自由を望む大空
ヘルシーランドに着いて骸達にお土産の菓子を渡す。
「ありがとうございます。」
受け取る骸は嬉しそうだ。紅茶専門店の袋イコール菓子だからだ。
「私、お茶淹れてきます。ボスは休んでいて。」
クロームは台所へ行き骸はツナに座るようにと椅子を引く。
「今日は楽しかったですか?」
「うん!クロームと買い物するのは初めてだったけど趣味が似てるみたいで話も合うから楽しかったよ!それに偶然だけど山本に目撃されたしね。」
「それは良かったです。」
「今日はリボーンと母親モドキに居候共に見せるだけだったんだから。あ、そういえば獄寺君にも見られたんだっけ。」
ツナが楽しそうに骸に報告(?)をしていると良い香りがしてきた。
「苺の紅茶を淹れたの。」
ティーカップを渡すクロームにツナは美味しそうだねと受け取り三人は一息入れた。
「獄寺隼人に見られたと言ってましたが大丈夫だったのですか?」
獄寺の性格だ。引き剥がすのに苦労したのではないかと骸が言う。
「大変だったけどクロームが追っ払ってくれたから大丈夫だったよ。」
「クローム、獄寺隼人に何て言ったのです?」
大人しいクロームが五月蝿い獄寺を引き離したと聞いて骸は驚くも興味が湧いた。
「下着を買いに行くから男が来たら捕まるかもって言いました。」
クロームの包み隠さず素直に言った内容に骸は危うく紅茶を噴き出すところだった。
「 ・・・そうですか。ご苦労様です。」
『綱吉さんもですがクロームも天然ですね。男に下着なんて単語を言うのはどうなんでしょうか?』
クロームの天然に骸は少し心配した。
帰宅途中ツナを送っている骸の携帯に連絡が入り骸は電話の相手に礼を言って切る。
「綱吉さん。偽の名前と住所が手に入りました。」
「ありがとう。それじゃ明日にでも買いたいんだけど?」
「構いませんよ。明日は日曜ですからいつ出かけてもアルコバレーノ達に不自然には思われないでしょう。」
「明日の9時にそっちに行くね。」
「では明日。」
ツナと骸はツナの家の近くで別れる。それが恒例となっていた。
ツナは自室に入り背中の開いたデザインの部屋着に着替えてベッドに入る。
背中の開いた服なら否応なしに傷痕が見える。それを見ればリボーン達は口を閉じるからツナはたまに傷痕を利用し無駄な話はしないようにしていた。
ドアをノックする音がするがツナはガン無視だ。相手はリボーンだからだ。
「入る・・・ぞ!?」
リボーンが目にしたのはツナの背中。その背中には火傷、切り傷、痣、銃創。
リボーンは自分達がした酷い仕打ちを改めて知るが。
「すまねぇ。傷痕はボンゴレを継いだ時に必ず医療班に治させる。」
リボーンはツナの部屋を出ていった。ツナは閉められたドアを目を細くし見つめる。
『謝罪は建前で結局ボンゴレなんだな。』
適当に謝罪してツナの傷痕は人任せにする。リボーンは自分がした仕打ちを再確認しただけでだった。罪の意識はない。
何よりボンゴレ十代目になることが前提での物言い。
「早くボンゴレを潰したいな。」
この家には居たくないとツナは地獄が終わった日から何度もしている深いため息をした。