儚き者達
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「雲瀬津奈は兵に絡まれた子供を庇った。だがその兵は雲瀬恭矢の部下で雲瀬津奈に絡めと命令したら?子供は脅されていたとしたら?」
「津奈さんに絡んだところで雲瀬家が得することなんかあるのかよ?」
「安倍川家は軍人や元貴族との繋がりがある。中には企業を起こした親戚もいる。安倍川と繋がりを持てば雲瀬家はさらに強くなるだろう。」
「つまり津奈さんは騙されたってことか?」
もし本当なら津奈を助けないと!勇斗は焦り出す。
その様子を見て闌丸は勇斗に言う。
「子供を産んだ以上雲瀬津奈は消されるかもしれない。だから助ける為に君に力を借りたい。」
「でもよ?安倍川家と勝栄家は繋がりはないだろ?」
安倍川家は勝栄家を嫌悪してるのを知っている勇斗に闌丸は少し陰りがある笑顔を作った。
「確かに俺の先祖は汚ない手口で乗し上がった。それ故に安倍川家をはじめ他の陰陽師達に嫌われてきた。それは認めている。だが津奈さんはそんな俺にも優しく接してくれたことがあるんだ。」
闌丸は袖を捲る。腕にはうっすらと古傷があった。
「先祖のせいで悪く言われ荒れていた俺が怪我したときに手当てをしてくたんだ。津奈さんが手当てをしてくれなかったらもっと酷い傷痕になってたよ。」
闌丸はそう言うと袖を戻し、勇斗の目を見て言った。
「津奈さんに恩返しをしたいんだ。そもそも雲瀬恭矢は人嫌いだ。あのまま雲瀬家にいたらいつか酷い目に合う!」
勇斗はそうだと思い出した。恭矢は人嫌いで有名なことを。女子供は弱い生き物と見向きもしないことを。そして恩返しをしたいと言ってきた闌丸に感動した。
「分かりました。津奈さんの為なら手を貸します!」
「ありがとう!極寺田勇斗君!」
勇斗と闌丸は握手を交わし、闌丸は簡単に騙されてくれたと内心せせら笑う。
「そうだ。津奈さんを助けたら極寺田勇斗君が結婚したらいいよ。」
「え?」
いきなり話を変えた闌丸に勇斗は唖然とする。
「君が津奈さんを好いていることはこの地に住んでる者は皆知っているよ。」
勇斗は顔を赤くして狼狽える。
「君は陰陽師の資質の低さ気にして彼女を諦めた。でもそれは間違いだ。津奈さんに想いを伝えたら応えてくれたかもしれない。資質の低さを理由に安倍川家が許してくれなければ許して貰えるまで安倍川家に通えばよかったはずだ。」
今まで周りの者達に「諦めろ。」と言われ続けていた勇斗は「諦めるな。」と言われたことがないと目を見開いた。
「そうか、そうかもしれませんね。」
津奈を助けたら想いを伝えると決意した勇斗。それを感じ取った闌丸は笑いを堪える。
闌丸は今度会う時は式神を使って連絡をするからと勇斗の前から立ち去った。自分の作り話にまんまと引っ掛かった勇斗を馬鹿にしながら。