドキが話しかけてきた。ウザイ。
「うん。」
ツナは素っ気なく答えさっさと出て行った。