自由を望む大空


数年後ーーーー


継承式が終わり、一年後ツナは骸と結婚し、九代目からボンゴレを受け継いだーーー








「十代目、任務の報告書です。」

獄寺がツナに書類を渡そうとするが空かさずクロームが受け取りツナに渡す。受け取ったツナは書類に目を通してサインをする。


「獄寺君お疲れ様。今日はもう休んで良いよ。」

「あの、十代目。」

「何?」

「いえ・・・何でもありません。」


何とも言えない顔をして獄寺は執務室を出る。



本来なら右腕としてツナの隣にいるはずだった獄寺。
だが実際は右腕としてクロームが選ばれた。ツナ曰く、「女性のクロームの方が相談しやすいから。」だ。
それだけならまだしも何かとクロームが応対してしまうから余程のことがない限りツナには近付けない。右腕として当たり前のことをしているからクロームに文句も言えない。


『やっぱり気に入らねぇ!』


獄寺はクロームに苛立ちを感じていた。

因みにクロームを右腕にしたのはクロームに危険な任務や汚れ仕事をやらせたくないツナの思いやり。
それに就任早々、ツナと結婚した骸に獄寺と山本が嫉妬してクロームに嫌がらせをした。しかも骸では勝目がないからクロームだけを標的にするという卑怯さ。
だがクロームをツナの傍にいつも置いておけば守れるから安心だし骸もまたクロームに危険な任務をさせたくはなかったからツナの優しさに喜んだ。


ツナは獄寺、山本、了平、ランボと一定の距離を保っていた。リボーンと家光に指摘されてもボスが馴れ合ってどうすると反論し黙らせていた。


「ツナ!明後日の会談なんだけとさ。」

今度山本かぁとツナは獄寺といい面倒臭いと思いつつもクロームに予定を聞く。

「明後日はブローファミリーとの会談が午後の2時に入ってるけど前日の夜はホルスファミリーが開く夜会があるわ。そのファミリーが用意したホテルに泊まる予定が入ってる。」

多分帰りは夕方になるとクロームが手帳を見ながら説明する。

「悪いけど山本とリボーンが会談行ってくれる?」

「え!でも、ツナがいる方が有利になるのな。」

「山本。クロームの説明聞いてなかったの?会談は午後2時。とてもじゃないけど間に合わないよ。」

二つのファミリーは距離が離れているため会談の時間に間に合わない。

「ボスが遅刻なんて許されないし、ブローファミリーのボスはリボーンの教え子だから俺が行くよりリボーンが行く方が有利になるはず。」

リボーンには後で伝えておくから今日はもう休んでいいと告げると山本は何か言いたげな顔をするがツナは気にせずデスクワークに勤しむ。

「雨の人?まだ何かあるの?」

「・・・いや、何も。」

山本は執務室のドアを開けようドアノブに手を伸ばそうとしたが先にドアが開いた。ドアの向こう側にいたのは骸。


「山本武。用事が済んだのならさっさと出ていきなさい。綱吉さんは常に忙しいのですから。」

骸は山本の横を通り過ぎるとツナが骸にお疲れ様と笑顔で労いの言葉をかけながら抱きついた。

「無事で良かったよ。」

「心配性ですね。あの程度のファミリーに遅れなど取りませんよ?」

骸はツナを優しく抱きしめ、顔だけを山本の方に向け声を出さずに口だけを動かした。


『僕の妻は可愛いでしょう?』


「っ!?」


明らかにツナを恋慕う山本を挑発する言葉。

口角を上げる骸に山本は悔しそうな顔をして執務室を出た。


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