Side 良平



喪服姿の華や他の参列者が涙を流しながら最後の別れをする。
参列者に頭を下げる佐々川夫妻と息子の良平。

棺に横たわるのは杏子。

恭矢との婚約解消後、泣いて泣いて泣き疲れたと同時に病にかかり永遠の眠りについた。

良平は恭矢と一緒になっていれば杏子は明るい笑顔で日々を過ごしていただろう。たとえ病にかかっても息を引き取る瞬間まで幸せだったかもしれないと涙を流していた。


『恭矢さん。』

杏子の最後の言葉は余りにも悲しい物だった。


涙を流す良平の前に闌丸が立つ。

「君が佐々川良平君？」

のろのろと頭を上げる良平は貴殿は？と静かに問う。

「俺は勝栄闌丸。少しだけ良いか？雲瀬恭矢のことだ。」


二人は佐々川の屋敷の人気のない部屋に着くと良平はドアを開ける。

「恭矢のこととは何だ？」

「雲瀬恭矢に復讐しませんか？」

復讐の言葉にピクリと反応する良平に闌丸は九十九神が伝えた通りだなと良平に分からないように笑う。

「しかし超絶に勝栄殿が恭矢に復讐などと言うのだ？」

闌丸は悲しい表情を作る。良平は闌丸を見て恭矢との間に何かあったのだろうと推測した。

「杏子さんに助けられたことがあるんです。」

「杏子に？」

「チンピラに絡まれ殴り合いになって唇を切ってしまって。暫く公園の水道水で冷やしていたら杏子さんにハンカチを渡されて。」

そう言って良平にハンカチを渡す。

「これは超絶に杏子のハンカチではないか！」

白いハンカチの端に杏子が花の刺繍をしていた物で闌丸は九十九神に取りに行かせていた。

「あの日名前を聞き忘れてずっと杏子さんを探していました。それに杏子さんの明るい笑顔に惹かれ密かに想っていました。それなのに・・・・・・。」

「超絶にそうだったのか・・・。」

「・・・。最初は噂だと思っていた。まさに本当に雲瀬恭矢に酷いことをされていたなんて。」

「それでもずっと雲瀬恭矢を想っていた杏子さんは病にかかって。雲瀬恭矢が許せない。彼女の笑顔と命を奪ったのだから。それに雲瀬恭矢の妻である人もいつか酷い目に合うかもしれません。これ以上被害者が出ないようにしないと。」

嘆く闌丸の『彼女の笑顔と命を奪った』この言葉を聞いた良平は恭矢を更に憎み、恭矢が許せないと闌丸に協力することを決意した。





「ククク。事故を装うのにせいぜい使ってやるよ！」

良平と別れ、闌丸はあいつらに手を汚してもらおうと笑い声を上げた。



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だがその計画は失敗し、利庵と闌丸は奇襲をかける時に勇斗、武司、良平を始末することした。