自由を望む大空
地下牢にランボを入れる際、雷のボンゴレギアを取り上げたツナは適当な小箱に入れ次は山本に標的を定めた。
執務室に獄寺、山本、了平が集められた。
「諜報部によると敵対ファミリーが大胆にも武器補給のメインのルートを今日あたり荒らす動きがあるらしい。山本は武器補給の担当だから部隊を率いて敵対ファミリーを潰して欲しい。」
「分かったのな!」
「お兄さんは骸とフランでボンゴレの領土を巡回。特に隣の敵対ファミリーとの境は念入りに。ボンゴレの領土の住民が麻薬を買いそうになっていたら止めに入って。骸とフランは既に門の前で待機してる!」
「極限に了解したぞ!」
「獄寺君は諜報部に出向いて武器補給のメインは勿論サブのルートも見張っていて。これ以上やられたら溜まったものじゃないから!」
「了解しました十代目!」
ツナの命令で獄寺達はそれぞれの任務に当たる。
「骸、山本に憑依出来そう?」
ツナの声で姿を消していた骸が現れる。
「先日の敵対ファミリーの殲滅したときに『誤って』三又槍で山本武の左足をかすってしまいましたからね。」
「『誤って』なら仕方ないよね♪それじゃ、作戦の確認。骸は山本に付いていって敵対ファミリーと出会ったら山本に憑依して敵対ファミリーに武器補給のルートを案内させて。そうしたら獄寺君が慌てて執務室に来るだろうから獄寺君と俺とクロームで向かう。」
「分かりました。そして僕のアリバイはフランに有幻覚の僕を作らせるのですね。」
頷くツナに骸は行ってきますと姿を消し山本の後を追った。
骸を見送るとツナはクロームにすまなそうな顔を向けた。
「今回はクロームに危険な場所に行かせることになってごめん。」
「大丈夫だよ、行く理由はアリバイの為だし。それに私も戦える。」
「そう言ってもらえると助かるよ。なら後は獄寺君からの連絡を待つだけだね。」
「うん。」
山本が部隊を編成して武器補給のルートに向かって数時間後獄寺がツナの執務室に慌てて飛び込んできた。
「十代目!大変です!野球馬鹿が裏切りました!」
「なんだって!?一体どういうことなの!?」
「野球馬鹿が敵対しているバードンファミリーを武器倉庫に案内してます!」
ツナは暫く思案するフリをして声を低くした。
「・・・分かった。これから俺とクロームと獄寺君で武器倉庫へ。獄寺君は部隊を至急編成して!終わりしだい潰す!」
獄寺は退室し急いで部隊編成をする。
ツナとクロームは簡単に騙された獄寺を馬鹿にし笑いを堪えるのに必死だった。ツナに至っては獄寺が出ていった後小さく笑い声を洩らしていた。
ーーーー
武器補給のルートはまず一般人は入らない場所に幾つかのダミーの企業がありそこから武器を隠して運んでいき、倉庫がある場所に武器を収納していた。
倉庫に着いたツナが先陣を切り部下達が攻撃をし獄寺とクロームがツナの援護に回る。
ツナ達のいきなりの奇襲に慌てるバードンファミリーに獄寺は容赦無くダイナマイトを投げ、クロームは幻術を駆使して応戦する。
ツナは敵を薙ぎ倒しながら山本に向かって突進し捕まえクロームが空かさず蔦を山本に巻き付けたその瞬間骸は山本から離脱した。
意識が戻った山本の目に写った光景。
倒れているバードンファミリーの構成員達。
自分を冷たい目をして見下ろすツナ。
三又槍を向けるクローム。
ダイナマイトをしまい、拳銃の標準を自分に定めている獄寺と同じく自分に拳銃や武器を向ける部下達。
山本は何が起きたのか理解出来なかった。そんな様子の山本にツナは冷めた声で言った。
「山本、何故バードンファミリーに武器倉庫の手引きをした!何故裏切った!」
山本はツナが言ったことが分からず混乱する。
「そんなことしてないのな!俺がツナを裏切るわけないだろ!」
「獄寺君が諜報部で武器補給ルートの監視カメラを観ていたら山本がバードンファミリーを手引きしているのを発見して知らせてきた。」
「見損なったぜ野球馬鹿!」
「雨の人。ボスを裏切ったの?」
山本は違うと言いながらバードンファミリーに出くわした時に意識が朦朧としたのを思い出したのと同時に先日の敵対ファミリーを殲滅させた時に骸に三又槍で誤ってかすり傷を負わされたのを思い出した。
「骸だ!俺は骸にかすり傷を負わされたのな!骸が憑依してボンゴレを潰そうとしたんだ!アイツはマフィア嫌いだから!」
ツナは山本にしては今回は頭の回転が良いことに驚いたが山本の言葉を容赦なく叩き潰した。
「でもここに骸は居ないしさすがにこんなに距離が離れた場所で憑依してバードンファミリーを手引きなんか不可能だし、もし骸が手引きしたなら監視カメラに写らないように行動するはずだよ。それに骸はフランとお兄さんと領土の巡回をしているんだ。」
ツナは獄寺に了平に連絡させ骸とフランのアリバイを確認させた。