自由を望む大空
「ツナちゃん!今日一緒に帰れないかな?」
「ゴメン!今日は骸と帰るんだ。」
教室に入ったツナは京子の誘いを断りさらに理由を話す。
「俺さ、骸と付き合ってるんだよ。」
「ツナちゃん、彼氏が出来たんだ!」
恋愛話が好きな京子は食い付き、クラスのツナ狙いの男子はガクリと肩を落とす。
「うん。だから暫くは無理かな。」
「残念だけど彼氏が出来たなら仕方ないよね。」
少し淋しそうにする京子だがツナはこれで清々すると気持ちがスッキリした。
授業をサボって屋上で骸達用のスマホにメールを打つ。雲雀に骸を並高に呼ぶなと言われてしまったからだ。
《帰りは並高の手前にある本屋で待ち合わせしよ。それで今日は骸が彼氏だって母親モドキ達に教えておきたいから家に寄って欲しい。そうしたらもれなく更に慌てるリボーンが拝めるよ!》
送信して暫くするとメールの着信音が鳴る。
《分かりました。アルコバレーノ達の間抜けな顔は楽しみです。》
骸を紹介したらリボーンはどんな顔で慌てるかな?と考えると可笑しくてクスクス笑うツナ。
笑っていると以前から所持しているスマホの着信音が鳴る。ツナは面倒臭そうに見たが、ニヤリとした。
『父親モドキが帰国かぁ。タイミングが良いね。』
大方リボーンがツナと骸を別れさせようと父親の家光を呼んだのだろうと推測した。
「あれでも一応ボンゴレNo.2だもんね。でも、そうはさせないからね。」
ツナは凍土を思わせるような冷たい目で奈々からのメールを閉じた。
放課後ツナは本屋に行くと既に骸が来ていた。
「ゴメン、待たせちゃった?」
「いいえ、来たばかりですよ。それでは行きましょうか。」
歩きながらツナは家光が帰国することを話していた。
「門外顧問がですか?」
「うん。多分リボーンが俺達を別れさせる為に呼んだと思う。」
「成程。もしかしたら綱吉さんの婚約者の話が出ているのかもしれません。」
「だとしたら凄い迷惑!ボンゴレ潰しの邪魔はさせないからね!」
気合いを入れるツナと勿論ですと頷く骸。二人は断固拒否してやると殴り込みに行くように沢田家に向かって行った。
「ツッ君おかえりなさい。あらそちらの子は?」
奈々がツナの隣にいる骸に目をやると骸は軽くお辞儀をして簡単に自己紹介をした。
「初めまして。綱吉さんと交際をしている六道骸です。」
「あら!ツッ君たら彼氏がいたのね!骸君お茶でも飲んで行ってね!」
ツナに彼氏が出来たとはしゃぐ奈々に生温い目を向けるツナと軽く引く骸。だが既に帰国していた家光を見て更に生温い目を向けるツナとドン引きした骸。
「ツナ、六道骸。少し話がある。」
家光は可愛い娘を!と骸を睨み付ける。これが更に生温い目を向けるツナとドン引きした骸の理由。
ツナからしたら見捨てた娘にまだそんなふざけた感情が残っていたのかと、骸に至っては親バカを全力で発揮して感情を剥き出しにする家光にボンゴレNo.2としての自覚はないのかと呆れていた。
娘とその彼氏に呆れられドン引きされていることに気付かない家光は一方的に話し出す。
「悪いが別れてくれないか?ツナはボンゴレのドンナになることが決まっている。それに併せて同盟ファミリーや同盟を求めるファミリーのボスや幹部との縁談の話が出てきているんだ。」
ツナは冷めた目を向ける。それに気付いた家光はドンナとしての自覚を持てと言ってくる。ツナは相変わらず外堀を埋めて事後承諾というリボーン、家光、ボンゴレの常套手段に苛立った。
「俺は結婚したい相手は好きな相手が良い。大体父さんだって門外顧問なのに一般人の母さんと恋愛結婚してるじゃん!」
「っ・・・。」
ツナの言葉通り一般人の奈々と結婚している家光は黙り込み、今度は骸が追い打ちをする。
「門外顧問殿は一般人の女性を妻にしているのにドンナになるとはいえ、自分の娘には強制的に組織の為だけの結婚を強いるのは父親としてどうなのでしょうか?」
「ぐっ・・・。」
痛いところをツナと骸に突かれ何一つ言えない家光にツナはバレないように嘲笑った。