自由を望む大空
ホルスファミリーが用意したホテルの一室でツナは骸達と話し合いをしていた。
「ホルスファミリーは勿論バードンファミリー、カーツェファミリー、パンナファミリーはボンゴレに牙を剥こうとしてる。だから上手くこのファミリーにボンゴレの情報を流そうと思う。」
ツナが挙げたファミリーは超直感で敵対してくるのが分かったファミリーだ。
「ホルスとバードンには武器補給のルート、カーツェとパンナには表の企業の情報を流しましょう。」
武力で脅し勢力を伸ばしたホルスとバードンは武器を欲していたし、カーツェとパンナは企業を買収するのが得意なファミリーですからと付け加えた骸の案にツナは納得した。
「でも流すのはリボーンを追い出してから。勘づかれると面倒だ。」
「確かにその方が安全ね。あんたの骨髄検査を偽装するときもヤバかったし。」
ツナのカルテを偽装しようとした時に結果を気にして医療室に来たリボーンに正直冷や汗ものだったMM。偽装だと気づいていなかったからバレなかったが。
ツナ達はリボーンを追い出したら決行することにした。
翌日の夕方にボンゴレ本部に戻ると了平が出迎えた。
「沢田、パオパオ師匠から今すぐ医療班で検査を受けろと極限伝言だ。」
どこか悪いのか?と聞いてくる了平にツナは念のため体調を調べるんじゃないと適当に返したがあの赤子!と心中で罵りながらツナは医療室に向かい骸とクロームが付き添いとして同行した。
MMは休憩中らしく他の女医が不妊検査を担当したが検査の結果にツナは涙を流し、クロームは慰めツナの寝室に送っていく。骸はリボーン達に話を聞かなくてはとボスの夫の権限を使い召集をかけた。
不妊検査の結果ーーー
ツナは子供を産めない身体と診断された。
世継ぎは要らないけどいつか自分の子供を抱きたいと思っていたのに産めない身体と診断されツナはベッドで泣き崩れていた。
クローム悲痛な表情で椅子に座りツナの傍に居るしか出来なかった。
召集をかけられ会議室に集まったリボーン、獄寺、山本、了平、ランボは骸に問われていた。
「綱吉さんは子供が産めない身体と診断されました。原因は暴力を振るわれたらしく子宮が駄目になったそうです。しかしここ数年は抗争など無かったのに暴力が原因とは可笑しいです。」
怒りを隠して話す骸にリボーン達は黙り込む。原因は明らかに自分達だから。
「そう言えば綱吉さんが僕やクローム、千種達と頻繁に会うようになった時、綱吉さんの身体には包帯や絆創膏がありましたね。歩くのにも痛みが走り堪えるようにしていたことも。だけどその頃も争い事など無かったはずです。貴方達は何か知りませんか?」
骸に常に側にいたのだから知っているだろうと言われてリボーンは咄嗟に嘘をついた。
「実はな、ツナは17才の時に敵対ファミリーに誘拐されて俺達が助け出すまでの間に拷問を受けていたんだ。多分その時の拷問が原因だらう。」
獄寺と山本、了平はこれなら自分達は疑われない、ボスを裏切ったことが明るみにでないとリボーンの嘘に頷いた。
「そうなのですか?なら何故守護者の僕は召集をかけられなかったのでしょう?僕が当時危険人物だとしてもクロームは呼べるはずですよね?綱吉さんがクロームに優しく接していたことは貴方達をはじめボンゴレの関係者、笹川京子と三浦ハルは知っていますよ。」
「「「っ!」」」
咄嗟についた嘘にリボーン達はしまった!と焦り出す。この理由なら納得すると踏んでいただけにまさかこんな切り返しが来るとは思っていなかった。
骸はよくもまあ陳腐な嘘をつけると呆れ返る。
「兎に角綱吉さんに世継ぎを産めなどと無神経なことを言わないように!」
「骸、今ツナはどうしている?」
「傷付いていますよ。クロームが付き添っています。」
そう言って会議室を出ていく骸。
リボーン達は自分達でボンゴレの繁栄に翳りを作ってしまったことに気付き俯いた。
ただツナに対しては不味いことになったとしか
思わなかった。
リボーン達にとってツナは自分達の今の立場を揺るがさないためにボンゴレに居てもらわなければならない存在。更にその地位を確実に固めるために世継ぎが必要だった。
ツナは骸達が護衛していて自分達は蚊帳の外のような物だ。だが世継ぎの教育をリボーン、獄寺達が護衛していけば世継ぎは自分達を信頼するだろう。そうなればツナは自分達を見てくれる、必要な人間だと認められると考えていたのにツナは世継ぎを産めない身体。
リボーン達は焦りを感じていた。