自由を望む大空
娘とその彼氏によって撃沈された家光に代わって口を開いたのはリボーンだった。
「しかしだな、ツナが同盟ファミリーのボスと結婚することで二つのファミリーの繋がりをより強いものになるしお互いの構成員の家族も安泰になるんだぞ。ツナはそのことを踏まえて考えろ。」
家光に続いてリボーンもまたツナが犠牲になれば良いと発言した。しかも無意識だから質が悪い。
ツナはこの二人に改めて絶対に許さない、死ぬより辛い思いをしてもらおうと誓った。
奈々がお茶を持ってくるとツナが利用出来そうだと奈々に訴えた。
「母さん!父さんとリボーンが骸と別れろって責め立てるんだ!母さんだって父さんが好きだから結婚したんでしょ?ビアンキだってリボーンが好きだから傍にいるんでしょ?何で俺だけ駄目って言われるの!?」
奈々やビアンキのように好きな相手と幸せになってはいけないのかと涙を流しながら訴えるツナに奈々は家光とリボーンに指摘した。
「家光さん!リボーンちゃん!ツッ君は女の子なの!女の子は好きな人と一緒にいることが幸せなのよ!それを別れろなんて!」
娘を不幸にするつもりかと愛する奈々に責められ家光はまた撃沈し、リボーンもこれ以上ツナを説得しようとしたら逆効果だと口を閉じた。
ツナはたまには役に立つなぁと奈々を冷めた目で見ていて、トドメを刺した。
「今度骸と別れろって言ったら俺は死ぬ気でドンナにはならないから!」
「クフフ。別れろと言われたら綱吉さんを拐ってボンゴレ本部を瓦礫にして差し上げますよ。」
ツナと骸に睨み付けられたリボーンと家光は苦虫をこれでもかと言うくらい噛んだような顔をして仕方ないと諦めた。
何せ後継者はツナしかいない。そのツナを失ったら自分達の地位や名誉が消えてなくなってしまうのだから。
その後ツナに彼氏が出来たとテンションが上がりっぱなしの奈々にせがまれて骸は夕食まで付き合わされていた。勿論家光に娘に手を出しやがってて恨むような目線を感じながら。骸は仕返しに嫌味混じりにツナの傍にいてたまに耳元で喋っていた。(内容はリボーンと家光の表情が面白い等)そしてまた家光が睨み付ける。そのループがエンドレスしていた。
骸がそろそろ帰ると奈々に告げツナが途中まで送っていくと一緒に出た。
「父親が娘に男が出来るとその相手を恨むと聞いたことがありますが、門外顧問はまさにそうなのでしょうか?」
沢田家を出るまで睨み付けられたていた骸は苦笑した。
「そうらしいけど。あいつの場合未だに自分の娘を利用しようとしてるだけだよ。あいつのらの話聞いたでしょ?」
「ええ、当たり前のように犠牲になれと言ってましたね。これだからマフィアは嫌いなんですよ。」
さっさと潰して自由になりたいと呟くツナに骸は本当にボンゴレを継ぐのを嫌がってるのが分かった。継げばボンゴレの財を使え、権力を振るえるのにも関わらず。
「綱吉さん。」
「ん?」
「・・・、いえ、何でもありません。また明日。」
「?うん。また明日ね。」
ツナが家に入るまで見守る骸はリボーン達との間に何があったのか。リボーンと家光のツナに対する接し方を見て理解した。裏切りだろうと。ただもとの原因は分からないが。
「しかしお互いに利害が一致して共にいるだけのはずなのに何故僕は綱吉さんがこんなにも気になるのでしょう。」
利益の為に手を組む時は相手にある程度の金を渡し、達成したらそこで終わり。勿論相手に心を傾けるなどしない。なのにツナをこんなに気になるのは。まだ骸はその理由に気付かなかった。