自由を望む大空


ツナは獄寺の言葉に嫌悪感と軽蔑しかなかった。


『俺のことが好きだって?ふざけるな!!』


ツナは地下牢に食事を運んでいる部下に獄寺だけは与えるなと厳命した。

しかし獄寺との出来事でツナは骸以外の男に恐怖を感じていたが「ボンゴレから自由になる為!」と鼓舞してドンナとし振る舞い、骸とクロームは心配しながらも支えていた。


ーーーー

ツナがアリスンに陥れられた時、ラルとバジル達は家光に、ディーノは9代目にツナとアリスンを調査しろと進言していた。9代目と家光は無視してしまったが。

継承式の後でディーノとラル達は何も出来ずにすまなかったとツナに深く謝罪した。
ツナは普段日本から遠いイタリアにいる彼等が信じてくれていたことが凄く嬉しかった。


『ディーノさんとラルさん達は巻き込みたくないんだよね。』

ツナは家光がチェデフにいない時間帯を調べてラルに連絡を取った。

『沢田か。何かあったのか?』

「ラルさん。近いうちにバジル達とボンゴレを抜けて下さい。」

『・・・やはりお前がボンゴレを継いだのは潰す為だったか。』

ラルは気付いていた。
陥れられ、リボーンや一部の守護者、両親、居候達に暴行されていたツナが何故ボンゴレを継ごうと思ったのか最初は不思議でならなかったが、継承式でツナの目を見た時にラルは悟った。ボンゴレに復讐するだけの為に継いだと。

「もしかしてバレてました?」

『ああ、未来で短期間とはいえお前を鍛えたからな。お前の目を見た時に分かったさ。』

ツナはどこかの家庭教師とは大違いだと改めてラルが凄腕の教官なのだと感心した。

「ラルさん。バジル君達とボンゴレを抜けてくれますか?出来れば巻き込みたくないんです。」

『分かった。それにあの時、調査をろくにしなかった家光には皆失望しているしな。』

「ありがとうございます。門外顧問に勘づかれるのを防ぎたいのでラルさん達はギリギリまでチェデフに居て下さい。ボンゴレを潰す時に連絡を入れます。」

ツナは通話を切りラル達を捲き込まないで済むと安堵したが同時に部下に失望されている家光に笑うと次はディーノに連絡を取り翌日キャバッローネに向かった。


ディーノ直々に出迎えられてツナと骸、クロームは応接室に通されそれぞれ席に着くとツナが口を開いた。

「ディーノさん。今日限りでボンゴレとの同盟を解消してください。」

ツナが言うと骸が勅命書を出す。ディーノは悲しげにツナを見やった。

「・・・やっぱり復讐のために10代目になったのか?」

「バレてました?」

「ツナは俺の妹弟子だからな。でも本当に良いのか?家光は父親だしかつてはリボーンはカテキョーで獄寺達は仲間だろ?」

確かに家光は父親だしリボーンは家庭教師。獄寺達は仲間だった。だがツナの一番近くにいたリボーン達は裏切った。ツナの話を何一つ聞かずに。

「ディーノさん。本当にリボーン達は元が付くんですよ。俺は許すつもりはありません。それにもう解放されたいんです。ボンゴレとリボーン達は俺の全てを奪うことしか頭にないから。」

ディーノは復讐を止めたかった。復讐が終わったら優しいツナのことだ。傷付くかもしれないと思ったからだ。

だがツナの瞳は一切の迷いがない。覚悟を決めている目をしていた。きっとツナを止められる人間がいるとしたら同じ思いをした人間だけ。そしてツナの回りにはそんな人間がいなかった。


「・・・そうか。そこまで言うなら止めたりはしない。だが約束してくれ。復讐が終わったら幸せになれ。」

兄弟子が妹弟子に贈れる言葉はもうこれくらいだとディーノは勅命書にサインした。

「ディーノさん。今までありがとうございました。ディーノさんは最高の兄弟子です。」

ツナは笑顔で答えるとキャバッローネを後にしディーノは優しいツナがここまで変わってしまったことに泣きそうになった。


車に乗りボンゴレ本部に向かう中、骸はツナを裏切った人間と信じた人間の顔を思い出していた。

『綱吉さんと一番親しい人間があっさり裏切り遠くにいた人間は綱吉さんを信じていた。不思議なものですね。』

面白いものだと骸は思った。




フランが執務室に入ってきてホルスファミリーに動きがあったと報告した。
ツナと骸は情報を流したのが漸く効いたと口の端を上げる。
フランはクロームが出した茶菓子をガツガツ食べながら話す。

「武器庫を襲って奪い取りそれと同時に別の部隊が奇襲するって言ってました~。」

少しずつ流していた情報に確信を得たホルスファミリー。ツナは引っ掛かったと嘲笑した。

「襲撃する日は分かる?」

「●月○日の夜中って言ってましたー。後、その日はボンゴレに会談を入れてツナさんをホルスファミリーに足止めさせるつもりです~。ついでにドン・ホルスはツナさんに言い寄る気満々で気色悪かったですー。」

「会談か。骸はどう思う?」

「部隊を潜ませて挑んだ方が良いでしょう。フランに監視させホルスがボンゴレを襲撃する動きを見せたらこっちも動けます。ドン・ホルスの懐にいるなら直ぐにでも決着がつきますしね。」

「ならそこで屈辱を味あわせてリボーンを生け捕りにする。」

ツナはリボーンが屈辱を感じるだろう物を手に入れていた。

「なら、『構成員達』に連絡を入れておくわ。」

クロームが連絡を入れているとMMが小さな小瓶を片手に入ってきた。

「医療班で作ったやつが完成したわよ。」

「ありがと。報酬は口座に振り込んでおくからね。」


小瓶を冷たい目で見るツナ。

「これはせめてもの情けだから。」

でもリボーンからしてみたら屈辱的かもねと嘲笑った。


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