自由を望む大空
「身体中の傷を消すように医療班に言っただけで謝罪なんてただの一度もしてないじゃん!しかもほとんど消えなかったよ!」
ツナ自身に謝罪をしていないことに漸く気付いたリボーン。
怒りと憎しみが混ざっているツナにリボーンは謝罪をしようするがそれよりも先にツナの口が開いた。
「謝罪は要らない。」
「っ!?」
ツナは目線をリボーンからランドに向ける。
「もし、ランドを助けたかったら助けに入っても良いよ。」
出来るならねとツナは笑い、ポケットから小瓶を出しランドに近づいていく。
「ツナ!その瓶は何だ!」
「これはボンゴレ医療班が作った新薬。これを飲めば記憶を全て無くすことが出来るんだ。」
そう言うとツナはランドのガムテープを剥がし鼻を摘まみ口が開いたところで液体状の薬を無理矢理飲ませる。
そして飲んだ瞬間ランドは声を上げる。
「頭が・・・!割れそ・・・痛い!!リボーン先・・・生助け・・・て!!!」
「ランドーーー!!」
ランドは気を失いぐったりとした。
「これでこの子はマフィアだったこともリボーンのことも今までの記憶を全て忘れた。マフィアとはいえ、子供一人でいたって野垂れ死にだ。犬、ランドを孤児施設に連れていって。」
せめてもの情けだとツナは言い、犬はランドを孤児施設に運ぼうと車に乗せて走っていく。
リボーンは何も出来ず悔しそうにした。
「最後の生徒も俺同様助けなかったんだね。薄情な奴だ。」
リボーンの顔を覗き込み言うツナにリボーンが怒鳴った。
「この状態で動けると思ってるのか!」
「思ってるよ。関節を外せば良いじゃない。」
リボーンは隙間なく蔦がきつく巻き付けられ関節どころか指一本動かせない。それを分かっていて非情に言うツナに呆然とする。そんなリボーンに気にせずツナはある人物達を見ろと促す。
「リボーンさ、この中で見覚えがある人物居るの分かる?勿論俺と骸とクロームは除いてだけど。」
リボーンはボンゴレの構成員をみやるが見覚えのある人物は居ない。
そんなリボーンを見てツナはクスリと笑う。
「ツナ!何が可笑しいんだ!!」
「コイツ分からないみたいだから教えてあげて。」
ツナが構成員に言うと次々とリボーンに憎しみをぶつけた。
「俺はてめぇの無茶苦茶な修行のせいで後継者の息子を亡くしたんだ!」
「私もそうよ!お前のせいで後継ぎが再起不能にされた!そのせいで内部分裂が起きて私のファミリーは潰えたのよ!」
「お前のふざけた遊びのせいでファミリーが滅びたんだ!!」
「貴様がやらかした馬鹿げた遊びで俺に濡れ衣を被せやがって!おかげでファミリーから追い出された!」
「どうせお前のことだ。弄ぶだけ弄んで飽きたら直ぐにしたことを忘れたんでしょう!?私の息子と娘を返して!」
「だから他のファミリーでも同じような愚行をしたんだろう!お前のせいで俺は姉を亡くしたんだ!」
「ーーーッ!!」
リボーンは顔こそ覚えていないが自分がしたことを思い出した。
そして『構成員達』とはリボーンによって全てを失った者達だ。
「顔は思い出さないけどやったことは辛うじて覚えていたみたいだね。やっぱりお前は薄情で最低な家庭教師だよね。」
こんな奴がアルコバレーノだったとはねとツナは冷笑した。
「ま、今はアルコバレーノじゃないから問題は無いかな。」
ツナは一呼吸置いて構成員に命令した。
「撃て!」
パーン!
パーン!!
パパーン!!
「うっ・・・・・・。」
『これからだよ、リボーン。楽しみにしててね。』
リボーンを見てツナは胸中で笑っていた。